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2012年 02月 25日
感想_トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーンPart1
なんだなんだホラーか? 『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーンPart1』2月25日公開。ついに結婚式を迎えたエドワードとベラ。みなに祝福されハネムーンへと旅立ったふたり。幸せをかみしめていたが、ベラに異変が起こった。それは予想もしない妊娠。一族の過去にも例のないことに戸惑うエドワード。そしてベラの体は胎児の強過ぎる力により衰弱しきっていた。このままではベラは…。
映画『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン Part1』オフィシャルサイト

全然愛せないシリーズ最新&最終作は二部構成。今回も間延び感が強くて薄味だったかなーと思った前半。顔色全員悪い真っ白世界に赤を利かせた絵とかはベタな感じで、今までのシリーズよりアニメちっくになっていた気も。でも結婚式とかはもう少し端折ってよかったんじゃないすかねぇ。ダラダラ、もたもた。

と思ったら、中盤以降はまさかのホラー的展開。そうかここから怖いから序盤は甘々シーンを盛り込んでバランスとったのかね。てかベラは激やせ処理が加わってほとんどモンスターだし、出産シーンは血だらけスプラッター。ジェイコブもエドワードもえらいことなってましたわ。これ、萌えを求めるガールたちにはキツイ描写じゃないのかなー。てかこのシリーズ、監督が全部変わってるんだよな。さすがに最後の前後編は同じなのかな?

正直なところ人狼と吸血鬼の協定がどうなってるかとか忘れちゃったし、ベラはそれで吸血鬼になるつもりで結婚を決意したってことでいいんだよね?とか色々曖昧でごめんなさい。最後はなんか吸血鬼の元締めが再登場するようだけど、ダコタ嬢とかも出て来るのかなー。あまりというか全然期待値ないけどここまできたから最後まで行きますんでよろしくお願いします。(ひどいレビューでごめんなさい)


# by april_cinema | 2012-02-25 00:00 | Reserve | Trackback | Comments(0)
2012年 02月 18日
感想_ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
今年いちばん泣けた〜。『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』2月18日公開。9.11によって最愛の父を亡くした少年オスカー。ある日父のクローゼットをのぞくと、封筒に入った鍵を見つける。封筒には「BLACK」とひとこと。父からのメッセージに違いないと考えたオスカーは、電話帳を調べNY中のブラックさんに会いに行く。全部で400人以上、オスカーの計算では3年かかる。事件のショックを抱えながらも、さまざまな人々に出会い、オスカーは父の面影を追いかける。
映画『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』公式サイト

完全に泣かされたわー。前半こそ抑えめの展開だったけどそれはすべて布石。後半は一気の展開で、見所の連打。撒いた種の回収をかぶせにかぶせてくるもんだから涙腺ゆるみっぱなしで、涙拭うのやめたよ。拭いたとこでまたすぐ溢れるから。スティーブン・ダルドリーは、『愛を読むひと』もそうだったけど、前半の布石を回収する後半で一気に感情のツボをついてくるんだよなー。エリック・ロスの脚本もいいんだろうけど、ベタかもしれないがしっかり心動かされてしまうわ。

あまりに多くの要素が組み合わさっていてどこから喋っていいかわからないけど、いちばんは父親の愛情なのかな。オスカーが鍵を手がかりに行動を始めるのは、存命中にさまざまな冒険を教えていたからこそであり、結果それによってオスカーは救われる。母親の愛情はまた違った形で発露していて、この両親のオスカーに捧げる無償の愛が露出していく流れは、最悪の悲劇をフックにしているとはいえ、本当に温かい気持ちにさせてくれるよ。さらに父の両親との関係、最後の文字通り鍵を握る人物の親子関係までも平行してあるのは巧い。このあたり原作はさらに描写が細かいのだろうか。

そしてオスカーの胸にわだかまっていたしこり。誰にも言えず、自分の中で消化することもできず、それが余計に彼の背中を押していた。なんでそんなことをしてしまったのか。その類いの悔いは、オスカーに限らず大勢の人にあったはず。あの時ああしていれば、あと少し早くなにかをしていれば、もしくはしていなければ。9.11だけでなく、起きてしまったことに対する後悔の感情は、観る人をゆさぶってくるよなー。このあたりも簡単に説明はせず、あくまでオスカーの感情にあわせてストーリー展開させる巧さよ。

9.11ネタはあまりにも大きな悲劇だからハメ技に近い気もするんだけど、NYに暮らす多くの人たちは本当に大きなものを、たくさんのものを失くしているんだよな。3.11を知ったボクはようやくそれをリアルに実感できたような気がするよ。いや、リアルというのは嘘だな。以前よりもほんの少し具体的に想像できるようになったに過ぎないんだけど。絶望は消えない、癒えない。でも救いの手を差し伸べてくれる人は、いるということ。そしてそれは人と人のリアルなつながりがもたらしてくれるんだよね。

