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2009年 02月 20日
感想_チェンジリング
感想_チェンジリング_b0130850_171949.jpgどこまでも闘う女、アンジーにシビれた。『チェンジリング』2月20日公開。1928年、LA。電話交換局で働くシングルマザーのクリスティン。休日出勤から帰宅すると、息子のウォルターが居なかった。警察に捜索を依頼するも、行方がつかめないまま5ヶ月が過ぎた日、ついにウォルターが見つかったという一報が入る。イリノイから戻ったウォルターと感動の再会…のはずだったが、しかしその子供はまったくの別人。クリスティンはそれを主張するが、面倒を避ける警部によって訴えは却下される。クリスティンは、それでもなお本物のウォルターを探し闘い続ける。
『チェンジリング』2009年2月20日(金)より、日劇3ほか全国ロードショー

changelingとは"取り換えた子供"の意だそうで(そんな単語、なんであんだろ?)、なんとも苦しく厳しく険しい闘いのドラマ。アンジーは、夫に続いて子供の行方も捜すことになるとはね。実話と思うとどうにもやり場のない無念さに包まれまつ。そんなのってないよ〜! 腐敗した警察、見つからない希望、精神病棟での苦痛、それらに耐えて耐えて耐えて、なお諦めないクリスティンの強さと勇気に頭が下りますわ。アンジーは1920年代のルックスにもよくハマってて(お顔濃いけど)、クリスティンになりきってたと思います。

最初、親としての「responsibility」の話かと思ったし、社会的ないろんな背景が何重にも詰まってはいるけど、やっぱりこれは本質的な母の愛と闘いの記録。さまざまな人々と数々の苦難に翻弄されながらもそれを乗り越え、最後救われた、とは言いがたいけど、その生き様は胸を打つものがありました。オレだったらきっと、精神病棟でサインしてしまっていたのでは、と思っちゃいますわ。でもクリスティンにとってその行動は勇気とかその類いでもなんでもなく、愛情あふれるゆえにそれ以外の選択肢ってなかったんだろうな。

サスペンス要素も織り込んだイーストウッドの演出もみごとで、ウォルターの行方にやきもきしつつ140分超を感じさせない引き込みっぷり。『硫黄島』などでおなじみのグレーがかった映像もぴったり。そしてこれまたいつも通り心に寄り添う音楽。どこで撮ったんだろ?っていうロケーションも、オールドLAを再現してました(LA郊外のサンジマスってとこだそうで。あるんだね、こんなとこ)。

生真面目な作品ですが、イーストウッド印の良作。重みのある素晴らしい1本でした。

by april_cinema | 2009-02-20 00:00 | All-Star


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