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2011年 11月 26日
感想_フェイク・クライム
b0130850_075821.gifタイトルの印象と全然違う! 『フェイク・クライム』11月26日公開。日々流されるまま生きてきたヘンリーは、高校時代の同級生に突然野球に誘われる。が、それは実は銀行強盗の片棒をかつがされいていて、あえなく捕まってしまう。冤罪のまま刑期をつとめた彼は、出所後になんとなく現場の銀行に戻ったところを、舞台女優ジュリーが運転する車にはねられる。幸いけがはなかったところ、入ったカフェで見かけた古新聞記事をもとに、彼は銀行強盗を思いつく。
映画『フェイク・クライム』公式サイト

なんだこの映画、すごいヘンテコな空気感だったけど面白かったな~。冒頭、ヘンリーは仕事場である深夜のハイウェイの料金所で佇んでいる。このワンシーンだけでなんかヘンリーの冴えない人生が透けて見える。人々はただ彼の前を通り過ぎていくだけ。加えて、帰宅してからの奥さんとのぎこちない会話でほとんどキャラが語り尽くされてるもんな。すごいことでしょ、これって。そっからはヘンリーの人生よろしくあれよあれよで周りばかりがあれこれ動き、結果ヘンリーは捕まり、嫁は去り、どういうわけか刑務所の中で「お前の夢はなんだ?」なんて聞かれちゃったりして、変な展開していくのに興味をそそるんですわ。

キアヌ・リーブスが主体性ゼロのヘンリーに扮して、いい人だけどまったく人間的魅力に欠ける不思議な人になりきってました。こういうなんにでも身を任せられる人が、急に何かを決断すると無類の強さを発揮するんだよな。そういうリアリティがあるから、荒唐無稽にも思えるしディテールもなにもないストーリーなのに妙な説得力がある。だからこそ刑務所で出会った詐欺師のマックスもつきあってしまったし、ジュリーも彼に惚れちゃったし。このジュリーを演じたヴェラ・ファーミガもほんと上手な女優さんですね。マックス役のジェームズ・カーンもいい感じで、キャストのアンサンブルがすばらしかった。

最後の終わり方も、潔かったんじゃないすかね。原題は『Henry's crime』だったけど、結局のところヘンリーが犯した罪ってなんだったんでしょうね。もしかしたらなにも決めずに流されてきた過去こそが罪っていうことかもしれない。それに対する刑期であって、それを勤め上げたからこそ彼は生まれ変わったのかもしれない。そう考えると、ラブストーリーに落ちてったラストにもすごく納得がいくわ。邦題はなんかクライムアクションか、サスペンスかって感じだけど全然違うってことだけはお忘れなく。でも面白いっす。佳作!
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by april_cinema | 2011-11-26 00:00 | All-Star | Comments(0)
2011年 11月 26日
感想_不惑のアダージョ
b0130850_19412472.gif興味深い監督だ。『不惑のアダージョ』11月26日公開。40歳を迎えようとするシスター。若くして神に身を捧げ、敬虔に暮らしてきた彼女だったが、少し早い更年期障害を抱えるようになっていた。周囲の出産の声なども気になっているところに、あるバレエスクールに臨時でピアノ係を頼まれる。
映画「不惑のアダージョ」公式サイト

2009年に製作されてゆうばり映画祭で注目され、世界各国の映画祭で上映された後の凱旋公開とあいなった作品。監督は井上都紀さんという若手の女性。題材は、中年女性の体の変化をきっかけにした、いろいろな思い。シスターという身分ではあるものの、中身はごく普通の女性。時には恋心を抱き、性欲もあり、という中での小さな感情のゆれを見事につかまえる手腕は女性監督ならではかもしれません。

しかしその中の緩急の付け方が巧かったなぁ! シスターの生活は基本的には静。毎朝早く決まった時間に起きて、規則正しい生活を送る。礼拝があり、お勤めがありの毎日。そこに飛び込んで来る、ピアノ代行と、それから村岡さんへの手紙の配達。前者はよい兆しを運び、彼女の中に今までなかった世界を開く。譜面通りの演奏から、踊るようなエモーショナルなプレイへ。そして後者は彼女に激動をもたらす。苛立ちをぶつけるように手紙を読み、結果思わぬ展開が待っていた。