障害まではいかないまでも、いわゆる普通とは少し違うオスカーというキャラクター、そしてそれを演じたトーマス君は本当に立派。両親に扮したトム・ハンクス&サンドラ・ブロックも鉄板だったわ。なんでもアカデミー賞の評論筋の評価はそこまで高くないらしいけれど、オレは十分本命級の感動をもらいました。タイトルの意味は…、NYのことか、父親のことなのか。そういう考える余白も十分にある傑作だと思います。


# by april_cinema | 2012-02-18 00:00 | MVP | Trackback | Comments(0)
2012年 02月 17日
感想_TIME/タイム
これないわ〜。『TIME/タイム』2月17日公開。25歳ですべての人間の成長は止まり、余命が通貨として流通する世界。何百年もの余命を持つ富裕層がいるのに対して、わずか1日の余命で生きながらえるスラムの人々は、労働でわずかばかりの時間を買い、コーヒーもバス代もなけなしの時間で支払っていた。ある日、富裕層からスラムへとやってきた男は、持て余す余命をウィルに譲り、みずから命を絶つ。ウィルはその時間を使って富裕層の暮らす街へと向かう。そこで出会う令嬢のシルビア、そして彼を待っていた未知の世界とは?
映画「TIME/タイム」オフィシャルサイト 2012年2月公開 TOHOシネマズ 日劇他 全国ロードショー

設定も予告も面白そうだったから期待したけど完全空振り。設定をまったく活かせてないシナリオだったなー。時間が通貨(time is moneyそのもの)という価値観はわかりやすいけど、この世界を成立させているであろう細かいルールがなんか全然腑に落ちないし、それに対する説明も全然足りないのよ。だから物語の展開の1つ1つにまるで説得力が伴わないんだよなー。だってあんな世界ならもっともっと余命争いが絶えないはずだし、銀行強盗なんて頻発してて不思議じゃない。にもかかわらず警備はないに等しいというのはどうでしょうかねぇ。

おまけに中盤がダラダラと間延びしまくり。ウィルとシルビアのラブストーリーはちゃんちゃら必然性がないのに、いきなり全裸でスイムとか可笑し過ぎるでしょうが(ヒップサービスは眼福とはいえ)。タイムキーパーとのやりとりも緻密さに欠けるし、無駄にカーチェイス、無意味に屋根裏追っかけっこ、無駄にチンピラ登場。ポーカーとかファイトの小道具もおまけにしか見えなかったな。あと、ウィルって突然ケンカ強いとかも都合よすぎやしませんかね。

ジャスティンは格好いいけど実力としてはどうなんすかねぇ。アマンダちゃんは前髪ありのショートカットに、濃厚アイメイクがスーパー可愛かったけど、なんか華やかなわりにパッとしないコンビというか、多分どっちもさほどお芝居が上手い方ではないんだろうなぁ、と。設定だけは面白かったけど、SFのギミックを突き詰め切れていないことがすべて。いい脚本家と監督だったら絶対もっとおもしろくなったのに。もったいないっす。


# by april_cinema | 2012-02-17 00:00 | Starter | Trackback | Comments(0)
2012年 02月 17日
感想_メランコリア
終末は勘弁…。『メランコリア』2月17日公開。ジャスティンとマイケルの結婚披露宴は、姉クレアとその夫ジョンのおかげで華やかに執り行われていた。しかしジャスティンは、徐々に不安に襲われ、情緒不安定に陥り、パーティは最悪の結末を迎える。7週間後、憔悴し切ったジャスティンがクレアの家に戻って来る。その頃、惑星メランコリアが地球に最接近していた。
映画「メランコリア」公式サイト │2012年2月17日(金)ロードショー

オープニングの映像は『ツリー・オブ・ライフ』再び〜!と思った観念系。だけど、本編は少し違ったかな。いや共通するところ多いかも。ちょっと言葉では表現しづらい精神世界を描いていて、メランコリアというだけあって、メランコリックな空気に支配される世界とヒロインが軸になり、淡々とその姿が描かれてた。でもなぜだろう目が離せないのは。手持ちカメラの臨場感がそうさせるのか、カンヌで主演女優賞になったキルスティン・ダンストの力なのか。

前半のジャスティンの部は、布石であり、崩壊の物語。理由は明かされないまま(というかないのでしょう)、ジャスティンは精神のバランスを崩していく。それにはさまざまな要因があったのかもしれない。仕事、マリッジブルー、家族…。潜在的不安がいつ顕在化するかはわからない。たまたま惑星が近づいていたからかもしれない。地球上にはそんな厄災のもとがいろいろなところに潜んでいるということを言いたいのかもしれない。とにかく、極端な話彼女の自暴自棄が惑星メランコリアを呼び寄せているように思える。明日世界が終ってしまえばいいのに、的な。

そして後半クレアの部、いよいよメランコリアが最接近する。ぎりぎりでかわしていくのか、それとも…。描かれるのはジャスティン、クレア、ジョン、そしてその息子レオだけ。不安が増す中、最悪の状態でやってきたジャスティンは少しずつ落ち着きを取り戻し、逆にクレアは不安にかき乱されて行く。そしてその日が来たとき。それぞれの行動は、誰も救わないような気がするけど、監督はこれ以上のハッピーエンドはないってさ。うーん、監督の鬱病経験がそう言わしめるのか。不思議と現実を受け入れ微笑すらたたえるジャスティンの心中やいかに。

