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2011年 10月 29日
感想_フェア・ゲーム
感想_フェア・ゲーム_b0130850_2037534.gifこれが実話か! 『フェア・ゲーム』10月29日公開。2002年、CIA諜報員として兵器拡散防止のための任務に就くヴァレリーは、イラクの核兵器開発を止めるべく、アフリカや中東の情報を集めていた。しかしイラクが大量兵器を保有しているという確証がないままイラク戦争が勃発。ヴァレリーの夫、ジョーは彼の調査を政府が無視したことを告発すると、政府側はヴァレリーがCIAであることをリークし、夫妻を社会的に抹殺する報復行為に出た。失望するヴァレリーと、公の場で抗戦するジョー。以前の生活が崩壊する中で、ふたりの意見さえもすれ違い…。
映画『フェア・ゲーム』公式サイト

なんとこれ実話なんすか! 風刺たっぷり、リアリティ特盛り、かつエンターテインメントで夫婦の物語でもある多重的ストーリー。しかも長くなりそうな話をものすごくテンポよく消化していて息の抜けない緊張感ある力作だったなー。CIA活動はいくらでも冗長になりそうなところを、スマートにまとめ、説明すべきところはしながらも、ダラダラ要素は皆無。どんどんその世界に引き込まれるわ。前半はヴァレリーの活躍が中心。ナオミ・ワッツはこういうシリアスで追い込まれる役が本当に似合うマゾヒスティック美人だぜ。

で後半、おとなしそうな理解ある優しき夫かと思わせつつ、いよいよホワイトハウスとの対決になるとがんがん前に出てくるショーン・ペン。これまたテレビでのコメントにしても、大衆向けの演説にしても、さすがすぎるんですよ。『ミルク』しかり『オール・ザ・キングスメン』しかり。説得力ありまくり。それに加えての夫婦の愛情の物語も端的ながら、安っぽくなく軽々しくないんだよね。役者ふたりを見ているだけで大満足。

そこに、アメリカの対イラク戦争の背景が加わるわけ。大量兵器がないということがわかっていながらも、感情的に宣戦布告し、間違いを認めないためには自国民すらも騙すやり方は捨て置けない。ジョーが乗ったアフリカ出身のタクシー運転手の言葉、最後のジョーの講演、CIAの長官の言葉、いろんなアメリカの姿が映し出されているところも評価したいよね。

エンドロールでは本物のヴァレリーの証言映像が登場。ナオミ・ワッツのなりきりっぷりが確認できますぜ。地味かもしれないけれど、間違いなく高品質。オススメです!

by april_cinema | 2011-10-29 00:00 | All-Star


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