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2012年 01月 21日
相変わらずの安定感。『ALWAYS 三丁目の夕日'64』1月21日公開。昭和39年、東京オリンピックが行われるその年、日本中が沸いていた。鈴木オートは順調に成長し、六子の下にはケンジという後輩が。茶川家にはもうすぐ新しい家族が増える。あいかわらずの夕日町。おや、なにやら六子は毎朝おめかしをして、菊地という医師に会いに行っているようだ。だけど、菊地にはよくない噂が。そして茶川は新人作家の登場により、またまたまたスランプに陥って…。ALWAYS 三丁目の夕日'64 前2作といい意味でなんら変わらない、だけど飽きさせない鉄板の作りだわー。はいはい、って気もありつつ、なんだかんだ楽しんでしまった。オープニングは第一作へのセルフオマージュっぽく、長回しの飛行機追っかけだけど、そこから見える東京の景色が高度成長期を感じさせて、勢いあるんだよな~。タイトルバックは東京タワー飛び出しまくりで、3Dを最大限活かしていたのはこのオープニングのみ(後は別に3Dじゃなくてもいいだろ)。序盤はそんなこんなで、キャラの顔見せでおさらいをしながら、前作の5年後という時間の流れの紹介。茶川家が増築されてたりね、一平は生意気にギター抱えてたりね。 で毎度おなじみ群像的なドラマ+新キャラ登場的展開、今回の軸その1は六子の恋。お相手はなんと森山未來ときましたか! 昭和の髪型×みゆき族ルックで最初誰かと思ったわ! これがまたベタな展開なんだけど、ついグッときてしまうのですよね~。六ちゃんの後輩には目下の最注目男子・染谷君てツボをおさえたキャスティングでニクイぜ。大した出番なくてもニクメナイぜ。鈴木オート激昂シーンも第一作へのセルフオマージュだったね。わかっていても笑っちゃったよ、堤さん! で、軸その2は、茶川と淳之介。てか、だいたい泣かせのエピソードは毎度茶川で押してくるな~。こちらは編集者として大森南朋がニューキャラ。らしさがあり、昭和風味も出版社風情もハマってましたな。そして須賀くんはさらに大きくなっていたっす。 2時間20分越えの長尺で、最初はちょっと長いかなーと思っていたはずなのに、結局最後には引き込まれて時間を忘れてたパターン。幸せの形は人それぞれ。やりたいことを見つけて夢を追うこと。家族の温かさ。毎度同じテーマながら、現代が置いていきがちな価値観にグッと来てしまいますよね。前2作同様にヒットするんじゃないかな〜。 2012年 01月 21日
ラストが鮮烈〜。『アニマル・キングダム』1月21日公開。母が死に独り残されたジョシュアは、祖母の家へとやってくる。そこにいる男たちは犯罪に手を染め、警察に追われていた。やがてジョシュアはガールフレンドとともにその渦に巻き込まれてしまう。叔父たちのために嘘をつくのか。それとも…。映画『アニマル・キングダム』公式サイト オーストラリアからやってきた犯罪ドラマ。緊張感はあったけど、ちょっと説明不足だったような気がする。見終わってからサイトのストーリーを観るとあれそうだったの?みたいなところも。ばあちゃん家の面々が一体何をやっているのかって全然わからなかったもの。ドラッグディーラー以外の犯罪歴ってよくわからなかったぜ? 確かに報復で警官撃ち殺してたけど、その前段階の前提はもうちっと説明してほしかったっす。まあ、あんなに軽々と銃を持ち出すってことでワルいのは伝わるけど。でもそのわりにあたふたもしていたような。 それを差し引けば、不穏な空気に終始支配され、派手な"コト"を起こしていないのになにかヤバイんじゃないの?って思わせる空気の作り方は巧かったなー。ただゲームして、目を光らせて、吠えたりしているだけなのに、ジリジリするような焦らしテクったら。やたらと息子を偏愛するばあちゃんの後半にきてグイグイ来る感じもコワ〜。あいつがいちばん悪いわね。ねじれた過保護。歪んだ母性。 主人公も状況をつかめないまま巻き込まれて、でもずっと距離を置いてなんとかやり過ごしてきての最後のアレだもんね。強烈な一撃だったわ。そしてこの家族の業の深さとでもいうのか、負のスパイラルの終わらなさが何ともいえない後味に。派手さはないけど技巧で見せ切る技ありの1本。でも好きじゃないっす。うーむ。 Tags:#ミステリ/サスペンス
2012年 01月 14日
けっこうベタだけどね。『ロボジー』1月14日公開。家電メーカーの木村電機社員の3人は社長の無理な要求で、作ったこともないロボット「ニュー潮風」を開発中。しかしロボット博覧会直前にトラブルで壊れてしまう。1回限りの窮余の策としてロボットの中に人間を入れてお茶を濁すことを思いつき、バイトのオーディションを実施。条件にあったのは、孫にも相手にされない寂しい老人・鈴木だった。とにかく博覧会だけをやり過ごすはずだったが、鈴木の勝手な暴走によって「ニュー潮風」は大人気ロボットとなってしまう。映画『ロボジー』公式サイト 矢口監督最新作はロボット×じじい! 超漫画っぽい設定で、まるきりファンタジーではあるけど、その中でちゃんとワールド作り上げちゃうのはさすが。いつも通りのきっちりリサーチでロボット開発の企業や大学の研究室をたずねてエピソードを拾いながらオリジナル脚本を仕上げたそう。実際に大学生たちが登場するし、まんまとそのあたりが反映されてます。で、人が入っているからこその予測不能な動きとか、人が入っているなんて思わない人たちの勘違いとか、秘密を知られちゃいけない社員たちの奮闘とかで、いろんな笑いをちりばめながらお話全体を動かしていく技術は熟練ですな。安心して見てられます。 鈴木を演じたのは五十嵐信次郎。って誰それ?と思ったらミッキー・カーチスだったよ。心機一転憧れの日本芸名に変えたそうです。まあこの言うこと聞かないじいちゃんが、ほんとリアルで笑わせてくれるのよね。そしてヒロインのロボヲタガールに吉高由里子なんだけど、もうキャリアベスト級のかわいさ。ニュー潮風に本気で恋して、猛進しまくって、そしてあのぶち切れシーンが超絶品!(なんかホクロ増えてた?) 吉高のいいとこ全部出し切ってたな〜。で、木村電機の3人組もまたグッド。濱田ガックンは、小市民の雰囲気がやっぱり最高だし、それと組んだWエンジンの川合と舞台俳優長井さんがいい案配の凸凹コントラスト。お見事です。過去の矢口作品に出てる竹中直人に田辺誠一もカメオってますよ。 とはいえ、おもしろかったんだけど、テーマ的にはちょっとシニカルだったような気がするんだよな。老人の孤独はロボットという虚像になることでしか解消できず、孫とのコミュニケーションも着ぐるみごしというのはあまりに寂しい。けど、それが現実なの? 迫っている超高齢化社会を予感させて切なくなるわ。だから結局、この映画に夢があるのかないのかわからなくなってしまったんだよね。『ハッピーフライト』も今作も楽しいけれど、やっぱり矢口監督には若者たちを生き生きと描いてもらうほうが好き。次回作は青春劇をぜひよろしくお願いします! 2012年 01月 14日
ラストぶっとんだわ。『月光ノ仮面』1月14日公開。戦後日本、戦死したと思われていた男が戻ってきた。男は、戦前に将来を嘱望され真打ち間近だった落語家・森乃家うさぎ。しかし男は一切の記憶を失っていた。森乃家一門は、なんとかうさぎの記憶を呼び戻そうと小さな小屋の高座にあげるが、うさぎはおかしな行動をとるばかり。そこにまた別の男が帰って来る。彼こそが、本当の森乃家うさぎだった。ここは、ずっと満月の町。板尾創路監督第二作!2012年1月14日全国ロードショー 映画『月光ノ仮面』公式サイト 淡々と、というよりは、飄々と進んで行く物語で、『脱獄王』に続いて主人公は喋らない男。演じるのは板尾さん自ら。戦後の混沌とした世界で、なぜか月が欠けない磁場の狂ったような場所で起きる不可思議なできごとたち。そもそも、似ても似つかない板尾さんと浅野忠信を間違える元許嫁があるか!というツッコミなのですが、それは月の魔力に狂わされているからという解釈らしい。そういうものか。ファンタジーなのか、ミステリーなのか。 なんだかワケはわからないのに不思議と退屈はしなくて、シュールなエピソードが続くからなのかな。奇行に走る高座があったかと思えば、揚屋の女と穴を掘るシーンもあれば、月夜の晩に現れるのはドクター中松だもんな。タイムスリッパーってそれどゆこと!? かと思いきや戦場の悲惨なシーンも挿入されることでシリアスに引き戻されたりして、いったいこの世界はなんなんだ!と。ひっくるめるとダークファンタジー。ブラックユーモアのほうにくくられそうなところ。 とか思っていたところに、信じられない衝撃のクライマックス。びっくりしてオレは相当目を見開いたに違いない。あまりに強烈インパクトで、これ、人によっては気分を悪くしたりもするんじゃないだろうか。さらに畳み掛けるラストはまた解釈を揺さぶってきますねぇ。 見終わって考えたのは、岡本太郎はやっぱり死んでいるんじゃないだろうかってこと。そんな岡本が死の間際に見た夢が、こういうシーンだったんじゃなかろうかな。穴を掘るのは未来への渇望か、それとも早く楽になりたかったのか。ラストのアレも戦場のそれとリンクするしなー。岡本太郎って名前もなんかいわくありげ〜。とか、とにかく相当シュールな投げっぱなし。解釈自由であり解釈不能。オチてるのかオチてないのかそれすら不明。人にはなんとも薦めづらいところもあるけど、好きな人はけっこうハマるんじゃなかろうか。そんな怪作ですわ。 2012年 01月 07日