解釈は無限、好き嫌いが完全に別れる(嫌いのほうが多いんじゃないか?)問題作。わかりやすい希望はないだけに受け止め方ほんと難しいわ。これだけは言っておこう。キルスティンは全然美人じゃないと思うけど、なぜか気になるんだよ。そういえば最初ペネロペ・クルスが主演候補だったらしいけど、キルスティンで絶対よかったと思う。この不安定さはラテン美人には出せないはずだぜ。


# by april_cinema | 2012-02-17 00:00 | All-Star | Trackback | Comments(0)
2012年 02月 11日
感想_キツツキと雨
映画愛ですな〜。『キツツキと雨』2月11日公開。田舎の村で木こりをする岸。その村に、映画の撮影チームがやってきた。行きがかりで道案内をしたり、エキストラをやらされるなど巻き込まれていく岸は、現場にいる冴えない若者を叱咤する。年下なんだから、もっとちゃんと働けよ、と。その男こそ、その映画の監督だった。
映画『キツツキと雨』公式サイト

『南極料理人』の沖田監督最新作は、あふれんばかりの映画愛に乗せて語られた男たちのいい話。軽めの笑いとか、前作と共通するイズムはあるかな。きこりと映画監督という共通点なさそうなふたりのお仕事をベースにしながらストーリーを展開していて、なんとなく矢口監督っぽさもあるのかも。木こりが役所さんという時点で半分くらい勝ったも同然かもね。映画作りに巻き込まれて、戸惑いながら気づけば嬉々として参加する姿がよかったわー。さすが上手過ぎるぜ!

これは監督も若いから自身の体験がかなり込められてるのかね。現場には年長者もたくさんいるし、ベテラン俳優もわがまま女優もいる。そしてなにより正解のないもの作りを、淀みなく進めるための決断が常に求められるという。映画の現場がどんな雰囲気が知らないけれど、あのムードの中で無数の選択しから1つを選び取るのってほんと難しそう。でも、難しさだけじゃなく、いろいろなアイデアが紡がれることで現場が動いていく喜びを描いた竹槍のシーンは素敵だったなー。あと温泉での爺さん捕まえてリハーサルするところはわろた〜。

樹齢を引き合いにして監督を励まして、監督も成長していって。それだけじゃなく岸の息子のエピソードもなにげにさりげなく入れこんで。村をあげての映画作りってのは既視感あるけど、田舎の特性とか、家族のつながりとか、そういうのも説教臭くなく放り込んであったのはよかったと思います。しっかし撮ってるのがゾンビ映画ってのも笑えるわ。いったいどんな話なんだ!?


# by april_cinema | 2012-02-11 00:00 | All-Star | Trackback | Comments(0)
2012年 02月 11日
感想_ポエトリー アグネスの詩
感じる心を持ちえているか。『ポエトリー アグネスの詩』2月11日公開。認知症の症状が出始めたミジャは、孫息子ジョンウクと二人暮らし。ミジャは偶然見かけた詩の教室に通うようになり、詩を書くためにさまざまなものを見つめていた。そんなとき舞い込んだのは、ジョンウクが自殺した少女に集団で性的暴行を加えていたという最悪の報せだった。
映画 | ポエトリー アグネスの詩 | オフィシャルサイト

世界のものの見方へのテーゼ、とでもいうんでしょうか。極端に言って、詩なんてものは現代社会のどこを見てももう見つからない。けれど、たとえば詩作に向き合うようなものの見方をできているのかオレたちは、ということなんだろうな。詩を作ることは、世の中の美しさを見つけることだと詩の先生は言う。それは遠くではなく自分の近くにあるものだとも言う。それを、今、この世の中でどれだけの人ができているだろうか。周りに在るものに対して、その美しさを慮る心を持ち合わせていただろうか。そんな問いかけを感じる映画だ。

しかし現実はとにかく厳しい。ミジャの暮らしは裕福ではないのに、追い打ちをかけるように事件が起きる。ミジャの体にしても思わしくはない。現実と詩作。対極にあるような事象の中でミジャは漂う。どこに向かっているのかも、どこに向かえばいいのかもわからないまま流されていく。彼女が孫息子に何を思い、仕事先の半身マヒの老人に何を思い、詩の教室で何を思い、命を絶った少女に何を思ったのか。そういった内面は一切語られない。だからこそ想像が及ぶ。それこそがこの映画の最大の醍醐味かもしれない。

そうなんだよな。世界は汚いもので溢れかえっているんだよ。犯罪もそうだし、それをもみ消そうとする大人もそうだし、病気と老いは避け難いし。でもだからってそれに染まってしまってもいかんし、逃避してもいかん。唯一刑事だけがその境地に立っているように感じたな。犯罪の最前線にいながらも、詩の朗読会にやってくる。卑猥な話もするけれど、純粋さと正義感をなくしていない。矛盾するような要素さえも抱え込んで、そして美しいなにかを見出していく。それが自分の生きる価値観となっていく。