日常の中に寄せては返す小さなさざ波。それは特別なことではなく、誰にでもどこかのタイミングでふと訪れるもの。40歳にして不惑、という言葉がまるで当てはまらない現代だからこそ、この言葉の響きを逆手に取ったユニークなタイトルだと思います。なんといってもハイライトは、ママチャリ疾走のシーンだよね。ユーモアがあり、しかしシスターの感情と見事にリンクした意味のある映像で、目がほころびました。

もしかしたら第二の西川美和になったりして? そのあたりは個を越えてより広い世界を描けるかどうかというところでしょうか。次回作を期待します。
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by april_cinema | 2011-11-26 00:00 | Starter | Comments(0)
2011年 11月 19日
感想_ラブ・アゲイン
b0130850_23463967.gif全部乗せラブコメ! 『ラブ・アゲイン』11月19日公開。突然エミリーから離婚を切り出されたキャル。高校時代に出会い結ばれたエミリーは、会社の同僚と浮気をしていた。理想の家庭を築いていたとばかり思っていたキャルはショックでバーで愚痴ると、見かねた超チャラ男のジェイコブが、男としての誇りを取り戻すべくファッションから話術まですべて指南。キャルは垢抜けた男として生まれ変わる。一方で、両親の離婚に振り回されながらも息子のロビーは子守のジェシカに初恋をし、ジェシカはなんとキャルを男として見ていた。キャルとエミリーの行く末はいったい!?
映画『ラブ・アゲイン』オフィシャルサイト

いや~面白かったな! よく考えられた脚本と、見事なアンサンブルキャストによるナイスなラブコメ。なんか古今東西のおもしろ要素を全部乗せした感じのいいとこどりボリュームだけど、よくまとまってたわ。逆に言うと、もう普通の男女二人の恋物語だけじゃ話がもたないってことなのか!? キャルとエミリーの熟年離婚を軸にしつつ、息子ロビーの初恋×少女ジェシカの年上願望、チャラ男ジェイコブのマジ恋×お堅いガール・ハンナのロマンスと、3つの恋物語を掛け算した感じ。どれもメインにしてもいいくらいの普遍的題材だけに、へたしたら散漫にもなるし、収拾付かなくもなりそうだけど、よく破綻させずにテンポよくおさめたよなー。強引ちゃー強引かもしれないけど楽しかったからイイんだぜ。

映像でもテキストでもさりげないところに笑いをちりばめて深刻な話にはせず、だけど愛というものについてそれぞれの世代、価値観の中での普遍を見せてくれて、最後にはなんだかとてもいい気分になれるというね。これに説得力があるのは、やっぱキャストの力も大きいんだろうなー。

ライアン・ゴズリングに、外れナシ。いやホント、チャラ男になってもいいわ~ライアン。『ブルーバレンタイン』でブヨらせたカラダをシェイプするどころか、今回はパーフェクトボディまで披露して、スーツをシャープに着こなして、見せてくれます。いやホントいい役者。スティーヴ・カレルがだめおやじを鉄板なのはもちろん、ロビー役とジェシカ役の初々しさもグッド! 『ゾンビランド』で注目したエマ・ストーンは思ったより好きな顔じゃなくなってたけど、ジュリアン・ムーアがそこはきっち締めてくれましたね。この人もわりと外れナシかも〜。