希望と言っていいのか? 『パーフェクト・センス』1月7日公開。それは突然やってきた。急に孤独を感じ涙を流した後、嗅覚を失う。感染症の疑いは低いが、イギリスだけではなくフランス、ベルギー、イタリアなど各地で発症者の報告が。次のステージは突然の飢え、そして味覚の喪失。原因も対処法もわからない世界で出会った、感染症学者のスーザンと、レストランシェフのマイケル。ふたりは少しずつ崩壊していく世界の中で惹かれ合うが、ほどなくしてふたりも発症してしまう。「パーフェクト・センス」オフィシャルサイト │ 2012年1月7日(土)新宿武蔵野館ほか全国ロードショー 『コンテイジョン』の記憶も鮮明な中でのパンデミックもの。ただしこちらはパンデミックそのものは舞台装置でしかないけれど、原因不明で広まる恐怖という意味では同種のインパクト。しかも内容が恐ろしいのよ。五感が少しずつ損なわれていくというね。嗅覚なしでもまだ生活は守られる。しかし味覚が失われたらどうなる? そして聴覚もなくなってしまうのか? まさかその先も…。という恐ろしさ。徐々に徐々に何も分らないまま進行し、なす術なくあっさりと追いつめられる人類。でもそういう社会的、全体的な枠組みが焦点ではない。 その中で人々、個人はどんな風に行動するのか。婚約者を亡くして以来、決まった恋人を作らなかったマイケル。ろくでもない男ばかりつかまされてきたスーザン。それぞれに孤独を持っていたふたりが奇妙なシチュエーションの中で出会い、特殊な状況ゆえに惹かれ合うラブストーリー。ラブ要素は限定的ではあるけど、描き方がうまいから自然。ユアン・マクレガーとエヴァ・グリーンの演技のよさも大いにあると言えるだろうな。ユアンはこういう良い男but孤独、影あり、という繊細な感じがよく似合う。 それにしても、この世界は希望があると思っていいんだろうか。映画はSFではあるけれど、人類にこの先どんな危機があるかはわからない。この映画と同じにはならないでも、こういう予期せぬ事態にならないとは言い切れない。五感か、なにか別の物を失ったときに、残された感覚を研ぎすませて生きていけるのか。世界は終わると絶望するのか、それとも人生は続くと希望をつなぐのか。後者を映画は示唆しておきながらも、しかし容赦なくシャットダウンされるラスト。うーん、難しいな。 新感覚というべきか。解釈の難しさは残るけど、観客を惹き付ける映画だったな。 2012年 01月 07日
またも弩級バイオレンス。『哀しき獣』1月7日公開。中国国境に暮らすグナムは、韓国へと出稼ぎにいった妻の帰りを待っていた。しかし妻のビザ取得のために負った借金の片に、韓国での殺人を請け負う。期間は2週間。ターゲット自宅の下見をしつつも妻の行方を探すグナム。いよいよタイムリミット前日、決行のため深夜に現場に向かうと別の不審者たちがターゲットを殺害していた。後に引くことも出来ずその犯人を殺したグナムは逃亡し、警察とブローカーとに追われながらも国へ帰るルートと妻の行方を探す。映画『哀しき獣』公式サイト 『チェイサー』もとんでもなく強烈な映画だったよね。でもね、これもね、その上を行くんじゃないかというさらなる問題作。とにかく苛烈なバイオレンスなんだけど…、惹き付けられてしまった。やっばい雰囲気ムンムンのオープニングから始まって無駄がないけどしっかり描き込まれた映像世界にどっぷり。140分の長尺を感じさせない緊張感、展開、構成力はホンモノだわな。カーチェイスのスケールもずいぶんデカイな、と思ったらハリウッドが出資しててリメイクもすでに決定しているそうだ。だからかー! すげーぞー! 主演のハ・ジョンウがよすぎるんだよな! 『チェイサー』同様、優しそうというか害のなさそうな顔してるのに、不遇の男になりきり、しがないタクシー運転手からあれよあれよというまに殺人者へとなりきっている。決して悪ではないのに、運命に翻弄されただただ必死に現状を打破しようとする姿が強烈すぎるぜ。狂気ではないけどなにかが狂っている感じ、すごいな。日本だと大森南朋的なムードだけど、もっと上手い気がする。 とにかく中盤以降はバイオレンスにつぐバイオレンスでちょっと直視がしんどくなってくるのは『チェイサー』と一緒。にしてもラストのあれはなんだよー! まさか戻ってきたとでもいうのか? それはグナンへのあまりにも過酷過ぎる仕打ちじゃないっすか!? なんにしてもとんでもない映画だ。夜見ると眠れなくなるぜ! Tags:#アクション/アドベンチャー
2012年 01月 07日
ア・ガ・ル〜! 『ストリートダンス/TOP OF UK』1月7日公開。ダンスでUKチャンピオンを目指すカーリー。しかし彼氏でリーダーのジェイがチームを去り、リーダーになったカーリーはチームをまとめるのに悪戦苦闘。稽古場を探しているときに出会ったのが、バレエ学院の先生。学校の稽古場をただで借りるための条件は、学院のバレリーナ5人をチームに入れることだった。ストリートダンスとバレエ。相容れないそれぞれのメンバーが、ひとつのチームでファイナルを目指し…。映画「ストリートダンス/TOP OF UK」オフィシャルサイト 8割方踊りまくりでテンションあがったわ〜! ストリート×バレエでチームを組んで、最初はぶつかりつつも徐々に理解し合って最終的にはお互いのいいとこ取りコラボで見たこともないパフォーマンスしちゃう、というザ・マンガというべき展開。しかも"徐々に理解し合う"ところには特別なエピソードとかほとんどなく、ただただひたすら踊り倒し。祭りみたいなところ行っちゃ踊り、クラブ行っちゃ踊りしてるうちに、なんとなく縮まっている距離。いいぞこのとにかく踊りだけ見せ切るっていう手法! トップダンサーが多数登場ってことでとにかくダンスがキレまくり〜。主演のニコラ・バーリーちゃんもカワイイ顔して踊りまくり。いやほんとみんな格好いいんだわ。オレに足りないのはダンス。踊れないけど見てて体が動き出すような感じで楽しいんだよねー。てかバレエもストリートもこなせちゃうダンサーたちのセンスに釘付け。うらやましや〜。ファッションもいい感じです。B系の女子って独特の色っぽさあるよね。 てことで、これ以上は特に言葉は不要。で、バレエダンサーたちは試験どうなったんだとか、バレエダンサーばっかり苦労してたよねとかはスルーすべし。見てノって楽しめばオールOK。実に楽しい映画だったわ。 2011年 12月 31日
ちょっと出遅れたけど今年ももちろんやりますとも、これやらないと年越せないかんね! 1年間の映画大総括の始まり始まり〜!! 【鑑賞数:194本(昨対+3)うち外国映画152作品(昨対+23)、日本映画42作品(昨対△20)】 もっと減ったと思ったけどほぼ昨年と同数。しかし邦画がこんなに減ったとは実感なかったなー。来年こそ年間200本復帰を目指すぞ! #10_X-MEN:ファースト・ジェネレーション いやーこれシリーズ最高のシーズン0。エンターテインメント性は抜群にありながらX-MENのテーマ、マイノリティであることと正義が果たして誰のためにあるものなのかを同時に問いかける、娯楽道徳共存の"グッドバランスリーダー"映画。バットマンシリーズに劣らぬ完成度です。そして来年への期待が大増幅したのが『キャプテン・アメリカ』ね。『ジ・アベンジャーズ』がどうなるのか、ダークナイト最新作は? スパイダーマンは!? と来年のアメコミ映画がマジで楽しみすぎ。 #9_マイ・バック・ページ ほとんどの人間には何者にもなれずに終わっていく。何かになりたいとも思わない今の時代、果たして最後の涙をどう読むのか。ノンフィクションの力を持った、"ヒーローなんて、もういないんだ"映画。 #8_ブルーバレンタイン 今年最大の哀しき恋を描いた"the most ブルーラブストーリー"。あんなに幸せに結ばれたはずのカップルが、どうしてこんなふうに壊れてしまうのか。答えは誰にもわからないし、誰もが、知っている。ライアン・ゴズリング神話は終わらない。真逆のハッピー恋愛映画『ラブ・アゲイン』ではスーパーイケメンを見せてくれたし、2012年も『ドライブ』だ『スーパーチューズデー』だと話題作ラッシュ! #7_モールス オリジナルより遥かに良かったこのリメイク作品。その原動力はそう、誰もが愛したあの少女。こんなにも美しく儚く成長してスクリーンに帰ってくるなんて! クロエ・グレース・モレッツ、すでに"夢見るヒットガールじゃいられない!"。または、"ワールドクラスの芦田愛菜"! #6_永遠の僕たち でもそんなクロエの独走に待ったをかけたのはミア・ワシコウスカ。少年少女の恋と、死と、夢っていう絶対青春ファクターを美しく、温かくまとめあげ、そして誰もがミアに恋をしたはず。"ヒロインランキングオールベスト入りおめでとう"賞を捧げます。 #5_サラの鍵 過去ってなに? 歴史ってなに? ルーツってなに? アイデンティティってなに? そんなことを多重方面から投げかけて来る緻密なプロットに完全KO。"自分探しする前にこれを観な!"シネマ、堂々の今年度ナンバーワン。 #4_ラビット・ホール どれだけたっても癒えない、消えない傷がある。それでも前に進まなくては行けないし、あんなにも大きな岩のようだった痛みが、やがて小さなポケットの小石に変わる日がくることを信じなくてはいけない。"珠玉の名台詞集に新たな1ページ"を追加したくなった、再生の物語。 #3_奇跡 奇跡なんて到底信じられないほどに多くのものが崩れ落ちた今年。でもそれゆえに、足下に落ちていた小さな100円玉のような取るに足らない奇跡をもう一度信じさせてくれたのがこの映画。この特別な年に、最高の"ライフイズミラクル"をありがとう。 #2_ミスター・ノーバディ いつだって人は考えるんだ。あのとき右ではなく左の道を行っていたらまるで違う今よりも素晴らしい人生があったんじゃないかって。でも、そうではないんだ。今の道には、選び取らなかったほうの道と、常に同じだけの意味があるということ。"迷える子羊を導く神様映画"ランキング、文句無しで1位です。 #1_ファンタスティックMr.FOX 全編ニタニタ、その実、意外と硬派。お遊び? ノンノン、どこまでも本気マジ真剣コマ撮りアニメーション! 誰もが自分らしくあれるように。そんなメッセージに社会や家族といったテーマを織り込んで、可愛くユーモラスにそしてハートウォームに仕立て上げるウェス・アンダーソンの天才シャレオツっぷりったら! 今年のthe very best of "世界に笑顔と優しさを"映画だと思い、今年の第一位に推させていただきますよ! なんというか大作系をけっこう見逃してるのでこれが本当のベストかどうかはわからないけど、オレが観た中ではこれなんだよね。やっぱり見終わって希望を得られる映画、それを観てなにか自分に得るものがある作品が好きなんです、結局(去年も同じこと言ってるけど)。毎年のことながら10本に絞るのは本当に大変ですわ。でも楽しく1年振り返らせてもらってまっせ。さあ新年も続々と注目作がやってくるし、賞レースはすでにスタート中。楽しい映画ライフを遅らせていただきます! 今年も1年間ありがとうございました。2010年→2010 Most Valuable Cinema 10 2009年→2009 Most Valuable Cinema 10 2008年→2008 Most Valuable Cinema 10 2007年→2007 Most Valuable Cinema 10 2006年→2006 TOP10 CINEMA 2011年 12月 23日
運命の皮肉ですか。『運命の子 Sacrifice』12月23日公開。中国春秋時代、晋の国。屠岸賈は謀反を起こし、趙氏一族を皆殺しにする。しかしただ一人、生まれたばかりの赤子を逃してしまったため、国中の赤子を皆殺しにするお触れを出した。趙氏の子をかくまっていた程嬰だったが、同じく生まれたばかりの実の子が趙氏の子と間違えられて殺され、趙氏の子を育てることになる。程嬰は、この子を復讐のために育てることを決意する。映画「運命の子 Sacrifice」公式サイト 中国・晋の時代の歴史小説もので、実話ではないみたいだけど中国じゃ有名な故事みたい。権力争いに翻弄され、運命によって生かされた子と、殺された子。その掛け違えたボタンが果たしてどう決着するのか…という復讐ベースの物語。そもそもがわりと長い話なのか、時間的に15年の幅があるからか、わりと淡々と進んでいった印象だな。 淡々としている割には微妙にわかりづらいんだよね。序盤の登場人物の相関もすぐにストンと入ってこなかったし、赤子取り違えのくだりは重要なキーポイントでありながら、これも一度できちんと理解できなかったのですが、それは僕が空気読めてないだけでしょうか。なんとなく前後の文脈でこういうことなのかな、と想像で補ってたらもう半分終わってた。いやでもかなりわかりづらかったよ、この流れは。あらすじを読み直しても、えーとうん事実関係はわかったけどさ、、、って感じだし。 で、復讐もまた回りくどいこと。子供は思った通りには育たないし、復讐にも時間がかかるし、でもその15年間は映画の中では端折られちゃってなんだか老けメイクだけが気になる忙しさ。15歳の少年にその状況を理解させるのはさすがに難しいと思うんだけど、割と素直に言うこと聞いたのはちょっと意外な気も。しかしクライマックスの差し違えはずいぶんヘンテコなアクションだったな。 教訓は、親の愛がいかに尊いかってことか。母は死してなお子供を生かし、またある母は子供かわいさゆえに我が子を失い、我が子を失った父は他人の子を愛すると同時に復讐の道具とし、殺したはずの子をはからずも愛した育ての父が真実を知ったときに去来したものは果たしてなんだったか。なにげに最後のがいちばん映画のテーマ足り得そうなもんだけども。 全般、やや大味にも感じました。なんだか誰も幸せになれない話だったな。 Tags:#歴史/時代/人物/事件
2011年 12月 23日
ミアにベタ惚れ。『永遠の僕たち』12月23日公開。両親の死のショックから立ち直れないイーノックは、自分に関係のない葬式を巡り歩く。心を開くのは彼にだけ見える日本兵の姿をした男ヒロシのみ。そんなとき、ある葬式でアナベルという少女に出会う。明るく笑う彼女としだいに距離を縮めるが、アナベルは余命3ヶ月という身だった。永遠の僕たち - オフィシャルサイト 普遍の青春ラブストーリー決定版! もう幾度となく繰り返されてきたテーマだけどこんなにも魅力的に仕立てるのは、やはりガス・ヴァン・サントによるところが大きいのか。死にからめとられる少年と、死を受け入れるしかない少女。ふたりの間には、神風特攻隊という運命のもとに死んだヒロシ。主な登場人物はこれだけなのに、こんなにも心くすぐっちゃうんだもんな。とにかく温かくて、甘やかで、美しい。 ふたりが近づいてく時間が本当に愛おしくて愛おし過ぎて。デニス・ホッパーの息子ヘンリーは、なんでこんなに寝癖ボーイが似合うんだ! 青臭くてまったく大人になんてなれなくて、人の愛し方だってわからないけれどそれゆえに真っ直ぐでシャープ。まだ失われていないナニカが残っているのがよくわかって、だからとてもピュアで美しいの。斜に構えた態度が満点の思春期ですとも。男ってやつはいつもこうなんだよ、ホント。ガキすぎて素敵! で、対するミア・ワシコウスカ! ミアって、いわゆる美形とは違うと思うんだけどむっちゃくちゃ可愛かったの! 初っ端の登場は丸坊主なのかと思ったらベリーショートで超お似合い。しかも衣装全部が全部半端じゃなくオシャレで最高すぎます。フィクション大好きガールのトップ10入り間違い無しだわ。イーノックより遥かに大人で現実的で、死というリアルを知ってしまったがゆえに夢見る姿に胸を痛ませずにはいられないし、好きにならずにいられないわ! 哀しい物語ではある。のだけど、死という運命が常にぼくらの周辺をさまよっていながらも、それでも人生に希望はある。輝く瞬間がある。ということを教えてくれる。その運命からは誰一人逃れられないのだけど、死を共有しているからこそ私たちの生は輝かせることができるんだろうな。1年の終わりにこの映画に出会えてよかったよ。素敵な物語をありがとう。なにげないシーンのすべてに、温かい涙を流せる作品です。 2011年 12月 23日
SF内輪ウケでは? 『宇宙人ポール』12月23日公開。アメリカのコミケにイギリスからやってきたグレアムとクライブ。彼らは長年憧れていたアメリカのUFOスポット巡りへと旅立つが、その道中でなぞの生物に遭遇。彼は自分が宇宙人で、アメリカ政府の長らくの影の協力者だったこと、しかしいよいよ身に危険が迫り逃げ出してきたことを明かす。とうてい受け入れ難い話ながらも同行することになった3人は、追っ手から逃れながらある場所を目指し…。「宇宙人ポール」オフィシャルサイト なかなか楽しい宇宙人とのロードムービーコメディ。道で拾った宇宙人がひねくれたキャラで、こういう異界のものとの交流ってのは今までにもあったと思うけど、それに対するのがヲタ、ってのもあった気がするけど中年ヲタってのがなんかチカラ入ってなくていいよね。純真な少年でもないし、マジメ中年でもない微妙に今っぽい着地で。そいつらがいろんなところで細かくクスリとさせてくれる。 でも、これは映画、とりわけSFフリークじゃないとわからないシーンも多いみたい。『未知との遭遇』ほか名作へのオマージュとか、ラストの場面は"行けばわかるよ"的なノリだったけどSF赤点なオレにはわかりませんでした、ごめんなさいって感じで、多分この映画の実力の半分くらいしか楽しめてないと思います。こういうとき自分にがっかりするけどまあ仕方ないね。スピルバーグ本人がカメオで出て、E.T.のアイデアもらうくだりは楽しめたけどさ。 最後まで明るい調子で笑わせてくれて、でもなんか「冒険すること」と「自分に正直になること」というなんとも定番なメッセージももらえてメデタシメデタシ。イロモノっぽい見え方だけど、実はけっこうまっとうな映画でした。SF力も試されちゃうけどね。 2011年 12月 17日