長尺に相応しい中身の詰まった、秀作でした。オレも詩のひとつでも書けるようにならないとな。


# by april_cinema | 2012-02-11 00:00 | All-Star | Trackback | Comments(0)
2012年 02月 11日
感想_昼下がり、ローマの恋
これまたライトやねぇ。『昼下がり、ローマの恋』2月11日公開。あるアパートで暮らす人々の3つの恋の物語。若者ロベルトは、恋人サラとの結婚を夢見る野心的な男。しかし仕事で向かったトスカーナで魅力的な女性に気持ちを動かされてしまい…。ニュースキャスターのファビオは几帳面な男だったが、ひょんなことからエリアナというグラマラスな女性に誘惑される。しかし彼女にはとんでもない秘密が…。歴史学者のエイドリアンは、大家の娘ビオラと知り合う。パリから戻ってきた彼女は父親に嘘をついていて…。若者、中年、熟年と3人の男をめぐる恋物語。
「昼下がり、ローマの恋」オフィシャルサイト

デ・ニーロ主演のラブストーリーだと思ったら、3つのオムニバスだったわー。デ・ニーロはラストの1篇に登場しますが、これがまた軽い物語でして。借金背負って帰ってきた大家の娘と、かなり行きずりに恋をして、セミリタイアしてたじいさんが人生をもう一度謳歌するっつー話ですが、ほんとこの書いたまんまの展開。40分の短編だけに特に深められることもなく、まんまな感じで話が進みます。なんせクライマックスは花火がバックという月9もビックリのベタなシチュエーション。確かにエイドリアンは優しかったけどさ、ビオラも尻軽過ぎるだろーよ、40にもなってさ。まあモニカ・ベルッチの熟女ボディを拝めるのはありがたいのかもしれないですが。。

その前はコメディ。中年ニュースキャスターが出来心で大惨事に巻き込まれてしまうという。手を出した相手が悪かった、ってことになるんだろうけど、うーん微妙。そして最初の物語はトスカーナの景色がとにかく美しい! それに尽きるかな。あとはファム・ファタールとして登場するブロンド美人がセクシーだったということは記憶しておこう。

3エピソードとも非常に軽やかな展開で、深みや痛みというのはないけれど、単純に恋ならではの楽しさみたいなのは感じられるかな。3人が同じマンションに縁があるというのもベタで出来過ぎた話ではありますが、そのくらいのファンタジーがちょうどいいのかも。で、見終わったあと知ったのは、これ『イタリア的、恋愛マニュアル』の後継シリーズだったのね。どうりでタッチが軽いわけだは。前作に続いてよくわからない邦題ついているところも一緒です。


# by april_cinema | 2012-02-11 00:00 | 6th-man | Trackback | Comments(0)
2012年 02月 10日
感想_ドラゴン・タトゥーの女
さすがフィンチャー。『ドラゴン・タトゥーの女』2月10日公開。スウェーデン。みずからが書いた告発記事で敗訴したミカエルは、ある財閥から40年前に起きた事件の調査を依頼される。それは、16歳の娘ハリエットの失踪。過去の資料を調べるうちに少しずつ新たな情報が浮かび上がる。そしてミカエルは、不思議な運命により天才的ハッカーのリスベットをアシスタントに迎え入れる。彼女もまた、凄惨な過去を持っていた。
ドラゴン・タトゥーの女 - オフィシャルサイト

オリジナル版があんまりノレなかったけど、フィンチャーだし、評判いいしで観てきましたよ。しかも無修正版を六本木まで出張ってね! うん、さすがはフィンチャーって感じ。暗くて、バイオレンスな内容と、サスペンスを掛け合わせて巧みに先へ先へと引っ張ってく感じ。不穏なのにテンポがよくて、しかもやっぱカメラワークが巧み。いろんな視点でカットを割って飽きさせないように見せてくよな〜。

話自体はさほど面白いものじゃないと思うんだわ。ミカエルの前後をくっつけて、物語を厚くしてはいるものの、ミステリとして新しいものではない。普通に調査を重ねるだけで謎が徐々に明らかになっていくわけだし、そもそも限定的な事件だし、40年も前のものだしで、つまり凡庸とも言えると思うのだけど、それを巧みに再構築していると思う。もちろん、この作品の決定的なポイントはキャラクターにあるわけだけどね。

というわけで、リスベットに扮したルーニー・マーラってことですよ。『ソーシャル・ネットワーク』の印象もあんまないし、美形かどうかもよくわからなかったけど、クールだったね。ビジュアルもさることながら、あの英語はわざと訛らせてるのかな? よくわかんないけど、もっと出番あっても良かったんじゃないかと思うくらい観てたかったね。で、これって3部作だったと思うけど、残り2本も動き始めてるってことだし、また会えるのは嬉しいかも。

いろんな意味でアダルトな映画だから誰にでも受け入れられる感じではないと思うけど、フィンチャー好きなら満足できそうな感じ。リスベットの過去があんまり言及されなかったのも次作回しってことでOK?


