2013年 02月 23日
なにこのあったか切なさは! 『横道世之介』2月23日公開。長崎から上京し大学に入学した横道世之介。暢気でお人好しな性格で、知り合った人はなんだかんだでみんな彼のことを好きになってしまう。なにが特徴というわけでもないのだけど、思い出すとつい笑ってしまうようなそんなやつ。入学式で一緒になった倉持、阿久津。ミステリアスな雰囲気の千晴さん。授業が一緒だった加藤。そして世之介を妙に気に入ったお嬢様の祥子。みんな、世之介のことが大好きすぎて。 映画『横道世之介』公式サイト 高良君のポスタービジュアルが変過ぎて(この写真じゃない、サンババージョン)イロモノ警戒ランプがともったけど、沖田監督だし期待もありつつの鑑賞。すっごい、ものすっごい良かったわ。原作未読だったのがよかったのかもしれない。高良君のこのツンデレボンクラな感じがとてもよくハマってて、80年代ファッションのだらしなボーイなのに格好いいという反則技。そこに加えて吉高萌え全開キャラにメロメロにされてこれだけでノックアウト。しかもこのふたりのやり取りはいちいち笑えるんだよー! 世之介がかかわるうちに、自然とみんなの人生が決定づけられていくのが不思議。倉持と阿久津の結婚もそう、祥子のボランティアもそう、きっと加藤や千晴さんも影響されていたに違いない。隣のカメラマンも微妙に糸を引いてるよね。そしてそれは世之介の運命すらも決定しているんだけど、そういう自然な影響力や魅力が描写の中からも外からもちゃんと漂ってきてた。台詞だけでも映像だけでもないところから。これ監督の手腕とキャストのチカラが最高地点で合致したからだと思うわ。 主演ふたり以外のキャスティングも絶妙だったわ。池松君もベストアクトだったと思うし、綾野君もずっぱまり、きたろう&余貴美子夫婦は鉄板だし、江口のりこの使い方は反則級だし、ARATA君もまあ間違いないツボの押し方。佐津川ちゃんとか細かいところもいいよねー。あとお手伝いさんにはかなり笑わされましたよ。サンバで倒れた世之介の「オレのことは気にせず先に行ってください」も声出したわ。 しかし、90%楽しいのに、いや、楽しいからこそ残りの10%の切なさが半端じゃない。種明かしされてからの後半戦、何見ても泣きそうになってしまったわ。そして160分もの長尺なのに、終わらないでほしいと思ったレベル。写真もそう、未来からの回想もそう、この構成の絶妙さにも参りました。原作はいったいこのあたりどうなってるんだ? とにかくこれは今年のベスト邦画級になるだろう1本。手放しで推しますんでぜひ観てください。
by april_cinema
| 2013-02-23 00:00
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