2011年 10月 29日
まるで腑に落ちない大人の自分肯定話。『マーガレットと素敵な何か』10月29日公開。40歳の誕生日を迎えたマーガレットの元に、マルグリット宛の手紙が届く。送り主は7歳の自分。手紙の内容は、今の自分の生き方を問うものだった。過去を切り捨て、仕事第一に生きてきたマーガレットは、忘れていた過去に揺さぶられて。 「マーガレットと素敵な何か」オフィシャルサイト ファンタジーというのはリアリティがあって初めて成立すると思うのです。その点で、どうもこの話は腑に落ちなかったんだよなー。マーガレットは、父が去り貧しかった過去から逃れるために、自立し大人になろうと誓った子。それが、長い時間があったとはいえその過去をそんなにすっかり忘れてしまうものなのだろうか。自分からの手紙がまったく身に覚えがないほどに。そしてそれを見ても過去の自分についてなにも思い出せないほどに。それに移動中にずぶぬれになってトラムにかけよったり、手紙をトイレに流そうとして詰まらせたり、ってのは効率第一のアグレッシブウーマンになったマーガレットからは想像できない行動なんだけど。 手紙をファンタジックにコラージュさせるビジュアル手法もなんだか妙に安っぽくて、垢抜けない少女趣味に肌が合わなかったのもいたい。子供の頃のビジュアルや、穴掘りにしても、ファンタジーとリアルの間のどっち付かず感がなんか苦手。うーん。 テーマはわかる気がするんですよ。過去があって今があって未来があって、人間なりたい自分てのはいろいろあるけれど、それも結局のところは自分自身以外の何者でもないということ。それを忘れては何者にもなれないということ。だけど、その普遍的テーマを表現するアプローチが僕の好みとはあまりにもかけ離れていたわ。
by april_cinema
| 2011-10-29 00:00
| 6th-man
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