# by april_cinema | 2012-02-10 00:00 | All-Star | Trackback | Comments(0)
2012年 02月 04日
感想_ハンター
静かに狙い撃つ。『ハンター』2月4日公開。敏腕ハンターのマーティンは、絶滅したと言われるタスマニアタイガーの生き残りの生体サンプルを依頼される。ベースキャンプとした民家は、帰らぬ父を待つ母と子二人の家庭。そんな環境で、未開の地に入り調査を重ねる。タイガーの痕跡を掴みかけるが、マーティンは帰ってこない父の遺留品を見つけ、ある事実に気づいた。
映画「ハンター」公式サイト│2012年2月4日(土)丸の内ルーブル他全国順次公開

ハンターの孤高のドラマ〜。実に淡々と、でもしっかり抑えるところ抑えた硬派なドラマだったな。主演ウィレム・デフォーのタフな枯れ方がなんとも男心をくすぐるぜ。寡黙、やることやる、仕事の邪魔するやつは許さない。そして義理堅い。昔ながらのヒーローのイメージがぴったりだな。そして第二の主役はタスマニアの自然たち。動植物さまざまな映像が目に鮮やかで、どこまでも広がってそうなこの大自然もまた癒されるな〜(若干眠たくもなるけれど)。

小道具的に、環境保護団体と伐採に職を得ている人間の対立なんかもあるけれど、変にそっちの社会性に色気は出さず、むしろけっこう強烈な締めくくり方。そうやってこの話を終わらせるとは思ってなかったなー。あいつ、かわいかったなー。マーティンはあの子を引き取るのかしらね。そしたらどんな暮らし方をするんでしょうか。

限定的なキャストと、雄大なロケーションに、筋の通ったシナリオ。突っ込みどころはあるけど変にがちゃがちゃせず、ミニマムに徹しながらも、迷子にならない程度のドラマを用意して、実直な作りでした。渋いけどちゃんとした映画だわ。


# by april_cinema | 2012-02-04 00:00 | Starter | Trackback | Comments(0)
2012年 02月 04日
感想_人生はビギナーズ
あったかい人生讃歌。『人生はビギナーズ』2月4日公開。オリヴァーの母が亡くなった後、父はみずからがゲイであることをカミングアウトし、残りの人生をまっとうして死んだ。オリヴァーは両親の生き方に戸惑いを覚え、父を亡くした喪失感からも抜け出せない。そんなときに出会った女性アナと恋に落ちるが、また過去の恋人と同じように自分から距離を置いてしまう。
映画『人生はビギナーズ』公式サイト|2012年2月4日(土)より、新宿バルト9、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開

静かで、淡々と、だけれど小さな勇気をたくさんくれるような温かい映画だったな。監督はマイク・ミルズ。『サムサッカー』がけっこうポップだったし、ミュージックビデオ系出身だからもっとテンション高めでくるのかと思ったらどうしてどうしてとても真摯で、誠実で、多くの人が背中を押されるような物語だったわ。父がゲイだった、ってのはけっこうトリッキーな設定にも思えるけれど、これ監督自身の体験がベースになっているそう。だからこその説得力だったのか! 演じたクリストファー・プラマーも見事だったぜ。オスカーおめでとう!

人生はいくつになっても、大人になっても、それでもまだまだ初めてのこととか経験のないことがたくさん押し寄せてくるんだよな。そのたびに戸惑ったり、後戻りしたりもするけれど、それが普通だし、そんな自分を責める必要もなければ無理に逃げたりしなくてもいい。あくまで自分に正直に、その時々の感情を受け入れていけばきっと前に進めるんだろうな。オリヴァーは、両親との距離感にも戸惑って、その影響で恋人にもすべてをさらけ出せなかったんだと思うけど、でもそこから踏み出す勇気を与えたのは父のカミングアウトなんだもんな。うんうん。

ユアンは、『パーフェクトセンス』同様にシャレた感じだけどちょっと欠陥がありつつ、素敵な女性と出会う役回りで、もういい歳なのにホントになんか素敵だわよね。お相手のメラニー・ロランも超クールビューティでしたしね。変わった女性って印象はなかったけれどもさ。

やりすぎないグラフィカルな映像に、犬が気の利いた台詞を吐いちゃったりする愛らしさもあり、監督のオリジナリティを滲ませつつも技術偏重では決してなくて、すごくいいアクセントになってたよ。静かな映画なのにとても温かい、冬の寒さをちょっと和らげてくれるグッドムービーでした。


# by april_cinema | 2012-02-04 00:00 | All-Star | Trackback | Comments(0)
2012年 02月 04日
感想_東京プレイボーイクラブ
これもまた反応しにくいな…。『東京プレイボーイクラブ』2月4日公開。喧嘩沙汰で職場をクビになりかつての友人、成吉の経営するサロンへとやってきた勝利。勝利はここでもいさかいを起こし、さらにボーイの貴弘が店の売上を持ち逃げしようとしたことで、思わぬ事件に巻き込まれる。成吉、勝利、そして貴弘の恋人・エリ子に待ち受ける運命は。
東京プレイボーイクラブ

