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2007年 11月 15日
感想_迷子の警察音楽隊
感想_迷子の警察音楽隊_b0130850_024516.jpgみんな迷子なんだよね。『迷子の警察音楽隊』12月22日公開。イスラエルのある式典に招かれたエジプトのアレキサンドリア警察音楽隊。だけど誰のせいだかバスを間違え、あれ、ここ、なにもないけど…。やむをえず、食堂に宿を借りることになったご一行。厳格な団長さんや、はみ出しものの若者らちょっとヘンな楽団員と、食堂の女主人など町の住人たちとの、一夜の異国間交流のはじまり~。
♪迷子の警察音楽隊♪

静かなる群像劇は、なにが起きるわけでもない一晩の物語だけど、けっこう味わい深い良作なんです。上々の評判も納得だね、こりゃ。淡々とした会話の中に人生の機微が織り込まれていて、すごくパーソナルな話なのに誰もがちょっと共感できるような、そんな1本。道に迷った音楽隊は、人間誰しも道に迷いながら生きてるようなもんだよね。ってことを示唆してる。

とにかくカタブツな団長は、けっこうきつい過去を持っていて、それを打ち明ける女主人もまた、それはそれでいろんな悩みを抱えていたり。その他、不器用だったり夫婦喧嘩したり、人間の数だけ人生はあるけど、みんな一筋縄で行くはずもなく、それぞれに迷い戸惑っている様子と、それでもいいんだよ、ってことをやさしくやさしく教えてくれる。その中にクスっとしちゃうようなおかしみと、節々で音楽がアクセントに入ってるのがまた居心地良くて。

登場人物みんな、根本的にはいい人たちで、音楽隊も女主人たちの好意に助けられて無事に目的地にたどり着く。個々の問題が解決するわけではないけれど、そんな人たちが集まって寄り添ってオレらは軌道修正しながら前に進んでいけるんだよね、みたいなことを素直に思える良作でした。強い主張のある映画じゃないし、ホント、地味なんだけどね。

by april_cinema | 2007-11-15 00:00 | All-Star


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