回りくどいわりに…。『ロンドン・ブルバード -LAST BODYGUARD』12月17日公開。出所したてのミッチェルに、旧友のビリーが近づいてくる。ミッチェルは過去を断ち切りたかったが、ビリーや薬の抜けきらない妹などのしがらみが彼をとらえてはなさない。そんな中、偶然助けた女性記者の紹介で、元女優シャーロットのボディガードを紹介される。ミッチェルはその仕事を引き受けるが、それを知ったビリーはシャーロットの高級車を盗もうと持ちかけてくる。もちろんミッチェルは即座にそれを断るが…。映画『ロンドン・ブルバード -LAST BODYGUARD-』 公式サイト クールなブリティッシュノワールだけど、別になんとも回りくどいばっかりで、特にどうとも思わなかったのぉ。登場人物がけっこう多い分、一人一人は大味つーかさらり。というかみんなミステリアスにするためか、説明は少なくてなんか誰が誰やら。誰が誰でもいいわ、別にみたいな。なのでミッチェルとシャーロットが恋仲になるのはお約束だとしても、全然ピンとこなかったぜ。なんなんだありゃ。 ミッチェルの行動もなんだかパっとしないのよね。仲間が殺されてその敵討ちを結局ギャングに頼っちゃったりして、全然しがらみ断ち切る気ないじゃんね。結局それがもとで最後までツケがついてまわるわけだし、そういう突っ込みはナンセンスかもしれないけど、やっぱ気になるわー。そもそもどこまで裏稼業の人間だったのかもようわからんしね。いい人っぽく描かれてはいたけどさ。 コリン・ファレルは格好よかったし、キーラも良い意味で栗山千明みたいだったけど、個人的には冒頭の女性記者がかわいかったなー。雰囲気だけで中身のない映画ですが、まあブリット気分に浸るには悪くないかもしれません。 2011年 12月 17日
壮絶過ぎて…言葉が……。『灼熱の魂』12月17日公開。母の遺言を聞いた双子のジャンヌとシモン。その内容は父と兄にそれぞれ手紙を渡すようにというもの。しかし父ははるか昔に死んだと聞き、兄の存在にいたってはまったくの初耳だったふたり。困惑しながらも母の過去をたどり、カナダから祖国の中東へと向かう。ふたりが知ったのは、母の過酷な人生と、そして衝撃の運命。映画『灼熱の魂』公式サイト …………。 言葉を失くさずにはいられない苛烈過ぎるインパクト。まさかそんな展開が待っているとは夢にも思わなかった。レディオヘッドが流れるオープニングから禍々しさが漂い、でもかなり心をとらえる映像。物語にぐいぐいと引っ張られてのめり込んだ先の着地点がそんな結末だなんて。。あまりにも残酷な運命だ。オレには耐えられんぞ。これは決して中東の戦争とか、歴史に対するメッセージではなく、あくまでひとりの女の壮絶な運命こそが主役。 物語を大きく動かす宗教に起因する紛争はショッキングな映像も伴う。それは現代の世界情勢を示唆するというよりは、争いの無慈悲さや、憎しみや怒りの連鎖そのものを憂いているように思う。その中で母が生き続けた理由はただひとつ。生き別れた息子であり双子の兄ともう一度会うため。その純粋で決して折れない強さがまた皮肉な運命を導いたと思うと、気持ちの落ち着かせどころがないんだよな。ハッピーエンドなんてどこにもないし、デッドエンドでもない。「死で物語は終わらない」という台詞が深く深く突き刺さる。 そして、「共にあるように」というメッセージもまたこれ以上の質量はないだろうほどに痛烈。すべての元凶は離ればなれになってしまったことこそにあると、母は思ったのだろう。悔いがあったのだろう。何があっても決して離れるべきではなかった。手放すべきではなかった。そこにどんなルールや障害があったとしても。真実を知らされた双子のこれからには、あまりにも重い枷がついてしまったけれど、母の残した言葉が最後の最後に救ってくれるんじゃないかというかすかな期待を抱きたくなる。というかそうでもないと、どうにも遣る瀬なさ過ぎて。いったいこの子たちはどうなっていくんだろう。続編を期待してしまいたくなる。いや、この子たちに救いがあると言ってほしい。そう思うほどに打ちのめされる内容だったわ。 なんにしてもあらゆる面で半端じゃない熱量を持った作品。強い覚悟で臨まないと打ち砕かれてしまいそうだ。 Tags:#ミステリ/サスペンス
2011年 12月 17日
さて何を受け取るべきか。『サラの鍵』12月17日公開。ジャーナリストのジュリアは、第二次大戦下に行われたパリでのユダヤ人一斉検挙について調べ始める。その過去の歴史的事実は、思いも寄らぬ形で自分の暮らしともつながっていた。一斉検挙にあったユダヤ人一家の娘であるサラの行方を探すうちに、ジュリアは自身の中の新しい感情とも出会っていく。映画『サラの鍵』公式サイト 2011年12月17日 銀座テアトルシネマ、新宿武蔵野館他 全国順次ロードショー シリアスで重層的な物語だったな! ナチス統治下のパリが舞台ときいてたけど、そこは導入口で、ストーリーの軸足は現代にあったわ。過去の悲劇をフックにして、ジュリアが真実を求めて行き着く先はどこだったのか。一般的なホロコーストものでも、ミステリーでもなく、歴史とはなんなのか。そして個人のアイデンティティとはなんなのか。そしてそれらを包括的にとらえて自身の生き方を考えざるを得ない作品とでも言うべきか。 ジュリアは個人的な興味で歴史の扉を開いていく。パリで暮らす人間として、埋もれていたフランスの国家的罪悪に胸を痛め、そして自身が住むことになるアパートの秘密を偶然に知り、徐々に自分ごととして調査を始める。でも途中からそれは真実を知る旅から、自分の人生を決断する旅へと変容していく。サラの足跡をたどるうちに、時代は移り変わり、サラの足取りはヨーロッパからアメリカへと渡り、さらにジュリアはイタリアにまで足を運ぶ。もはや歴史は過去であり、真実を明らかにしたところで現実の何かが変わるわけではない。それは夫の言う通りで、「それが誰かを少しでも幸せにしたのか?」である。この問いに対する答えはNonだろう。 でも。ウィリアムは知らなかった自分のルーツに驚愕し、過去を知らなかった自分の人生を偽物だとまで言い切る。果たしてそうなのだろうか。もし自分が自分の知らないルーツを持っていたら、それは偽りの人生になってしまうのだろうか。決してそんなことはないはずだけど、もちろん決定的に違う道があったことも事実だろう。それは選ぶとか選ばないとかそういう次元ではなくって、パラレルワールド的なものなんだろうけれども。 だけど、歴史というのは不思議なもので、闇に埋もれていた小さな悲劇が、ジュリアの暮らしを変え、そしてウィリアムの未来も変え、さらに新しく生まれる命に思わぬ形でそれは受け継がれていく。人生は不思議だ。そして哀しいけれど、美しい。そんな風に思ってしまう瞬間である。そして、人と土地の関係性。NYに生まれ、そして戻ってきたにもかかわらずパリへ戻るだろうというジュリアとゾーイ。ウィリアムにとってのフィレンツェ。デサック一族が暮らしたあの家。土地と人生のつながりというのも不思議なもんだな。そしてそれは世界中にちらばるユダヤ人にとっても同じことなのかもしれないな。 どこ切っても意味が読み取れてしまう、まるで一筋縄ではいかない多層的な物語。だけど後味は全然悪くなんてないんだ。負の歴史と、それが生んだサラの苦しみは、ミシェルやその他大勢の命を奪い、サラを人生の淵まで追い込んだけれど、それでもそこからまた新しい扉が開かれていく。そこに生きる希望を感じたのでした。人生は、それでも美しい。そう思わせる映画です。 Tags:#歴史/時代/人物/事件
2011年 12月 17日
まさか、泣けるなんて。『friends もののけ島のナキ』12月17日公開。おそろしいもののけが住むと伝えられる島にキノコを採りに入ったタケイチは、恐ろしいもののけに出会い島を逃げ出す。が、2歳の弟・コタケを残してきてしまう。200年前、人間との争いの末この島に追いやられたもののけたちは、人間の侵略を恐れてコタケを人質とすることに。面倒を見ることになった暴れん坊のナキとグンジョーだったが、彼らは200年前の争いで母親を失った過去を持っていた。friends -フレンズ- もののけ島のナキ ROBOTの3GCDアニメーション。子供向けでしょ~なんて軽い気持ちで臨んで、実際そうだったのに、最後にはあれ、あれれ、目からしょっぱい水があふれそうな…!?っていうサプライズ。はい、よかったのですよこれが。お話のプロットは、「泣いた赤おに」という童話。なので、わりと普遍的な内容。人間と異形のものの交流、別れ、そして融和。ベタなストーリーなんだけど、ちゃんとツボを押されるとホロリときてしまうんだなぁ。 そのポイントはグンジョーよね、やっぱり。あのグンジョーが!なんだけど、母を失った心情を思うと決して否定はできない。真意は別にあったとしても、グンジョーの中に復讐の感情が1ミリもなかったとは言わせないよ。その葛藤は、確実に表現されてたと思うし、それは演じた山寺さんの力量に大きく依ってたと思うわー。対するナキの香取君もハマってたよねー。コタケの赤ちゃん役の声も自然。これ、アフレコじゃなくて、プレスコっていう手法によるもの。それは先に声をとって、それにあわせてアニメーションを作るんだって。なるほどアニメとのハマりがいいのはそういうわけね。 いつだって人間は人間のものさしだけで物事を測りがち。ナキが人間を守ったあとの拍手はなんともむなしいものに聞こえました。勝手に追いやり、勝手に怯え、勝手に攻撃し、勝手に逃げたのに、拍手を贈る人間の身勝手さよ。それは異形の者に対してだけじゃない。自然にしても同じことが言えるんだろう。勝手に壊し、征服し、そしてまた恐れる。 なんとなく『ヒックとドラゴン』に近い感動を覚えました。アニメーションのクオリティもとてもよかったし、ぜひ正月は広くこの映画を観てもらえると嬉しいなと思います。 そうそう原作が、浦沢直樹の画で復刻してましたよ。映画とはまた違う展開に、立ち読みで涙です。 泣いた赤鬼|小学館 2011年 12月 17日