チンピラたちのうごめく場末の日々を、若手監督が現代的に描いております。ヤクザでも任侠でもない、半端者の正義もくそもない日常。なんとか抜け出したい、なにかを変えたい、でも変えられない、そんな3人が哀しくも愛おしく描かれている。基本的には巻き込まれ型のバイオレンス。勝利がヤクザに喧嘩売っちゃったことをきっかけに、悪い方へ悪い方へと事態は転がっていく。慌てる成吉、ふてぶてしい勝利、そして黙したままのエリ子、このコントラストが妙にリアル。

彼らの世界は自分とはかけ離れてはいるけれど、3人+貴弘の変わりたい願望は多くの人が共感するところ。太宰を読んだくらいじゃ人間は変われないし、東京にやってきてすぐに新しいなにかになれるわけもない。金を持って逃げ出したってそう簡単には別の人生には移れない。そう、誰だって簡単には変われるわけないのだ。勝利は21歳のエリ子にまだ間に合うというが、それよりかなり年上であろう勝利こそがまるで変われていないのだから。きっと人は変われないことを知っているから変わりたいって思うのかもしれませんな。

さて、監督はなかなか小気味よい演出、カメラワークで、たんなるチンピラ映画にはしてこない。ペーソスあり、ユーモアあり、バイオレンスもリアルだけどどこかファンタジックな要素も感じるので、次の作品が楽しみかもしれません。


# by april_cinema | 2012-02-04 00:00 | Starter | Trackback | Comments(0)
2012年 02月 04日
感想_荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE
リアクションむずいな。『荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE』2月4日公開。エリート御曹司の市ノ宮は、荒川河川敷の開発工事着工のため不法占拠者たちの退居を促しにやってくる。が、そこにいたのは金星人と名乗る少女ニノ、河童の姿の村長、星型の頭をしたロックンローラーなど、わけのわからない人ばかり。しかしニノに借りを作ってしまった市ノ宮は、そこに住むことになり、リクと呼ばれるようになり…。
『荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE』公式サイト

去年ドラマ版もやっていた作品の映画化。原作もドラマも未読での初鑑賞となったわけですが…、これなんと言っていいのやら。非常にまっとうでした。変なのはキャラの見た目だけで、あとは全部とてもまとも。シュールですらない。起承転結があって、普遍的テーマがあって、ラブストーリーがあって。カットの割り方とかテンポもよく、2時間弱がけっこうあっという間に過ぎていったような気がする。こんなイロモノをこんだけスマートにまとめているのはけっこう凄いことだなーと思う。

のだけど、ね、別に面白くはなかったんだよな。一度も笑えなかったからかな。ギャグが弱いというか、あんまり笑わせようとしていなかったように思う。多分こんだけ濃いキャラだから、立ち止まって考えさせると一気に引かれることを気にして、とにかくリズムを出すことを重視していたように思った。結果、違和感とかつまんないところはなかった分、笑わせるべきところも流れていってしまったように思うな。

もうひとつは、テーマがあまりにもどストレートだったこと。お金で買えないものがある、ってのはさすがにど真ん中過ぎやしないだろうか。エリートによる父への反発、気付き、行動、という流れは散々使い古されたものだからな。今改めてやることに意義はあるだろうけど、もう少しなんかヒネリなのか現代性なのかは感じたかったように思うのでした。

でもキャストはとても良かったわ。林遣都くん、少し大人の顔になってきて格好よかったね。背も意外と伸びた気がして、滑舌もだいぶよくなったし、まだまだ伸びそうね。そして桐谷美玲は、沢尻みたいな顔になってきたね。カワイイです。山田君も楽しそうだったし、片瀬那奈はイロモノお手の物。徳永えりちゃん、もっと見たかった。上川さんは鉄板で、最近の高島政宏の悪役ぶりが止まりませんね。上手いですわー。

つーことで、一言でまとめるなら可もなく不可もなく。でした。


# by april_cinema | 2012-02-04 00:00 | Starter | Trackback | Comments(0)
2012年 02月 03日
感想_ペントハウス
スマートすぎるのかな。『ペントハウス』2月3日公開。NYの超高級高層マンション「THE TOWER」。全米上位1%の富裕層が暮らすこのビルの支配人を務めるジョシュは、すべての住人の基礎情報を把握し完璧なマネージメントをしていた。しかし最上階住人のアーサーが金融詐欺によりFBIによって逮捕。ここで働く従業員の年金すべてを彼に投資していたジョシュは、それらを失ったことで絶望し、仲間からの信用をなくし、解雇される憂き目に。そこに入ってきた、アーサーはそれでも数千万ドルを隠し持っているという情報。ジョシュは従業員たちから仲間を集め、その金を取り返すことを計画する。
映画『ペントハウス』公式サイト 2.3(金) TOHOシネマズ 有楽座ほか全国ロードショー