エミリーの浮気がきっかけなわりにそこの断罪がなかったのはなんだけど、笑えてほろりのグッドムービー。万人に安心してオススメできます!
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by april_cinema | 2011-11-19 00:00 | All-Star | Comments(0)
2011年 11月 19日
感想_テイカーズ
b0130850_2353264.gifチャラいっす。『テイカーズ』11月19日公開。ある高層ビルの銀行が襲撃される。犯人グループは、一切の痕跡を残さなかった。彼らは綿密な計画により証拠を残さずに大仕事をやってのけるプロ集団。年に一度だけのルールに則りデカい仕事をし、その金でそれぞれが別の顔で生活をしてた。そんな彼らの前に、かつての仲間であり出所したばかりのゴーストが現金輸送車襲撃の情報をもってやってくる。今までにない破格の金額を前に、彼らはルールを破って計画を練り始める。その頃、刑事のジャックは犯人たちの足取りを掴み始めていた。
映画『テイカーズ』公式サイト

スピーディでクールなクライムアクションだったけど、言ってしまえばそれだけっちゃーそれだけ。やたらに格好のいいセレブリティな犯人グループがプロの仕事をするんですが、んー目新しさはないかなー。ユーモアがあるわけでもないし、アクションがものすごいわけでもないし、設定が特別斬新なわけでもないし。犯人グループの成功の理由は理性的なルールと緻密なリサーチ、そして冷静な実行力だったろうに、儲け話がきたらあっという間にポリシーを覆しちゃうってのがやっぱ納得いかず。で、それが原因でなんかしらトラブルるってのは、いくらなんでも予定調和すぎるだろーよ。『オーシャンズ』くらいのトリッキーさか、『ザ・タウン』くらいの緊張感がないとなー。

ジャックら刑事側のストーリーも弱いんだよなー。なんか刑事たちってホント困窮しているし、ほとんどの人が嫁に去られているようだけど、実際そんなに別居&離婚率高いのだろうか。まあそうなんだろうけど、なんにせよジャックと相棒のエピソードは犯人逮捕とフィールドが別の話すぎて、まとまってないように思えたわ。それからロシア人グループよ、あっさり情報流すわ、そのくせないがしろにされたことに激怒して無作為に襲撃に行くわ、それじゃ飽き足らず返り討ちで全滅ってそりゃないぜ。そしてあんだけ派手にやりあっといても逃げ切れる犯人ってどんだけ?

見栄えはいいけど中身なし。終わり方もなんか納得いかないし、この人たちみんな抜け目がないのか杜撰なのか全然わかんね。プロならもっとプロフェッショナルに徹してくれないとさー。
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by april_cinema | 2011-11-19 00:00 | Starter | Comments(0)
2011年 11月 19日
感想_恋の罪
b0130850_2359152.gifほとんどホラー! 『恋の罪』11月19日公開。21世紀を目前に渋谷円山町の廃屋で起きた殺人事件。浮気相手との情事の最中呼び出された刑事の和子は、切断された死体を前にする。被害者の身元を探り、行方不明者をリストアップ。そのうちのひとり、小説家の妻・いずみは、夫のルールの下で抑圧される日々を送っていた。働きに出たスーパーの試食売り場、声をかけてきた女についていくとそこはアダルトビデオの撮影現場だった。タガが外れたいずみは、やがて自分から男を求めるようになり、渋谷でひとりの娼婦と出会う。昼間は大学の助教授であるその女・美津子は、いずみをさらに未知の世界へと誘い…。
園子温監督作品『恋の罪』公式サイト

話題作を連発する(といいつつ『愛のむきだし』も『冷たい熱帯魚』も見ていない)園子音最新作! 1997年に起きた東電OL殺人事件をもとに、みずから大胆不敵に脚本を書き下ろしての衝撃作。いや~、濃い、濃すぎる…! なにもかもがむせ返るような濃密さで、144分、異次元の世界へ拉致られてた気分だぜ。観たくないけど目が離せない的な強過ぎる磁力!!

