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2014年 05月 30日
感想_インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌
感想_インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌_b0130850_0212870.gif渋クール! 『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』5月30日公開。フォークシンガーのルーウィン・デイヴィスは、何もかもがうまくいっていなかった。相棒を失って以来、レコードは売れず、住む場所もままならない。ソファを借りた知人の家を出ようとしたら飼い猫を逃がしてしまった。さらに、少し前に関係を持った友人の女性からは妊娠したことを告げられてしまう。八方ふさがりの彼は、運命を変えるため、シカゴへと向かう。名物プロデューサーに会うためだった。
インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌

コーエン兄弟最新作は、クールに男の生き様を見せてくれる快作! いや〜、見惚れた、いや、聞き惚れました。ルーウィンはとにかく上手くいってないんだけど、めげないへこたれない、そして信念を曲げないんですわ。猫はちゃんと探すし、友人への義理は通すし、自分を安売りしたりしない。NYの超寒そうな冬でもコートなしでなんとかがんばっちまう。シカゴへの道のりが変な奴と一緒でも我慢していくし、ハイウェイで動物をはねそうになって胸を痛めるし。

カッコいいのはそれだけじゃなくて、歌が聴かせるんだよなー! 主演のオスカー・アイザックその人のしゃがれた歌声がいいんだよ。泣けるフォークなわけです。髭もじゃの風貌もなんか格好よく見えてくる! キャリー・マリガンや、ジャスティン・ティンバーレイクも、なかなかいい感じで絡んでまして、キャストも見応えあり。そのほかの60年代の音楽もまた聴く価値ありです。ついでに当時のNYの冬の風景もいいぜー。行きたくなるぜー! おっと忘れちゃいけないのが猫のユリシーズ様だった。見事な助演でした。

後から知ったけど、このルーウィンには、モデルとなったミュージシャンがいて、それがデイヴ・ヴァン・ロンクという人だったんだって。そして、彼はボブ・ディランにも影響を与えた人物だったとか。さりげなくラストに、それを匂わせるシーンがあって、観たときは、今のなんだろ?くらいにしか思わなかったんだけど、後で知って納得しましたよ。

渋くてクールなその生き様を、軽妙洒脱に見せるのはコーエン兄弟らしいテクニック。だからなんだって言われたらなんでもないんだけど、いいんだよ。それがシンガーの生き方なのさ。

by april_cinema | 2014-05-30 00:00 | All-Star


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