2013年 09月 13日
したたかにデキる男。『私が愛した大統領』9月14日公開。ある日、1本の電話で呼び出されたデイジー。向かったのは、いとこであるルーズベルト大統領の元だった。恐慌の不安定な社会の中、疲弊していた彼のため、彼の母親が話し相手として呼び出したのだった。控えめなデイジーに、切手のコレクションを見せ、和やかに話すルーズベルト。デイジーがいると暗い政治を忘れられると言い、そしてデイジーもそんな彼に惹かれて行くのだった。時は流れ世界大戦前夜、英国王ジョージ6世が、ルーズベルトのもとを訪ねてくる。その日もデイジーは呼び出されていたが…。 【公式サイト】『私が愛した大統領』│ 9月、TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマほかにて全国ロードショー おお、地味ながら味わい深い良作だったわ! 邦題からしてラブストーリー感が強いけど、それはこの映画の限られた一面でしかないかな。ハイライトは、ルーズベルトとジョージの深夜の対談であり、そこにいろんな機微と示唆が詰め込まれていたわ。ビル・マーレイがいつものダメおじさんぷりを封印して、演技派の妙を見せているんだよなー。格好いいぜ。 すなわち、大統領として長く支持された彼なりのカリスマ論であり、トップに立つものとしての矜持。どんな王様にも大統領にも秘密や影はあるかもしれない。だけど、民衆はそんなところを見たくないのであり、仮に見せたとしてもそんなものはなかったこととしてしまう節があるということ。ならばそういう秘密の暴露を恐れる必要はなく、ただトップとしてやるべきことをやっておけばいい、というような、持っている人にしか言えない言葉かもしれないけど強かったな。重度の障害を抱えていたルーズベルトが、吃音に悩む(『英国王のスピーチ』でおなじみ)ジョージを叱咤激励する姿は、静かな感動があったよ。ジョージも持ち前の優しさが垣間みれてよかったしね。 そしてデイジーとの関係。彼女との関係自体に嘘はないけれど、それがすべてではなかったというね。デイジーからしたらショックだけど、ルーズベルトはそれでも平気。ここにも王者の姿がありましたわ。そしてそれを結局は受け入れてしまうデイジー。そしてルーズベルトの周りの妻や秘書たち。 派手さはとことんないけど、ツボを抑え歴史ロマンをじんわり感じさせる良作。インテリ心をくすぐられる一作でした。
by april_cinema
| 2013-09-13 00:00
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