玄人好み~! 『風にそよぐ草』12月17日公開。幸せな家庭を持つ初老の男ジョルジュは、駐車場に捨てられていた財布を拾う。お金が抜き取られていたそこには、マルグリット・ミュイールという女性の小型飛行機の操縦免許証があった。ジョルジュは警察にそれを届けると、マルグリットからお礼の電話が入った。なにかがはじけたジョルジュは奇妙なことを口走り、さらにエスカレートしたストーカー行為に及び、マルグリットは完全に困惑してしまい…。映画『風にそよぐ草』公式サイト 12/17(土) 岩波ホールほか全国順次ロードショー! シュールな大人のラブストーリー…という範疇なんだろうけど、この言葉じゃ全然的を射ないな。なんかオレは全然まるでほんと付いていけなかったわー。これはひとえにオレの映画力不足だな。プロット的にはどっかにありそうなコメディの感じなんだけど、それを熟年男女がやっていて、しかもものすごいシュール。最初はストーカーから始まって、だんだんマルグリットもおかしな感じになっていく。多分これ、受けをする普通の人がいないからボケ対ボケみたいになっちゃってるんじゃないだろうか? 突っ込み不在のギャグ応酬のような展開? 名倉が入る前のネプチューン的な?(よくわからんけど) しかも映像表現がまた凝った感じにいろんな技術を使いながらの演出が、オレにはミスマッチというか、肌に合わなかったんだわ。監督は1922年生まれの大大ベテランのアラン・レネ。といってもオレはその名を知らない。ベテランぽい匂いは確かにするんだけど、その技術がどうすごいのかを理解する映画力がボクにはありませんでした。。 最後の最後まで着地点が見えないまま、ラストは少女の意味深台詞でフィニッシュ。「猫になったら猫のえさを食べられるの?」ってこれどう解釈すればええんやー! そもそもこの映画は、いったい何の映画なんだー。もやもやが最後まで離れない、違和感が残りまくりの1本でした。まだまだ修行が足りないぜ、オレ。 2011年 12月 17日
素敵な2本立て〜。『INVITATION from SPIKE JONZE』12月17日公開。スパイク・ジョーンズ監督が贈る2本の短編映画。1本はロボット同士のラブストーリー。もう1本は、絵本作家モーリス・センダックのドキュメンタリー!INVITATION 1本目『アイム・ヒア』。一般社会に普通に暮らすロボットたち。ある日出会ったロボットの男女は恋に落ちる。しかし女はそそっかしくて、すぐに怪我をしてしまう。ライブの混乱で右腕を損なってしまうと、男は自分の右腕を外し、女にそっと付けるのだった。 すごく、温かい、ラブファンタジー。スパイク・ジョーンズらしいただの手作り着ぐるみロボットが愛らしくて、それだけでも微笑ましいところ、献身的な愛の美しさと哀しさを同時に出す物語にほんのりと涙。シンプルな30分のストーリーで、こんなにうるっとさせられるもんだなー。『リアル・スティール』を観た後だとロボットの落差が良い方に働くぜ。 2本目『あなたの知らないセンダック』。80歳を越えてなお現役の絵本作家モーリス・センダック。彼の育った家庭、絵本作家になるまで、そして彼が考える生まれてきた理由…。自身の半生を振り返り、彼の作品に潜む秘密を探ります。 『かいじゅうたちのいるところ』を映画化したスパイクが原作者のドキュメンタリーを撮るってのがまずおもしろい。お互いに信頼関係を築いている感じがするのもよかったし、やはりモーリス・センダックただものじゃないんだなー。作品は3つか4つくらいしか読んでいないけど、あの独特のシニカルさというか大人っぽさは、子供に嘘をつかないというスタンスが軸にあるんだね。本人の喋りもおもしろくて、ぐっと惹き込まれて楽しかった。 全然違う2作品だけどどっちも面白くてみて損はなし。いやー、スパイクからの素敵な贈り物でした。 2011年 12月 17日
よくある話だからなー。『私だけのハッピーエンディング』12月17日公開。広告代理店で充実した日々を送るマーリー。真剣な恋は御法度で、気ままに楽しく暮らしていたが、ある日まさかのがん宣告を受ける。友人は遠ざかり、両親ともギクシャクする中、そんな彼女を唯一受け入れてくれたのは医師のジュリアンだった。人生の最後に出会った本当の恋。しかし残された時間は…。映画『私だけのハッピー・エンディング』公式サイト こないだ公開したばかりの『50/50』女性版と言えばまったくその通り。若くしてガンを煩い、残り少ない余命の中でマーリーが見つけるかけがえのないものたち。傷ついた親友や、哀しみに暮れる両親を前に、それ以上に傷つき絶望するマーリーをケイト・ハドソンが明るく好演。なんか時々、友近に見えたりもするけど、死を前に自暴自棄にもなり、だけどなんとか普通にやり過ごしたいという微妙なアンバランスにハマってたかな。美人過ぎると嘘くさくなるしね。 そんなマーリーを優しく受け止めて愛を教えるのはガエル君。まさかの医者役、髪型7:3で登場には驚いたけど、誠実青年も意外と似合うんだね。エイジアンに見えなくもなかったけど。そしてロマンスは随分都合良く軽やかだったけれど。というか全般のエピソードがわりとあっさりしていて、辛気くさくさせない意図はあるのかもしれないけどやや物足りなさはあった。物足りないというか切実さが弱まってしまったようにも思う。ウーピーの登場とかもチープさのほうが前に出てしまったような。このあたりは女性監督らしいところでもあるし、甘さとも受け取れるのかな。 でも生老病死は普遍のテーマ。やっぱり最後には心に残るものがあったと思います。でもでもタイミングが近過ぎて、そんな意図はないだろうけど二番煎じに感じちゃったわ。『50/50』を観ないで観たほうがいいのかも。 2011年 12月 16日
アクションエンタメの最上級!!! 『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』12月16日公開。ロシアの刑務所から救出されたイーサン・ハント。奪われた極秘ファイルを取り返すため、ロシアのクレムリンへと侵入するが、何者かによって大爆発を引き起こされる。アメリカ政府は爆発との関与を否定するためハントらのチームを抹消。犯人はなんと、地球上を核戦争に巻き込む計画をもっていた。計画を阻止するためにハントたちチームは政府の後ろ盾なしに単独で、ドバイへと向かう。映画『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』オフィシャルサイト 前評判通り、くっそ面白かったぞ! オープニングからエンディングまで、まったく緊張感途切れない極上のエンターテインメント。緩急がないわけではないのです。緩のシーンが来ると見せかけつつ食い気味にまた急展開が乗っかってくる、てな感じで最後の最後までハイスピード、ハイテンション。布石や伏線もしっかり張って回収してと、かなりよくできた脚本だったよこれは! でまあアクションのいちいちがスペシャルなんです。並の映画だったらどれもハイライトに持ってきたくなるほどの豪華さ。最初の脱獄シーンは、音楽に合わせてのバトルに始まり、いきなり謎の男も登場。このキーマンはさっさと置き去りにして、すぐにクレムリン侵入。ここでは最新テクノロジーのSF的面白さを見せつつも作戦は失敗し、一気に場面転換。病院からの強引なターザン的脱出で笑わせつつ、救出されたかと思いきやすぐに銃撃されて今度は川底から逃亡しながらも仲間をゲットして、次は電車に飛び乗ります、とまあ舞台をめくるめくスピードで変えながら減速一切なし。こいつら全員、一瞬も止まってなかったんじゃないか? まだこれで前半戦だぞ!? アクションのハイライトは、ドバイの世界一の高層ビル、ブルジュ・ハリーファの130階の壁上り。映画観て本気で手に汗握ったのはこれが初めてかもしれない大興奮のシチュエーション。上りもさることながら、下りの無茶苦茶なダイブには笑ったわマジで。でもってこっからの取引と対決からのカーチェイスまでもまったく息つく暇無し。砂嵐まで小道具にしてしまうとは本当に恐れ入りますってー。その後のインドの話はもういいね。最後までとにかくスゲーですよ。 トム・クルーズががんばってるのはもういいとして、意外なキャストはジェレミー・レナー。もっとチンピラか軍隊しか似合わないのかと思ったら意外にもインテリ系のエージェントもいけちゃうとはね〜。今後さらに役の幅が広がりそうじゃん。気に入ったのは女アサシン役だったレア・セイドゥちゃんね。フレンチガールだそうです。あと、『スラムドッグ』のあの司会者がインドの金持ち役で出てきてた〜。と、言ってしまえばキャストは地味な上、花のある女優もいないけど、そんなの関係なかったんだね。 まったくどんだけ金使えばこれだけのものができちゃうわけ!?って感じだけど、でもやっぱディレクション、編集とかの力がものすごいと思うわ。この完成度は過去のエンタメ作品であっただろうか!?ってレベル。エポックメイキングとは言わないけど、監督はなんと『Mr.インクレディブル』『レミーのおいしいレストラン』のブラッド・バードが初の実写というのも驚き〜! なにもかもがインポッシブルな(イミフ)超大作でした! Tags:#アクション/アドベンチャー
