2010年 03月 20日
皮肉な結末〜。『ウディ・アレンの夢と犯罪』3月20日公開。イアンとテリーの兄弟は、小型クルーザーを共同で購入、"カサンドラ・ドリーム"と名付ける。ホテル投資事業への野心を抱くイアンと、恋人とのマイホームを夢見るテリー。イアンがとある女優と出会い急速に惹かれる中、テリーがギャンブルで大敗してしまう。借金の肩代わりを資産家の叔父に頼むと、彼はある交換条件を提示。それは、一人の男を消してほしい、というものだった…。 映画『ウディ・アレンの夢と犯罪』公式サイト 今回はまた悲劇的だったな〜。なんでもなさそうな普通の兄弟がたどる一筋縄ではいかない運命は、実に普遍的であり哲学的。「確かなことは人は死ぬってことだけ」なんてサラリと台詞にしちゃうだけあって、この結末にはうなっちゃうわよ。お話自体が目新しいというわけでもないのに、お得意の会話劇の中に人間の本質的な部分が思いっきり詰め込まれてるのよね。まさに夢と犯罪。紙一重のようで、表裏一体のようで、確かなボーダーラインがあるようなないような、の一線をつきつけてきます。 すなわち転機を前にしての兄弟の反応の差は、どちらも人間に備わった部分なのよね。悪いことからは目を逸らして保身を選ぶのか、それとも良心の呵責に苛まれていくのか。おそらく誰もがその両方を持ち合わせているからこそ、兄弟が真逆のベクトルを示すことで観客は揺さぶられる。どっちの気持ちもわかってしまうわけですから。そして最後にはどんな審判が下されるのかを今か今かと待っていて、ずどーん、この結末は天晴と言っていいんじゃない? 歴史は繰り返すもんですか、やっぱり。 やっぱり会話中心のため、どうしても中盤の展開で中だるむけれど、ブレのない徹底したウディ節はまだまだ健在ですわ。いつになくコメディ要素が少ないように思ったけどね。
by april_cinema
| 2010-03-20 00:00
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