2012年 08月 11日
ないものねだりが夢の跡。『テイク・ディス・ワルツ』8月11日公開。マーゴが取材先で出会った男・ダニエルは、偶然にも家が近所だった。マーゴには、結婚5年になる夫ルーとの穏やかで幸福な日々があった。夫は鶏料理の専門家で、今はレシピ本の作成にかかりきり。それから、ときどきダニエルを見かけるようになり、言葉を交わすようになる。いつからかはわからないけれど、ゆるやかに消えてしまった夫婦の熱。その中で新たに芽生え始めた静かな衝動。越えてはいけない一線を意識しながら、そのはざまでマーゴは揺れ動く…。 映画『テイク・ディス・ワルツ』公式サイト│8月11日(Sat)、ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマほか全国順次公開 サラ・ポーリーが監督で、ミシェル・ウィリアムズ主演ときて期待するなっつーのが無理。がしかし僕の描いていたイメージとはまた違ったなこりゃ! 『アウェイ・フロム・ハー』が、老夫婦の純愛だと思っているから、この作品でも困難な状況の下でのピュアな愛情が描かれるのかと思ったら、違う、全然違う! シリアスはシリアスでも、より人間のサガに鋭く迫ってくる感じ。しかも浮気や欲望という、どちらかというと目を背けたいほうのやつ。 甘さと気だるさ、湿度をたたえた映像と、細部まで作りこまれたディテール、それに気のきいた音楽。これらがあわさりながらも、展開は決してロマンティックではない。というか、ロマンティックなようでいてラストそれを強烈にあざ笑うようなビターテイスト。客観的に言うと、誰も応援できない。認めるわけにいかない。なのだけど、彼らの行動を非難も否定もできない自分がいて。。終わってから気付いたけど、これは江國香織の世界に酷似していやしないか!? 満たされているはずなのに、満ち足りることなく新しい刺激へとさからいようもなく流されていってしまう感じ。結局手に入れたものも、あんなに瑞々しかったはずのものも、やがては古びて色あせていくというのに! 終盤の急展開はそれをポップに、アイロニカルに見せてくれて、これはかなりズシリとこたえる~! ミシェルの若いんだか老けてるんだかわからないけど、なんとなく艶かしい感じが役にぴったり。『ブルーバレンタイン』とも連動しそうな夫婦自然消滅の話をまたもリアリティもって演じてくれちゃいました。そしてお相手カナダ人は、マイケル・ファスベンダー風のいい男。リキシャ引きのアーティストってのがなんかリアリティあるんだかないんだか! そしてダンナのセス・ローゲン。いい人なんだけど物足りない、がこんなに似合うなんてね。 思い返せば返すほどに、細かいところにまで手が入っていて、深い海の底みたいな抜け出せない感じの質量を持った作品。やっぱりサラ・ポーリー、ただものじゃなし。マジョリティになる映画じゃないけど、魅力あるわー。
by april_cinema
| 2012-08-11 00:00
| All-Star
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