描かれるのは3人の女の業。家庭に収まりながら満たされない女。社会的地位を持ちながらコンプレックスを抱える女。男勝りの仕事と温かい家庭のはざまから逃れようとする女。刑事を演じる水野美紀がメインキャストかと思いきや、彼女は案内係にすぎず、実質の主演はいずみを演じた神楽坂恵。体当たり…というより、フルヌードでSEXシーンも含めて強烈なキャラクターを演じてますわ。下賎な話、彼女グラビアアイドル時代には脱ぐことはなかったろうけど、女優として脱ぐことになるってのも、なんか因果だなぁ。と思いきやまさかの園監督とご結婚、おめでとうございます。って話それすぎか。

しかしほんと共感しづらいというか、とことん振り切った価値観の中でうごめく欲望と、惰性。暗く、もったりとした質量のある画もあれば、かと思えば光がさんさんと降り注ぐいずみの家があったり、どっちに振っても極端すぎるほど極端な描写。さらにかぶさってくる音楽もホラーかってくらい主張ありありで、あっちへ引っ張られて、こっちにも振り回されて、観終わった後にはジェットコースター20連発で乗った後みたいなぐったりと疲労感さえ残るほどに過剰! でも隙はないんだよなー。長いんだけど、終わってみればあっという間だったような掴まれ方。

極端とはいえ、女性のどこかにはこういう満たされない思いとか、開放したい渇きとかがあるんだろう。女性というか、男も似たようなもんかもしれないと思うけど、でもやっぱりこれは女にしかありえない世界だろうなー。なんかまるで説明不能なこの映画。鑑賞にある種の勇気を要する映画ですわ。ウブな人には薦めらんねーぜ。
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by april_cinema | 2011-11-19 00:00 | All-Star | Comments(0)
2011年 11月 12日
感想_コンテイジョン
b0130850_23254240.gifこりゃこえー。『コンテイジョン』11月12日公開。香港出張から戻ったベスは体調不良を訴え、夫は急いで救急車を呼ぶがあっという間に亡くなってしまった。その頃、日本、香港、ロンドンでも同様のケースが起こっていた。ベスを解剖した特別チームは、新型ウィルスの存在を確認。感染者の隔離、感染源とルートの特定に各機関が追われるが、爆発的な感染スピードでウィルスは広まり、情報が錯綜、世界は混乱に落ちていく。
映画『コンテイジョン』公式サイト

緊張感ありまくり仮想現実世界。いわゆるホラー映画よりもはるかに怖いわ。フィクションです、って言われても、はいそうですか、ってわけにはいかんだろこれ。だっていつ起こってもおかしくなさそうな、限りなく現実に近い世界なんだもの。感染スピードさながらに、映画のテンポもハイスピードで、最初の感染者ベスはわずか2日というかものの十数分で死亡。夫が悲しみにくれるひまもなく事態は混乱し、検査に乗り込むドクター、そして感染源を探るWHOと、関係者のさまざまなドラマを群像ドキュメンタリかのように切り出す。

とにかくリアルなのね。感染者がうろたえる様子も、どんどんと連鎖していくパニックも。水や食料を求めたり、州外へと逃げ惑ったりする様子は、『ブラインドネス』同様だけど、あっちは極限状態での人間の尊厳みたいなテーマ性が強かったけど、こっちはあくまでこういうこと起こりうるからね、っていう警告というか、メッセージ。人との接触も、階段の手すりとかエレベーターのスイッチとか不特定多数が触れる箇所を媒介としての感染とかも、映像でいや~な感じで出してくるんだよねー。『感染列島』にはこの緊張感とリアリティがなかったからな。

とにかくやたらと豪華キャストで、グイネス・パルトロー(解剖シーン強烈)とマット・デイモン(フィリップ・シーモア・ホフマンばりに太ってたけど役作り?)が夫婦になれば、調査に乗り込んでくる医師はケイト・ウィンスレット(だがしかしこちらもまさかの速攻感染!)。WHOの一員はマリオン・コティヤール(こちらはまさかの拉致られ~)。検査機関の指揮官にはローレンス・フィッシュバーン(いやーこの人にも同情しまっせ)でこの威厳っぷりがたまんねーぜ。そして曲者ジャーナリストにジュード・ロウ(こういうやつホントに現れるんだろうな)ときたもんですから。