ベン・スティラー×エディ・マーフィーの競演というから、コメディ炸裂映画かと思ったらかなりスマートな弱きが強きを挫くお話だったわ。しかも強奪サスペンスもの。世界最高峰のリッチ高層マンションを舞台に、あれよあれよの間に展開していくお話で、お笑いポイントはちょっとあったけど、すごいサラっとしたウィットレベル。基本的にはスパイ系のまっとうなエンタメ作品と思った方がいいやね。

とてもキレイにまとまっていて、どうやってそこに隠したんだとか、警備ゆるくね?とか、換金は問題ないの?とか、うまく行き過ぎてるきらいに対してのツッコミはなくもないけど、まあそれよりはうまく収めたと言ったほうがよさそう。でも、あまりにもスマートすぎるからかインパクトが弱いんだよね。高層マンションで決死のアクションもあるし(『MI4』ほどじゃないとはいえ手に汗握ったよ)、どんでん返しもあるにはあるんだけど、ちょっと既視感あるような、オリジナリティに欠けるような。せっかくのベン×エディなんだし、もっと笑いの要素を強めてもよかったような気がするんだけどな。

てかエディ・マーフィーが年取ってて(痩せた?)、最初全然わからなかったよ。いったいいつになったら出てくるのかなーとか思ってたら、あいつだったのか!という驚き。気づいてからも年取ったなーずいぶん、て感想の方が強かったな。ベン・スティラーは相変わらずの安心クオリティで、周辺キャストもよかったとは思うけれども。

全体的に平均点は高いけれど、同窓会で会っても誰だかわからなそうな、スマート君。なにかひとつどでかいインパクトがあればかなり評価あがったと思います。


# by april_cinema | 2012-02-03 00:00 | Starter | Trackback | Comments(0)
2012年 01月 28日
感想_麒麟の翼 〜劇場版・新参者〜
原作をきっちりと。『麒麟の翼 〜劇場版・新参者〜』1月28日公開。日本橋の中央にある翼のある麒麟の像の前で、ひとりの男が死亡した。何者かに刃物で刺された彼は最期の力を振り絞って麒麟像の前までやってきたらしい。容疑者として浮かび上がったのは、男が勤める会社の元工場員だったが、職務質問から逃げようとして事故にあい意識不明に陥ってしまう。捜査についた加賀は、なぜ殺された男が助けも呼ばずに日本橋へやってきたのか、疑問を抱く。
映画『麒麟の翼 〜劇場版・新参者〜』公式サイト

連ドラ、スペシャルドラマと着実なステップを踏んでの(見てないけど)、満を持して加賀恭一郎・最新作をスピード映画化。原作を実にスマートに映像化していて、あらためて東野圭吾の原作の持っている映像的ポテンシャルの高さの証明だったんじゃないかと思います。それにしても加賀=阿部ちゃんはハマリ役過ぎるなー。いちばん最初はちょっと歳行き過ぎでは?って思ってたんだけど、気づいたら彫りの深さ、がたいの良さ、そのあたり完全に原作イメージとシンクロしてしまったわ。

謎解きとあわせながら、容疑者の事情、被害者の周辺を巧みに折り込んでミスリードしつつも本質的テーマへと結びつけ、罪を償うことの意味や、父と子&先生と生徒の関係性に教育とはどういうことなのかを訴えてくる。その周辺には派遣切りや労災隠しといった現代的問題を潜ませているのも巧みだよねー。強くはフォーカスされてないんだけど、加賀と父親の関係性というのも大きな意味を持っているよね。原作を読み直すような感じで観れましたわ。三浦貴大君はいい感じに育ってきてるなー。どことなく桐谷君風だけど、シリアスが似合う感じで。ガッキーの垢抜けなさカワイイにもヤラれたぜ。日本橋でバンザイしている純朴さには思わず笑顔がこぼれてしまった!

さて、加賀シリーズはドル箱となったわけで、今後も新作のたびに映像化という流れは想像できるんだけど、オレとしてはエピソードゼロ的な加賀恭一郎ができるまで、にも振って行ってほしいのです。『卒業』まで戻らなくてもいいかもしれないけど、『悪意』あたりはやるべきじゃなかろうか。さすがに若い頃を阿部ちゃんてわけにはいかんので、誰か別の役者で。『悪意』は伊勢谷君を推薦しておきます。


# by april_cinema | 2012-01-28 00:00 | Starter | Trackback | Comments(0)
2012年 01月 28日
感想_J・エドガー
オレらとは距離があるかな。『J・エドガー』1月28日公開。FBI初代長官として8人の大統領に仕えた男、ジョン・エドガー・フーヴァー。秘密を握り、圧倒的な権力を持つことで、国民とアメリカを守るために戦い続けた男。徹底した秘密主義のその裏に、果たしてどんな人間像があったのか。レオナルド・ディカプリオ主演、クリント・イーストウッド最新作。
J・エドガー

