2015年 03月 07日
後篇を見ないことにはね。『ソロモンの偽証』3月7日公開。クリスマスイブの夜、2年A組の柏木君が死んだ。学校の屋上からの転落死、それは自殺と結論付けられたが、他殺であるとする告発状が届いたことで学校と生徒たちは大いに揺れ動くことに。柏木の同級生であり事件の発見者の藤野涼子は、真実をつかむため、自分たちで事件について調べることを決意。中学生による、中学校で行われた学校内裁判。それは20年が過ぎた今も、伝説として語り継がれることになる。 映画『ソロモンの偽証』オフィシャルサイト <前篇・事件>2015年3月7日(土)、<後篇・裁判>2015年4月11日(土)公開 貪るように読んだ宮部みゆきの原作が、前後篇2部作となって映画化。その前篇は、思った以上に重た〜いダウナーなテイスト。死体のメイクはショッキングだし、告発状を書く樹里ちゃん怖いし、いじめ映像も残酷だし。小説のテイストはおさえたドキュメンタリータッチだったけど、映画はかなりあおってきてました。昭和をイメージしたのか暗めの映像もホラーっぽさを増してたしね。樹里ママの永作さんも怖いし。松子の父を演じた塚地さんはものすごくよかったな。 原作を読んでいる身としては、各キャラの掘り下げの少なさや、エピソードの展開の性急さに不満を覚えましたな。涼子の内面は全然語られないし、刑事である父とのやりとりも見えてこない。モリリンはただ不安定なだけのキャラで生徒との関係性も見えない。柏木の不気味さはなんとなく出てたけど、お兄さんとの確執がないとそのすごみは足りない。樹里ちゃんのコンプレックスはだいぶ大事にされてたようだけど、まだまだそんなもんじゃない。野田くんなんてただのお人好しになっちゃったね。本当はそんなもんじゃないんだぜ。なんていうと、原作に引っ張られすぎだね。映画は映画だし、後篇を見てからじゃないとなにも評価できませんね。 原作のイメージでは、思春期の心の移ろいや、スクールカーストが主テーマと感じていたのだけど、映画はより「嘘」を強調してきたのかなーと思った。てかそもそもタイトルも偽証だしね。でも原作、偽証って主題になってたっけ? 嘘ではないけど、黙ることや隠すこと、それがよかれと思ってやっていることでも、嘘は嘘。偽善もまた、嘘のひとつ。そんなところを追求していくのかな。中学生という大人と子供のはざまで、嘘をつくことは処世のための通過儀礼となるのか。それでも人は真実を望むのだけど。 中学生にしてみんなしっかり者すぎるだろう、というのは原作通りながら、ほぼ00年生まれ前後のフレッシュな中学生キャストのみんながいい感じ。涼子はもうちょっと美人がいいなって思ったけど、将来性あるかもね。大出くんや神原くん役の子はイケメン俳優にはるかな? まえだまえだのお兄ちゃん、太りすぎだよ。そして樹里ちゃんのほうが実は将来性あるのかも。とかとか。 前篇が面白かったとは言えないけど、後篇に期待しつつ、それよりも現実世界の川崎の事件となんとなくのリンクを感じなくもなくて胸が痛いです。 <2015年11月3日追記> 後篇見ました。原作で読み取れなかった部分に気付けてよかったです。 感想_ソロモンの偽証<後篇・裁判>
by april_cinema
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