ソダーバーグのクールすぎる描写が、サスペンスタッチとパニック感を絶妙にコントロールしておりました。ラスト、種明かしが因果応報というのかなんなのか、これまた恐ろしいぜ。体調悪いときには絶対観にいかないほうがいいわ。潔癖症になっちゃうかも。そしてアジアとか衛生状態よくない国に行きたくなくなるという副作用ももたらしかねません。
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by april_cinema | 2011-11-12 00:00 | Starter | Comments(0)
2011年 11月 12日
感想_孔子の教え
b0130850_23342836.gifもっと教えて! 『孔子の教え』11月12日公開。紀元前、魯の国の孔子はその名をとどろかせ、君主・定公によって重用される。孔子はその才を発揮し、治世でも戦でも数々の功績をたてる。しかしそれをよく思わない時の権力者・三桓たちによって孔子は失脚。失意のうち弟子をつれ列国を周遊する。時がすぎ国力の衰えた魯国に再び呼び戻されるが、孔子は学問にのみ専念し、その才を政治には用いることはなかった。
映画『孔子の教え』 オフィシャルサイト

あの孔子様の伝記かつ歴史スペクタクル! 前半は面白かったな~。その才と徳を生かして多くの弟子や民衆に慕われ、国家の中でもどんどん実績を残し勢いを得ていく姿が英雄譚として描かれててさ。隣国の謀略を劣勢ながらあっさりかわしてみせるのは兵法の極意。時代は前後しますがおなじみ諸葛亮孔明を見ているかのようで気分がよかったわ。CGによる大群も中国っぽくて迫力あったしね。

けどやはり孔子の教えを2時間でまとめるのはやっぱ難しかったかなー。中盤から放浪に出てからはエピソードがぶつ切りで、苦難の旅のアピールはできたけど、その中でも損なわれなかったはずの徳とか品性とかそういうのが隠れてしまったよ。弟子のキャラも中途半端な描かれ方だったから、枝葉のストーリーも効果的とは言えなかったしね。衛国の南子に扮した大好きジョウ・シュンはあいかわらずのドールフェイスで眼福だったけど、あれはあれでなんとも帯に短したすきに長しな挿話だったな。賢者はみんな疎まれるっつー教訓か??

結局、トータルで見て、孔子の教え、すなわち儒学というものが掘り下げられてなかったんだよね。孔子の略年表的なところはなぞっていたけど、彼が本当に教えたかった精神とかそういうのがシークエンスの中にとけ込みきってなかったのが残念。2600年前くらいの人物の説いたことが今も重んじられ、隣国にまで影響を与えているという事実。ある種、キリストやブッダを描くことになるモチーフだけに、まとめきれなかったのかなー。大作感あって退屈はしなかったけど、そこがぼやけたことは悔やまれます。
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by april_cinema | 2011-11-12 00:00 | Starter | Comments(0)
2011年 11月 12日
感想_第7鉱区
b0130850_23373390.gif大味過ぎる〜。『第7鉱区』11月12日公開。韓日共同開発で油田探索が行われていた第7鉱区。ヘジュンはそこに必ず油田があると信じて作業を続けるが、探索は成果をあげられずついに本国から退却命令が出てしまう。しかし、そこにかつての探索キャプテンだったジョンマンが現れ、彼の責任のもと作業を継続するよう隊員を促す。再開された探索だが、ヘジュンの後輩が事故死してしまい、さらに研究員が不審死。いったいここで何が起きているのか!?
映画『第7鉱区』公式サイト

モンスターパニック映画でした。最初の30分は説明で、あとの1時間はひたすらバトル、バトル、逃げて逃げて逃げて、バトル。手を変え品を変えなんとか飽きさせないようにしてはいるものの、その中で動くストーリーがあるわけでもなし、さすがに飽きるわな。人物のキャラ設定は中途半端で、どうせ大味ならヘジュンと彼氏のやりとりとか、なんやかやもうちょっとあっても良かったと思う。

