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2014年 04月 19日
感想_チョコレートドーナツ
感想_チョコレートドーナツ_b0130850_082689.gifその目を、曇らせるもの。『チョコレートドーナツ』4月19日公開。1979年、LA。女装してステージに立つルディは、隣のアパートに取り残されていたダウン症の少年マルコと出会う。母親は薬物依存で逮捕され、孤独なマルコを放っておけないルディは、パートナーのポールに相談し、引き取って面倒を見ることに。同性愛差別の厳しい時代、ふたりは従弟と偽りながら、マルコに愛情を注ぎ、1年の平和な日々が過ぎる。しかし、ゲイ同士であることがバレたことで、ふたりはマルコを取り上げられてしまうのだった。
映画『チョコレートドーナツ』 オフィシャルサイト

あまりにも、結末が残酷過ぎて…。実話なのだから、これはもうすでに起こっていることであって、何も変えようがなく、ただただ胸を痛めるばかる。どうしてこんなことになってしまうのか。何をどうしたら、この悲劇を避けることができたのか。答えはないけど、ひとつ憎むべきものがあるとすれば、差別偏見意識なんだろう。彼ら3人は、実の親子以上の愛情でもってつながっていたのに、偏見がそれを奪ってしまったのだから。裁判は差別を確認する作業にしかならなかったのだから。

ルディとポールの愛情は本当に美しくて、それだけで泣けたわけです。学校に連れていき、寝る前には読み聞かせをしてあげ、一緒に歌い踊る。ハンディを抱えるマルコだけど、そんなことは関係のない無償の愛。いえ、彼ら自身ゲイであることでマイノリティに追いやられていたからこそ、通じ合えるものがあったことは想像に難くありません。マルコを取り上げられてからも、諦めずにそれぞれのスタイルで戦い続ける姿は、本当に胸を打ちました。だからこそ、結末はあまりにも残酷だ。ハッピーエンドが好きなマルコには、とても聞かせられない。最後、ポールはルディに真実を告げたんだろうか。もしかしてルディは何も聞かされるず、いつか会いにくるマルコを待ち続けているんじゃないだろうか。マルコに向かって歌い続けているんじゃないだろうか。

主演のアラン・カミングはトニー賞受賞というキャリア通り、歌もお芝居もものすごく良かったわ。差別にさらされながらも自分の生き方を貫き、激情家ゆえにポールにもマルコにも愛情あふれていて。対するポールもまた弁護士という正義を求める職業の中で、同性愛に向き合い、世間的にはノンと言われる世界の中で戦う姿に感動を覚えました。

僕たちの目を曇らせる、差別や偏見の目、意識。すべてのボーダーがあまりにも無意味であることを、心の底に刻み込んでくれる重要な映画だと思います。こんな悲劇が、起きることのないように。フラットな心を持たないとな。

by april_cinema | 2014-04-19 00:00 | All-Star


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