2011年 12月 10日
これはクリエイティブの話だね。『エル・ブリの秘密 世界一予約のとれないレストラン』12月10日公開。スペインの世界一予約が取れないと言われるレストラン「エル・ブリ」。わずか45席を求めて年間200万人が予約を希望するというその名店が、今年完全閉店を宣言した。このお店、営業は半年間だけで残りの6ヶ月はメニュー開発に当てる。その最後のメニュー開発にカメラが入った。映画『エル・ブリの秘密 世界一予約のとれないレストラン』公式サイト エル・ブリの名前も知らないゼロ星な僕ですが、そういうの関係無しに楽しめるというか食い入ってしまった2時間弱。さしたるメッセージ性があるわけではない、シンプルなドキュメンタリーではあるんだけど、素材がとにかく強いから変に趣向を凝らす必要がなかったのかもしれない。とにかく惹き付けられました。 カリスマシェフのフェラン・アドリアが目を光らせる中、チーフとなるオリオールとエドゥアルドを中心にしたメニュー開発が続く。それはなんというか僕らが新メニュー作りでイメージするような感性やひらめきの世界ではなく、あくまで緻密で膨大なリサーチから生み出されてるんだよね。素材を1つひとつ吟味し、掛け合わせの分量もあらゆるパターンを試し、そのレシピを写真とともにアーカイブ化。天恵だけからできたメニューなんてひとつもないんじゃないだろうか? その様子は、科学の研究というほうが似合う。フェランはみずから手を動かすことはほとんどせず、ひたすら指示を与え試食をしてジャッジに徹している。こういうスタイルもまたリーダーの姿なんだろうな。勉強になるぜ。 「創造とは日々の積み重ねだ」。このフェランのひとことがこの映画のすべてであり、おそらくフェランの料理、すなわちエル・ブリが世界一だった秘密なんだろう。それはとりもなおさず"セレンディピティ"である。必然を積み重ねた上での偶然の出会いが、類いまれなる一品のメニューを生み出し、そしてその集積がひとりあたり30品を越えるコースメニューとなって完成されるんだろうな。そのためには確かに半年もの間、店を閉めでもしないと常に新しいものはできないわな。 そんなプロセスを経て完成する料理はアートというか工芸品。肉汁ぶわぁ!とか、湯気もーもー!みたいなシズルは全然ないので、美味そう超食いてー!!とはならんけど、でも果たしてこの品々がどんな代物なのか試してみたいという知的好奇心はむちゃくちゃわくよ。うーんクリエイティブっつーのはそういうことだね。 お腹すくよりモノ作りしたくなるような、いろんな面で楽しめる映画でした。 2011年 12月 09日
ロボットだと燃えない。『リアル・スティール』12月9日公開。2020年、ロボットボクシングが人々を熱狂させる時代。元ボクサーのチャーリーは、ロボットボクシングに夢を賭けるが文無しになり借金まみれ。そんなとき、離れていた11歳の息子マックスを引き取らなくてはならなくなる。またしてもボクシングで負けるチャーリーは、パーツ探しに廃品置き場へ侵入。そこでマックスが崖に落ちた先で見つけたのは、旧式のロボット・アトムだった。リアル・スティール 2020年というごく近い未来を舞台にした、ロボット対ロボットのボクシング。すぐ先の未来だけに、ロボットの造形がわりと現代的で、コントロールシステムと伝達速度や音声認識というまさに今開発中の技術をそれっぽく詰め込んだ設定がなかなかグッド。漢字ロボとか、双頭ロボとか、日本アニメっぽいテイストも少年心をくすぐるぜ。ロボットをリモコン操作ってのはやっぱいいよねー。 でそこに掛け合わされる、駄目父親の再生×親子の絆。まあこの辺はすごくベタだよね。ほとんど脚本的見所はなしと言ってもいいんじゃないでしょうか。それらをだれることなくまとめ、映像的にもテンポよく楽しませたディレクションがグッドでしょう。エンタメ作品として文句はありません。子役がむちゃくちゃキュートだしね。生意気で、クールと見せかけて意外に血の気の多いキャラがまたニクイっす。 だがしかし、なのだよ。どうしてもロボット対ロボットのボクシングに感情移入ができんかったわ。そもそもロボットの能力差がいまいちわからないというか、ダウンしてから立ち上がるときのファクターが不明。ファジーな要素が入り込む余地ってあるの?と思っちゃうのです。機械系統がいかれたら当然おじゃんだろうし、なんかその辺のルールが曖昧で説得力損なってたように思う。人間が根性で立ち上がるのはわかるんだけどさ。さらに言うと、ゼウスはもっと戦術に長けているはずだろうからアトムとの能力差は歴然で圧勝して然るべきだったように思うし(少なくとも5ラウンドまでもつれるのは疑問。エネルギー切れとかありえなさすぎ)、アトムはアトムで最初から音声認識よりもシャドウで戦ってたほうが良かったと思われるのです。このあたりSFとしての緻密さに欠けてた部分は減点対象じゃなくって? ま、そこさえ目をつむれば十分な大作エンタメ。世間の評判はそこそこいいみたいです。 Tags:#アクション/アドベンチャー
2011年 12月 03日
まっとうじゃんか! 『ピザボーイ 史上最凶のご注文』12月3日公開。ピザのデリバリーをするニックはいつも制限時間30分以内に届けられないダメピザボーイ。そんなある日注文を受けて出向いた先で、突然2人組の男に拉致されてしまう。目が覚めると体には爆弾が巻き付けられていた! 犯人の要求は、銀行強盗で10万ドルを用意しろというもの。ジェシーは命からがら友人とともに銀行を遅うが…!ピザボーイ 史上最凶のご注文 - オフィシャルサイト ジェシー・アイゼンバーグ主演で、このナメたタイトル聞いたら『ゾンビランド』を期待するなってほうが無理! 監督が実際、『ゾンビランド』のルーベン・フライシャーだからね! で蓋をあけたらもちろんコメディなんだけど、思ったより全然まともなサスペンス…じゃないか、クライムアクション……とも違うよな、、なんつっていいのかよくわからんけど、エンターテインメントだったよ! 面白かったもの。なんか脚本がちゃんと通ってるから、そりゃ細かいところのリアリティなんてないし、全編「なわけねーだろ!w」なテイストなんだけど、コメディ感が意外と控えめに感じられる不思議バランス。やってることは可笑しいのに。 にしてもジェシー・アイゼンバーグはいいな~。ナードな雰囲気もたっぷりだけど、けっこうヒーロー的素養も感じられるし、振り幅広いよ。もしかしていつかメジャー大作で地球を救うアクションヒーローにもなっちゃうんじゃないか? お相手のチェットを演じるアジズ・アンサリも向こうで人気のコメディアンつーだけあって間の取り方がナイス。それと比べると犯人コンビも味はあるけど、キャラの味付けはちょっと弱かったかもね。ここが立つとぐっと満足度上がったような気もする。あとは一応ヒロインのポジションにいるチェットの妹にもうちっと華があれば完璧だったろうけどそれは欲張り過ぎか。 まあホントどうでもいい映画だけど、テンポよくって軽く笑えて、いい感じのエンタメ作。30分でお届けってわけにはいきませんが、さくっと80分だし気軽に楽しんでちょーだい。 2011年 12月 03日
