2015年 03月 13日
感想_イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密
b0130850_19102926.gif解けないのは暗号よりも人の心。『イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密』3月13日公開。第二次大戦下、ドイツ軍の進撃を止めるため、彼らの使う暗号を読み解くチームが結成される。そこに加わったひとりがアラン・チューリング。天才数学者であるアランは変わり者ゆえにチーム内で疎まれながらも、暗号解析のためのマシン"クリストファー"作りを進める。しかし、思うような成果があがらず、チーム解散の危機が迫る。極秘で進められたその計画と、アランが抱えた秘密に迫る、事実に基づいた物語。
<公式>映画『イミテーション・ゲーム / エニグマと天才数学者の秘密』オフィシャルサイト|3月13日(金)ロードショー

抑えめのストーリーテリングながら、それは抑制の効いた実に理性的で美しいシナリオ! タイトル、テーマにふさわしい知的ゲームのような作品でした。すごく面白かった! でもこれは、単なるエンターテインメントではありません。話の主軸は、ドイツ軍の暗号「エニグマ」を読み解くことにありながら、それを紡ぐテーマは秘密と嘘。暗号解き、スパイ活動など国家レベルの秘密から、組織の決まりごとや恋の駆け引きといったパーソナルな嘘まで含めた、人間の心理の読み解けない複雑さこそが主題として横たわってました。これはなんとも素敵な伏線いっぱいストーリー!

例えばアランは、決定的な秘密をひとつ抱えている。妻となる女性にその事実を隠し、そして真実を告げながら彼はもうひとつ別の嘘をつく。でも、彼女はきっとそれにも気づいていたよね。だけど受け入れたんだよね。それはマシンには導き出せないなんとも人間的な答え。学生時代のアランが負った傷もまた、人間心理の複雑さを示す。秘めた愛情と、最愛の人に打ち明けてもらえなかった秘密。それは彼の人格にどんな影響を与えただろう。心を閉ざしただろうか。嘘はつかないと誓わせただろうか(だから彼は冗談を言えなくなった)。でも、あのときにはわからなかったことを、アランはこの仕事の中で知っただろう。人は、良かれと思って嘘をつくことが、少なからずあるということを。

アカデミー賞候補にもなった、ベネディクト・カンバーバッチ、さすがのいい仕事。こういうキレ者、カワリ者はお手の物だろうね。コリン・ファースの次は彼と言う感じがすごくします。ヒュー役の彼もイケメンだったし、妻となる人を演じたキーラもよかったね。『はじまりのうた』のナチュラル美人もよかったけど、こういうクラシカルなお転婆ギャルもいけちゃうんだね。顔は美人なような怖いようなって気がしちゃうけど。どの作品でもキレるキーラの顔が忘れられなくて怖いぜ。

しかしこれが実話であり、国家機密としてつい最近まで伏せられてたり(この事実もまた映画のテーマとリンクする)、世の中には知らないこと、知らないほうがいいことがゴマンとあるわけですな。特定秘密法案について、ふと思ったりもしちゃったり。なんにしても、これだけの骨太で親密なテーマを織り込みながら、3つの時代を織り交ぜて編み込んだプロットはお見事というほかないかと。大興奮するタイプの映画じゃないけど、ものすごく精巧な傑作のひとつだと思います!
[PR]

by april_cinema | 2015-03-13 00:00 | MVP | Comments(0)


<< 感想_ディオールと私      感想_ソロモンの偽証<前篇・事件> >>