謎のエネルギー体が敵になるというのはかなり現代的テーマだし、なんかもう少し違う肉付けの仕方もあったような気もするんだけど、そこんとこは対して掘り下げられることもなく、あれじゃー別にクラーケンが出て来ようが、ゾンビが出て来ようがなんでも一緒だったような気も少々。CGは、うーん一昔前のゲームレベルって感じかな。セット含めて、なんかこういうゲームありそうというくらいの世界観。結局モンスターが一体しか出て来なかったし、ほんとアクションは中途半端だったな。バイクの使い方とか、武器の使い方とか、21世紀ならもう少しいろいろアイデアあるだろー。てかあんなに武器積んどくって、油田探索のわりにそもそも戦う気満々なのね。

ドラマも弱けりゃビジュアルも弱い、キャストが特別いいわけでもなく、ビミョ〜としか言いようがなかったわ。
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by april_cinema | 2011-11-12 00:00 | Reserve | Comments(0)
2011年 11月 11日
感想_マネーボール
b0130850_2319324.gif野球好きはコーフン必至。『マネーボール』11月11日公開。2002年シーズン前、若きGMのビリー・ビーンはオーナーに選手獲得資金を出すよう訴えるが、ヤンキースやレッドソックスのような金持ちチームとは違うと一蹴される。それでも勝利を渇望するビリーは、トレード話で訪れたクリーブランドで見つけたピーターという男に目をつける。彼は、ビル・ジェイムスが確立したサイバーメトリクス理論を信じ、独自の選手評価をしていた。ビリーはすぐにピーターを引き抜き、それまででは考えられない方法でチーム改革に乗り出す。誰も評価しなかった変則投げのピッチャーをストッパーに抜擢、怪我で捕手としての選手生命を立たれた選手を一塁手として獲得など、その手腕は異端としてあざ笑われる。いざシーズンが始まっても、チームはバラバラでまったく機能しないが、ビリーとピーターは自分たちを信じて戦い続ける。
マネーボール - オフィシャルサイト

これはもう題材の勝利でしょー。今でこそスポーツ界にはさまざまなデータが持ち込まれ、数字のない球団マネージメントはありえない感じだけど、10年前のMLB界にはまだそんな風潮のカケラもなかったんだね。弱小&貧乏球団が、まさかの快進撃を見せるという、王道なストーリーではあるけれど、大天才がいたわけでも、救世主が現れたわけでも、死ぬほど練習したとかでもなく、もちろん魔法でもなく、あるものを効率よく使うという戦い方は新鮮~。かつリアル。リアルもなにも実在の人物であり実話であり、実際に起きた歴史にほかならないんだけども。最高のスポ根展開で、根性パートを担当したのが監督とブレーンだったというね。

題材が題材だけに野球シーンも多いのだけど、役者たちに野球経験のある人たちを集め、実際の記録映像とあわせることで、プレイシーンのしょぼさは皆無! シーズン20連勝という信じられない新記録を生み出していくシークエンスは、わかっていても興奮してしまうわ~。けっこう膨大な情報量をすっきりまとめた脚本と監督も褒め称えたい。さらにビリー本人の半生にも踏み込んでいるからね。娘っ子の唄は萌えまくるし、ハイスクール時代を演じた青年はブラピの面影たっぷりで驚いたし(誰なんだあいつは!)、最後のホームランを打ったことに気付かない男が、歴史を変えたことを教えるくだりもぐっときたなー。このバックストーリーが、単なるサクセスストーリーにしないドラマとして寄与してるよね。将来を嘱望されながらもその潜在能力を開花させられなかった男が、能力は限定的な選手に適材適所の活躍の場所を与えるというのは、ある種の必然にも思えてくるし。

ひとつ難点をあげるとするならば、GMとしての活躍がやや弱いということ。理論自体はビリーが編み出したものじゃないし、採用して推し進めるうえでの苦労とか、葛藤、そして成功までの道筋にはもう少しくっきりした焦点をあててもよかったと思うよねー。監督との確執もあったけど、それだけじゃちょっと足りんわ。あとやっぱ1シーズンだけじゃなくて、前後の数シーズンがあるとなお、GMの功績ってのがはっきり出そうなものだけど、それはさすがに欲張りすぎか。ワールドチャンピオンになった暁にはぜひ続編が観たいと思うぜよ。