パーティしたくなるな。『クリスマスのその夜に』12月3日公開。クリスマスのその夜、大勢の人が家に帰ろうとしていた。妻から家を追い出され、でも幼い子供たちの顔を見たい父親。急患に駆けつけた医者を呼んだのは、事情を抱えた出産間近の若い外国人夫婦。物乞いの男は故郷に帰りたくてもお金がないが、偶然にかつての恋人に出会う。クリスマスが終わったら離婚するという言葉を信じていた女だったが、不倫相手は妻の待つ家へと帰ってしまう。それぞれの夜、それぞれのクリスマス。うちに、帰ろう。映画『クリスマスのその夜に』公式サイト ベント・ハーメル監督の小さな小さなクリスマス群像劇。短いエピソードが順々に巡って行く感じで王道的。中盤までは、ややぶつ切り感が強い気がしたのと、個々のエピソード同士のリンクがあんまりないことでやや散漫に感じるんだけど、最終的にみんなそれぞれ「おうちに帰りたい」という想いでつながってることで、しっかりまとまってたわ。おうちの定義はいろいろだけど、温かい場所、大切な人、そんなニュアンス込みかなー。冬には余計に染みますなこりゃ。 エピソードはそれぞれやや寓話的というか意外とエクストリーム。物乞いが過去にはあんな人だったり、妊婦には意外に暗い背景が待っていたり、不倫カップルも手痛い仕打ちが待っていたり。ただそれをことさらに煽ることなく、淡々と描いてるのでもう少し盛り上げても良かった気がするけど、そのあたりのさじ加減は難しそう。クライマックスが出産×オーロラっていう自然界の奇跡のダブルブッキングはややズルだよー。美しいですけどね。 にしてもノルウェーの冬の景色がほっこりしていいんだよな〜。都会ではなく、でもなんか優しくて、家の中も街並も、これぞ北欧世界という感じ。そのあたりを楽しんでもいい作品。ホント、いつか行きたい場所ですわ、ノルウェー。オーロラ観たすぎる。 2011年 12月 01日
普通だから響くわ。『50/50 フィフティ・フィフティ』12月1日公開。ラジオ番組制作会社で働くアダム。なんとなく腰の痛みを感じて病院に行くと、ガンを診断される。複雑な病名をネットで検索すると、5年後の生存確率は50%。わけがわからず、自覚もないまま、しかし時間だけはすぎていく。家族は涙にくれ、恋人とは微妙な関係に。友人だけは、相変わらず一緒にナンパに繰り出そうとするが…。映画『50/50 フィフティ・フィフティ』公式サイト 大ヒット全国上映中! ジョセフ・ゴードン・レヴィット君の普通な感じが実にいいんだよな〜。たれ目がちの優しそうな雰囲気した、見るからにいい人。で実際いい子。そんな彼がガンというまさかの苦難に陥り、悩み、いい人ゆえに周りに気を遣ってしまったり、時には暴発してしまったり。アダム自身が状況を受け止めきれないまま、そして周囲もどう接していいかわからない不安定な感じを脚色しすぎることなく描いていく。周囲の戸惑いというのはよくわかる気がする。本人がどういう態度を望んでいるか予想しづらいから、気を使った方が良いのか使わない方がいいのか判断できないものね。 抗がん剤の副作用で髪が抜け始めると、みずから頭を丸める。自虐ギャグで引っ掛けた女の子とベッドインしてもセックスが苦痛になる。腫れ物を触るような周囲の反応も気に入らないし、でもその気持ちもわかるし、何より自分自身が死ぬかもしれないという恐怖を受け止めきれない。実際に自分があの立場になったらどうなってしまうんだろう。そんな風に自然と思わせ、そして結局どうしようもできないんだろうな、って思ってしまう。でも、決してみんな悪気があるわけじゃないんだよね。どうしたらアダムを傷つけないですむのかわからないからこそ、距離を置いてしまったりするのが普通だと思う。 それゆえ引き立つのが親友のあえての変わらなさ。態度を変えることなく努めて今まで通り。それが正解なのかわからないけど、でもそれこそが一番であると信じて一貫して行動する彼の暖かさが染みるわ〜。セス・ローゲンいいわ〜。心情的にはかなり無理もしただろうし、人知れず絶対に悩んでいるわけで、それをさりげなく教えてくれる演出もよかったよね。 題材としては決して目新しいものではないけど、奇をてらうことなく誠実に真摯に状況と向き合った好編。キャスティングもよかったと思うわ。 2011年 11月 26日
タイトルの印象と全然違う! 『フェイク・クライム』11月26日公開。日々流されるまま生きてきたヘンリーは、高校時代の同級生に突然野球に誘われる。が、それは実は銀行強盗の片棒をかつがされいていて、あえなく捕まってしまう。冤罪のまま刑期をつとめた彼は、出所後になんとなく現場の銀行に戻ったところを、舞台女優ジュリーが運転する車にはねられる。幸いけがはなかったところ、入ったカフェで見かけた古新聞記事をもとに、彼は銀行強盗を思いつく。映画『フェイク・クライム』公式サイト なんだこの映画、すごいヘンテコな空気感だったけど面白かったな~。冒頭、ヘンリーは仕事場である深夜のハイウェイの料金所で佇んでいる。このワンシーンだけでなんかヘンリーの冴えない人生が透けて見える。人々はただ彼の前を通り過ぎていくだけ。加えて、帰宅してからの奥さんとのぎこちない会話でほとんどキャラが語り尽くされてるもんな。すごいことでしょ、これって。そっからはヘンリーの人生よろしくあれよあれよで周りばかりがあれこれ動き、結果ヘンリーは捕まり、嫁は去り、どういうわけか刑務所の中で「お前の夢はなんだ?」なんて聞かれちゃったりして、変な展開していくのに興味をそそるんですわ。 キアヌ・リーブスが主体性ゼロのヘンリーに扮して、いい人だけどまったく人間的魅力に欠ける不思議な人になりきってました。こういうなんにでも身を任せられる人が、急に何かを決断すると無類の強さを発揮するんだよな。そういうリアリティがあるから、荒唐無稽にも思えるしディテールもなにもないストーリーなのに妙な説得力がある。だからこそ刑務所で出会った詐欺師のマックスもつきあってしまったし、ジュリーも彼に惚れちゃったし。このジュリーを演じたヴェラ・ファーミガもほんと上手な女優さんですね。マックス役のジェームズ・カーンもいい感じで、キャストのアンサンブルがすばらしかった。 最後の終わり方も、潔かったんじゃないすかね。原題は『Henry's crime』だったけど、結局のところヘンリーが犯した罪ってなんだったんでしょうね。もしかしたらなにも決めずに流されてきた過去こそが罪っていうことかもしれない。それに対する刑期であって、それを勤め上げたからこそ彼は生まれ変わったのかもしれない。そう考えると、ラブストーリーに落ちてったラストにもすごく納得がいくわ。邦題はなんかクライムアクションか、サスペンスかって感じだけど全然違うってことだけはお忘れなく。でも面白いっす。佳作! 2011年 11月 26日
興味深い監督だ。『不惑のアダージョ』11月26日公開。40歳を迎えようとするシスター。若くして神に身を捧げ、敬虔に暮らしてきた彼女だったが、少し早い更年期障害を抱えるようになっていた。周囲の出産の声なども気になっているところに、あるバレエスクールに臨時でピアノ係を頼まれる。映画「不惑のアダージョ」公式サイト 2009年に製作されてゆうばり映画祭で注目され、世界各国の映画祭で上映された後の凱旋公開とあいなった作品。監督は井上都紀さんという若手の女性。題材は、中年女性の体の変化をきっかけにした、いろいろな思い。シスターという身分ではあるものの、中身はごく普通の女性。時には恋心を抱き、性欲もあり、という中での小さな感情のゆれを見事につかまえる手腕は女性監督ならではかもしれません。 しかしその中の緩急の付け方が巧かったなぁ! シスターの生活は基本的には静。毎朝早く決まった時間に起きて、規則正しい生活を送る。礼拝があり、お勤めがありの毎日。そこに飛び込んで来る、ピアノ代行と、それから村岡さんへの手紙の配達。前者はよい兆しを運び、彼女の中に今までなかった世界を開く。譜面通りの演奏から、踊るようなエモーショナルなプレイへ。そして後者は彼女に激動をもたらす。苛立ちをぶつけるように手紙を読み、結果思わぬ展開が待っていた。 日常の中に寄せては返す小さなさざ波。それは特別なことではなく、誰にでもどこかのタイミングでふと訪れるもの。40歳にして不惑、という言葉がまるで当てはまらない現代だからこそ、この言葉の響きを逆手に取ったユニークなタイトルだと思います。なんといってもハイライトは、ママチャリ疾走のシーンだよね。ユーモアがあり、しかしシスターの感情と見事にリンクした意味のある映像で、目がほころびました。 もしかしたら第二の西川美和になったりして? そのあたりは個を越えてより広い世界を描けるかどうかというところでしょうか。次回作を期待します。 2011年 11月 19日
全部乗せラブコメ! 『ラブ・アゲイン』11月19日公開。突然エミリーから離婚を切り出されたキャル。高校時代に出会い結ばれたエミリーは、会社の同僚と浮気をしていた。理想の家庭を築いていたとばかり思っていたキャルはショックでバーで愚痴ると、見かねた超チャラ男のジェイコブが、男としての誇りを取り戻すべくファッションから話術まですべて指南。キャルは垢抜けた男として生まれ変わる。一方で、両親の離婚に振り回されながらも息子のロビーは子守のジェシカに初恋をし、ジェシカはなんとキャルを男として見ていた。キャルとエミリーの行く末はいったい!?映画『ラブ・アゲイン』オフィシャルサイト いや~面白かったな! よく考えられた脚本と、見事なアンサンブルキャストによるナイスなラブコメ。なんか古今東西のおもしろ要素を全部乗せした感じのいいとこどりボリュームだけど、よくまとまってたわ。逆に言うと、もう普通の男女二人の恋物語だけじゃ話がもたないってことなのか!? キャルとエミリーの熟年離婚を軸にしつつ、息子ロビーの初恋×少女ジェシカの年上願望、チャラ男ジェイコブのマジ恋×お堅いガール・ハンナのロマンスと、3つの恋物語を掛け算した感じ。どれもメインにしてもいいくらいの普遍的題材だけに、へたしたら散漫にもなるし、収拾付かなくもなりそうだけど、よく破綻させずにテンポよくおさめたよなー。強引ちゃー強引かもしれないけど楽しかったからイイんだぜ。 映像でもテキストでもさりげないところに笑いをちりばめて深刻な話にはせず、だけど愛というものについてそれぞれの世代、価値観の中での普遍を見せてくれて、最後にはなんだかとてもいい気分になれるというね。これに説得力があるのは、やっぱキャストの力も大きいんだろうなー。 ライアン・ゴズリングに、外れナシ。いやホント、チャラ男になってもいいわ~ライアン。『ブルーバレンタイン』でブヨらせたカラダをシェイプするどころか、今回はパーフェクトボディまで披露して、スーツをシャープに着こなして、見せてくれます。いやホントいい役者。スティーヴ・カレルがだめおやじを鉄板なのはもちろん、ロビー役とジェシカ役の初々しさもグッド! 『ゾンビランド』で注目したエマ・ストーンは思ったより好きな顔じゃなくなってたけど、ジュリアン・ムーアがそこはきっち締めてくれましたね。この人もわりと外れナシかも〜。 エミリーの浮気がきっかけなわりにそこの断罪がなかったのはなんだけど、笑えてほろりのグッドムービー。万人に安心してオススメできます! 2011年 11月 19日
