2011年 03月 18日
アメリカンスピリット、かしらん。『トゥルー・グリット』3月18日公開。父をならず者に殺された14歳の少女マティ。彼女は自らの意思で犯人トム・チェイニーへの復讐を誓う。インディアン居留区へ逃げたチェイニーを探すため、"真の勇気=トゥルー・グリット"を持つといわれる保安官ルースターを雇い、また別の容疑でチェイニーを追っていたテキサスレンジャーのラビーフが仲間に加わり、3人の旅が始まる。 映画『トゥルー・グリット』オフィシャルサイト コーエン兄弟が初めて手がける西部劇! なるほどこりゃ西部劇だわー。話はいたってシンプル。父を殺された娘が、復讐のために犯人を追う。で、ダメっぽいおっさんと、ちょい堅いあんちゃんが仲間に加わると、ね。西部劇にたしなみがあるわけじゃないけど、かなり王道といえるストーリーなんじゃないでしょうか。アメリカの古典文学で、すでに一度映画化されている作品の再映画化だし。でも、わずか14歳の少女が、ぶっとびおっさんと、かわったおっさんと3人で荒野を旅するって考えたらものすごいことだよね。なんとなく物語慣れしてるとその根源的驚きを忘れちゃうけど。彼女が臆せずに彼らを雇い入れ、彼らの心も動かす姿にはぐっときますぜ。 その古典を、ある種美しく、そしてある種今っぽく撮るのがアメリカで大ヒットした理由か。特に最終盤、マティとチェイニーが対峙するところからはぐっとドラマチックかつフォトジェニックな感じ。撃ち合いは最小限で、乗馬しながらの1対4の対決も短い尺で鮮烈に描くあたり潔くて格好がいい。さらにラス前の蛇なんて古典中の古典なのにゾクっとしちゃったもんなー。まさか21世紀にもなって蛇に恐怖を感じるなんて驚き。で最後、夜の中を駆けていく乗馬シーンもすごく印象的! なんですかあの満天の夜空をただ一騎駆けていくロマンチックさは。とにかく早く届けて!って手に汗握りましたもの。 ジェフ・ブリッジスは『クレイジー・ハート』さながらの酔いどれ親父。ギターをガンに持ち替えての芝居は貫禄以外のなにものでもないやね。マット・デイモンもこういう役は本当にお似合い。次々とメジャー監督に呼ばれるところを見るとどの監督にも愛されてるんだろうなぁ、マットって! で、目玉は映画賞をにぎわせまくったマティに扮したヘイリー・スタインフェルドちゃん! ファーストシーンから存在感ある~!って感じで、はっきりした物言いや14歳の可憐さを表現してくれましたの。マティさながら名優ふたりを相手に一歩も引かず。ただ、個人的には世間の絶賛表ほどに上手!とは思わなかったなー。アナソフィア・ロブとか、アビゲイル・ブレスリンとか、最近じゃクロエ・モレッツほどの萌え感はなかったけど、それって単に顔の好みの問題? この先どう育っていくのか、楽しみがひとつ増えたわ。好々爺なオレ。 すごくシンプルでアメリカンスピリットの根源みたいな話は、日本暮らしとしてはやや距離を感じるけれど、構成や見せ方はさすが秀逸。名優の鉄板演技×新星登場と合わせてぜひお楽しみください。
by april_cinema
| 2011-03-18 00:00
| All-Star
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