2015年 01月 24日
感想_おみおくりの作法
b0130850_9203755.gif死は、厳かで、美しい。『おみおくりの作法』1月24日公開。役所に勤めるジョン・メイの仕事は、孤独死した人の葬儀を執り行うこと。事務的に済ませてもいいところだが、彼は死者のことをよく調べ、その好みや宗派などにあわせて真摯に見送っていた。またやってきた新しい仕事は、自宅の向かいで亡くなったというビリーを弔うこと。同じ頃、ジョン・メイは解雇を告げられ、最後の仕事としてビリーにのめり込んでいく。彼の過去を調べその足跡を辿る中で、ジョン・メイは知らなかった世界を知ることになる。
おみおくりの作法

傑作でした。静かで、美しくで、情熱的で、少し悲しいけれど。人間は必ず死ぬ。誰かに看取られながらか、誰にも知られないままに。ひとりで去っていくのは確かに孤独なことだけど、人生のすべてが孤独ではないことをこの映画は教えてくれる。誰もが誰かと関わり合う。どんな形であれ、どれほどか細いつながりであれ。それって、なんかすごく豊かなことだよなぁ。と、生前にしてそれを教えてもらえて本当にラッキーだな、と。

人生において本当に大事なことって、誠実であることだと思う。ビリーはアル中だったし、娘を手放しているし、路上生活した時期もあったみたいだし、経歴的にはろくでなしだ。ろくでなしだけど、彼はよくよく見てみるといいこともけっこうしてたし、それゆえに疎遠でありながら人々に記憶され、場合によっては愛されていた。いい人間じゃなくても、誠実であればきっと誰かが見ていてくれる。覚えていてくれる。そういうことなんじゃないかな。ジョン・メイがそれを確実に体現していたしね。彼の背景は語られず、孤独であることと誠実であることが描かれる。それが最後の最後で、実を結ぶ。誠実さ以上の美徳ってないのかもしれない。間違っていても、誰かにとっては不正解でも、自分自身に嘘をつかずに。誠実に。

淡々としながらも、きちんと物語をつたえるディレクション、お見事です! 説明ではなく、絵でジョン・メイの仕事と生き方を見せ、そしてストーリーを語り、最後にはちゃんと心を動かしてくれる。こういう映画がひとりでも多くの人の目に触れるといいなぁと思います。

今日も、誠実に。心に刻もうと思いました。
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by april_cinema | 2015-01-24 00:00 | All-Star


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