チャラいっす。『テイカーズ』11月19日公開。ある高層ビルの銀行が襲撃される。犯人グループは、一切の痕跡を残さなかった。彼らは綿密な計画により証拠を残さずに大仕事をやってのけるプロ集団。年に一度だけのルールに則りデカい仕事をし、その金でそれぞれが別の顔で生活をしてた。そんな彼らの前に、かつての仲間であり出所したばかりのゴーストが現金輸送車襲撃の情報をもってやってくる。今までにない破格の金額を前に、彼らはルールを破って計画を練り始める。その頃、刑事のジャックは犯人たちの足取りを掴み始めていた。映画『テイカーズ』公式サイト スピーディでクールなクライムアクションだったけど、言ってしまえばそれだけっちゃーそれだけ。やたらに格好のいいセレブリティな犯人グループがプロの仕事をするんですが、んー目新しさはないかなー。ユーモアがあるわけでもないし、アクションがものすごいわけでもないし、設定が特別斬新なわけでもないし。犯人グループの成功の理由は理性的なルールと緻密なリサーチ、そして冷静な実行力だったろうに、儲け話がきたらあっという間にポリシーを覆しちゃうってのがやっぱ納得いかず。で、それが原因でなんかしらトラブルるってのは、いくらなんでも予定調和すぎるだろーよ。『オーシャンズ』くらいのトリッキーさか、『ザ・タウン』くらいの緊張感がないとなー。 ジャックら刑事側のストーリーも弱いんだよなー。なんか刑事たちってホント困窮しているし、ほとんどの人が嫁に去られているようだけど、実際そんなに別居&離婚率高いのだろうか。まあそうなんだろうけど、なんにせよジャックと相棒のエピソードは犯人逮捕とフィールドが別の話すぎて、まとまってないように思えたわ。それからロシア人グループよ、あっさり情報流すわ、そのくせないがしろにされたことに激怒して無作為に襲撃に行くわ、それじゃ飽き足らず返り討ちで全滅ってそりゃないぜ。そしてあんだけ派手にやりあっといても逃げ切れる犯人ってどんだけ? 見栄えはいいけど中身なし。終わり方もなんか納得いかないし、この人たちみんな抜け目がないのか杜撰なのか全然わかんね。プロならもっとプロフェッショナルに徹してくれないとさー。 Tags:#アクション/アドベンチャー
2011年 11月 19日
ほとんどホラー! 『恋の罪』11月19日公開。21世紀を目前に渋谷円山町の廃屋で起きた殺人事件。浮気相手との情事の最中呼び出された刑事の和子は、切断された死体を前にする。被害者の身元を探り、行方不明者をリストアップ。そのうちのひとり、小説家の妻・いずみは、夫のルールの下で抑圧される日々を送っていた。働きに出たスーパーの試食売り場、声をかけてきた女についていくとそこはアダルトビデオの撮影現場だった。タガが外れたいずみは、やがて自分から男を求めるようになり、渋谷でひとりの娼婦と出会う。昼間は大学の助教授であるその女・美津子は、いずみをさらに未知の世界へと誘い…。園子温監督作品『恋の罪』公式サイト 話題作を連発する(といいつつ『愛のむきだし』も『冷たい熱帯魚』も見ていない)園子音最新作! 1997年に起きた東電OL殺人事件をもとに、みずから大胆不敵に脚本を書き下ろしての衝撃作。いや~、濃い、濃すぎる…! なにもかもがむせ返るような濃密さで、144分、異次元の世界へ拉致られてた気分だぜ。観たくないけど目が離せない的な強過ぎる磁力!! 描かれるのは3人の女の業。家庭に収まりながら満たされない女。社会的地位を持ちながらコンプレックスを抱える女。男勝りの仕事と温かい家庭のはざまから逃れようとする女。刑事を演じる水野美紀がメインキャストかと思いきや、彼女は案内係にすぎず、実質の主演はいずみを演じた神楽坂恵。体当たり…というより、フルヌードでSEXシーンも含めて強烈なキャラクターを演じてますわ。下賎な話、彼女グラビアアイドル時代には脱ぐことはなかったろうけど、女優として脱ぐことになるってのも、なんか因果だなぁ。と思いきやまさかの園監督とご結婚、おめでとうございます。って話それすぎか。 しかしほんと共感しづらいというか、とことん振り切った価値観の中でうごめく欲望と、惰性。暗く、もったりとした質量のある画もあれば、かと思えば光がさんさんと降り注ぐいずみの家があったり、どっちに振っても極端すぎるほど極端な描写。さらにかぶさってくる音楽もホラーかってくらい主張ありありで、あっちへ引っ張られて、こっちにも振り回されて、観終わった後にはジェットコースター20連発で乗った後みたいなぐったりと疲労感さえ残るほどに過剰! でも隙はないんだよなー。長いんだけど、終わってみればあっという間だったような掴まれ方。 極端とはいえ、女性のどこかにはこういう満たされない思いとか、開放したい渇きとかがあるんだろう。女性というか、男も似たようなもんかもしれないと思うけど、でもやっぱりこれは女にしかありえない世界だろうなー。なんかまるで説明不能なこの映画。鑑賞にある種の勇気を要する映画ですわ。ウブな人には薦めらんねーぜ。 2011年 11月 12日
こりゃこえー。『コンテイジョン』11月12日公開。香港出張から戻ったベスは体調不良を訴え、夫は急いで救急車を呼ぶがあっという間に亡くなってしまった。その頃、日本、香港、ロンドンでも同様のケースが起こっていた。ベスを解剖した特別チームは、新型ウィルスの存在を確認。感染者の隔離、感染源とルートの特定に各機関が追われるが、爆発的な感染スピードでウィルスは広まり、情報が錯綜、世界は混乱に落ちていく。映画『コンテイジョン』公式サイト 緊張感ありまくり仮想現実世界。いわゆるホラー映画よりもはるかに怖いわ。フィクションです、って言われても、はいそうですか、ってわけにはいかんだろこれ。だっていつ起こってもおかしくなさそうな、限りなく現実に近い世界なんだもの。感染スピードさながらに、映画のテンポもハイスピードで、最初の感染者ベスはわずか2日というかものの十数分で死亡。夫が悲しみにくれるひまもなく事態は混乱し、検査に乗り込むドクター、そして感染源を探るWHOと、関係者のさまざまなドラマを群像ドキュメンタリかのように切り出す。 とにかくリアルなのね。感染者がうろたえる様子も、どんどんと連鎖していくパニックも。水や食料を求めたり、州外へと逃げ惑ったりする様子は、『ブラインドネス』同様だけど、あっちは極限状態での人間の尊厳みたいなテーマ性が強かったけど、こっちはあくまでこういうこと起こりうるからね、っていう警告というか、メッセージ。人との接触も、階段の手すりとかエレベーターのスイッチとか不特定多数が触れる箇所を媒介としての感染とかも、映像でいや~な感じで出してくるんだよねー。『感染列島』にはこの緊張感とリアリティがなかったからな。 とにかくやたらと豪華キャストで、グイネス・パルトロー(解剖シーン強烈)とマット・デイモン(フィリップ・シーモア・ホフマンばりに太ってたけど役作り?)が夫婦になれば、調査に乗り込んでくる医師はケイト・ウィンスレット(だがしかしこちらもまさかの速攻感染!)。WHOの一員はマリオン・コティヤール(こちらはまさかの拉致られ~)。検査機関の指揮官にはローレンス・フィッシュバーン(いやーこの人にも同情しまっせ)でこの威厳っぷりがたまんねーぜ。そして曲者ジャーナリストにジュード・ロウ(こういうやつホントに現れるんだろうな)ときたもんですから。 ソダーバーグのクールすぎる描写が、サスペンスタッチとパニック感を絶妙にコントロールしておりました。ラスト、種明かしが因果応報というのかなんなのか、これまた恐ろしいぜ。体調悪いときには絶対観にいかないほうがいいわ。潔癖症になっちゃうかも。そしてアジアとか衛生状態よくない国に行きたくなくなるという副作用ももたらしかねません。 Tags:#ミステリ/サスペンス
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