2011年 11月 05日
複雑だけどなんかいいな。『家族の庭』11月5日公開。春、トムとジェリー夫妻は市民菜園に種をまく。離れて暮らすジョーはなかなか顔を見せず、ジェリーの職場の友人メアリーは今日も酔いつぶれる。夏、トムの友人ケンがやってきてガーデンパーティ。遅刻してきたメアリーはジョーにからんだり、今日もトラブルメーカー。秋、ジョーがガールフレンドのケイティを連れてきた。明るく利発なケイティはすぐにトムとジェリーに気に入られるが、メアリーは険悪なムードに。冬、トムの兄・ロニーの妻が亡くなった。 家族の庭 両親と息子、ロンドンに暮らすひとつの家族の1年を4つのパートにわけて、そしてヒジョーに淡々と会話が続いてく。大筋はそれだけで特別なドラマなんてない。ごく小さなエピソードが持ち上がったり持ち上がらなかったり程度。なのに、なんでしょうかね、終わってほんのり残るこの温かみは。決して美しい話ばかりなんかじゃないんですよ。邦題はなんだかハートウォーミング路線な匂いを醸しちゃってるけど、哀しいできごとだって起こるし、むしろメアリーなんて単に痛々しいだけ。終わり方もけっこうバッサリなんだけど、それでも後に残るのは家族の、家族にしかわからないあの安心感なんだよね。きっと誰もがこんなふうにありたいって思うよーな。 そしてその空気と世界観を作ったアンサンブルキャストが見事すぎ。メジャー俳優がいるわけじゃないけど、監督マイク・リーの常連キャストたちが、リアルな家族とその友人たちを演じてて、これ芝居なの!?ってくらいの自然な空気を醸してるんだわ。気まずさも、喜びも、はにかみも、苛立ちも、全部ひっくるめて表現しきるこの感じすごいわー。本当の家族にしか見えないよとにかく! 特にケイティはキャラ含めてすんごい良かったわ。どんな親でも息子がこんなお嬢さん連れてきたら嬉しいだろうに。会話のリズムとウィットは本当に素敵だったと思う。 家族にしか出せない安心感。長く時間をともにするからこそ生まれる信頼。そこには異物が入り込むこともあり、予測不能なできごとも起こるけれど、それらを吸収してさらに家族は家族として盤石になっていく。見終わって思わず、家族って本当にいいもんだと思ってしまったぜ。「家族の庭」っていう邦題はピントがずれてる気もするけど、秋の二推し映画決定。一推しは『ラビット・ホール』なわけだけれども。秋はこの手の物語が染みますな〜。
by april_cinema
| 2011-11-05 00:00
| All-Star
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