なんにしてもスポーツ好きなら必見の1本。そうじゃなくてもドラマ部分には見るべきものがあると思います。関西の縦縞球団も見習ってくれっつーのマジで!
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by april_cinema | 2011-11-11 00:00 | All-Star | Comments(0)
2011年 11月 05日
感想_ラビット・ホール
b0130850_9414012.gif哀しみは消えない、癒えない。でも。『ラビット・ホール』11月5日公開。郊外の住宅街に暮らすベッカとハウイー夫妻。8ヶ月前、彼女たちは、4歳のひとり息子ダニーを交通事故で亡くした。息子のビデオを毎夜くりかえし見続け幸せな時間にこもるハウイー。ベッカはダニーの荷物を整理して忘れようと努めるが、妹の妊娠を喜ぶことができない。夫婦でグループセラピーにも参加しても傷が癒されることはなく、やがて夫婦関係もギクシャクしはじめて…。
映画『ラビット・ホール』公式サイト

傑作…! 今年を代表する1本だったわ。ジョン・キャメロン・ミッチェル監督は前2作がかなりアート寄りな描き方で特殊な人たちをフィーチャーしてたのだけど、まさかこんな素敵な普遍の再生ドラマを描くなんて嬉し過ぎる驚き。いや本当にいい1本だったな。

ベッカは哀しみを遠ざけるために、ダニーのものを処分しようとする。ハウイーはそれらを思い出の品として留めておくことを願う。どちらもまったく悪くないし、どっちの気持ちも理解できるからその衝突が言いようなく哀しい。セラピーに出ても他人の感傷的なカミングアウトに苛立つ気持ちを抑え切れないあの感じもすごくわかる。誰に何を言われても受け入れられない。自分の中で消化できない。喪失って、そういうことなんだと思う。哀しみは決して消えてなくなることはないし、癒されるということもない。でも時間とともに少しずつだけ薄れていって、大きくて堅い岩はやがてポケットの中の小さな石に変わるんだろう。この台詞は本当に胸を打つわ。

もちろんこの良質なドラマを支えるのはキャストなわけで。ニコールは怒りと哀しみをない交ぜにしながらそれを自分の中で押しつぶし、ときに爆発させる妻がぴったんこ。その眼差しが強ければ強いほど哀しみの大きさを表しているようで…。「もうなにも良い方向になんていかないのよ!」ってのは強烈なひとことだったな。対する夫を演じたアーロン・エッカートも優しさゆえに思い出にすがり、そして逃れるように別の女性に救いを求めてしまうのも、全然責められなかったよ。いい芝居するよな〜、やっぱり。

そしてもうひとつこのストーリーに奥行きを与え説得力をもたらしているのはやはり、加害者ジェイソンとの出会いであり、彼が描くパラレルワールドのコミックブック「ラビット・ホール」なんだろう。ベッカが加害者のジェイソンを責めないところにも復讐の無意味さを説きそこに再生への道はないことを暗示。それと同時に、ベッカの喪失感を埋めるものがあるとしたらまったく別の何かであることを提示してたね。ジェイソンは否定してたけど、やっぱり彼も父親を亡くしているんじゃないだろうか。この世界では失われてしまったものも、別の世界ではまた違うように行きているかもしれない。なくしたものは取り戻せない。それらのすべて、自分の気持ちも周囲の干渉も引き受けられたときに、やがてそれが日常となっていくんだろう。

なくしたものを、なにかで埋めようとしても埋まるものではないということ。空いた穴は塞がらない。欠けてしまった器はもとには戻らない。だけれど、それは絶望ではない。そこからまた歩き出せる日は必ず来ると、背中を押してくれます。あー思い出すだけでなんだか温かい気持ちになるぜ。素晴らしい映画をどうもありがとう!
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by april_cinema | 2011-11-05 00:00 | MVP | Comments(0)