イーストウッド×ディカプリオで、レオのオスカー主演男優賞大本命みたいな触れ込みもあったから超期待してったけど、ぬ~これはシブイ、シブすぎるぜ。題材がFBI長官ともなれば、FBIの成立過程とか、いろんなドラマがふんだんにあるはず!って思ったけど、そういう伝記ものでも、歴史ものでもなく、あくまでエドガーのパーソナルな部分に光を当てた(というか影を浮きぼった)人間ドラマだった。いかんせん、こちとらJ・エドガーって名前が初耳だからさ、いきなり深みに入られても…ぐぅ、わからんかったな。。まずはその説明がもう少し欲しかった。アメリカの若者でも知っている名前なのかな、エドガーって。

いや、最後にはおぼろげながらわかるのですよ。なぜ彼があそこまで厳格に秘密を握ることに執念を持ち、虚勢ともいえる威厳を作り上げたのか。それは自分自身が誰よりも秘密を抱える身であり、コンプレックスの裏返しがあの強烈な個性になったってことなんだろう。そしてそれは時代の流れに乗り、あそこまでの人物足りえたんじゃないかと。は、想像するけど、やっぱりもうちょっと上辺の説明ストーリーも入れてほしかったというのがアジアの純真てなもんでしょう。

しっかし、FBI長官がマザコンでゲイだなんて、すごいスキャンダラスだな。レオ様、『アビエイター』のハワード・ヒューズは力み過ぎって思ったけど、今回はなかなかいい感じだったと思う。晩年の老けメイクはフィリップ・シーモア・ホフマンにも見えつつその心は竜雷太だったな。ナオミ・ワッツは意外と見せ場少なかったな。ジュディ・デンチも。

なんにしても重厚なドラマ。かなり淡々としてると思うけど、エドガーの独白を追う体をなしながら最後にその構図を暴くスタイルなどなど、イーストウッド先生らしい濃密さは楽しめると思います。ツウ好み。


# by april_cinema | 2012-01-28 00:00 | Starter | Trackback | Comments(0)
2012年 01月 28日
感想_しあわせのパン
なんとも既視感あるな。『しあわせのパン』1月28日公開。北海道月浦の湖のほとりにある一軒のパンとコーヒーのお店「マーニ」。水縞くんがパンを焼き、そしてりえさんがコーヒーを入れたり美味しい料理を作ったり。愉快な常連さんとともに穏やかな日々が流れている。季節ごとにやってくるお客さんは、それぞれ違った事情を抱えながらも、やきたてのパンをほおばって、それぞれの中のしあわせを見つけていく。春がすぎ、夏と秋がきて、冬も終わる頃、水縞くんとりえさんにも、しあわせがやってくる。
映画『しあわせのパン』公式サイト

ふんわりやさしい映画でした。が、なんか難しいよねーこういうのは。一軒の素敵なパンカフェと、そこにやってくる人たちの交流を通して、しあわせの形を考える。とこう書くといい雰囲気だし、実際に言っていることも悪くはないんだ。焼きたてのパンを手で割って、誰かとわけあって食べる。手を強調する描き方はぬくもりがあって良かったし、それが、幸せを見つめ直すことや、その幸せを分け合うことを象徴しているんだよね。シェアするという発想は今っぽくもあるし。だけど、それをリアリティをもって観客に伝えるのって本当に難しい。

つまりリアルとファンタジーの間をどうやって埋めるのか。マーニってある種のファンタジーだと思うの。美人の奥さんと気のいいご主人が、大自然の中でのんびりとパンカフェを営む。物語のハブとしてファンタジーに徹してくれればよかったのかもしれないけど、なんか中途半端にりえさんの背景がぼんやりとだけ語られ、最後のオマケ的プレゼントは読めちゃううえに急に現実的幸福を出すのもヌルく感じる。さらに客としてやってくる人物たちのリアリティが足りない。それぞれが抱えてるものが弱いし、どうしてここに辿り着いたのかもあんまり必然性ないし、感情移入させるには全般かなり物足りなかったなー。淡々とした描写も手伝って退屈したところも大いにあった。

さらに言うと、こういう雰囲気もの、すでにけっこう観てきた気がするんだよね。『食堂かたつむり』『東京オアシス』『スープ・オペラ』とかとか、それぞれテーマは違うけど共通する点があるよね。なんだか邦画ばっかりだな。こういうプチファンタジーに必要なのは、圧倒的なリアリティ。木皿泉がそういうのは抜群にうまいよな。ああいうの、観たいんだよな。

ほかほかパンは間違いなく美味しそうだったけどね。キャストはまあまあのところを揃えてるんだけど、森カンナ×平岡君は悪いけど大根だと思ったよ。


# by april_cinema | 2012-01-28 00:00 | Starter | Trackback | Comments(0)
2012年 01月 21日
感想_ALWAYS 三丁目の夕日'64
相変わらずの安定感。『ALWAYS 三丁目の夕日'64』1月21日公開。昭和39年、東京オリンピックが行われるその年、日本中が沸いていた。鈴木オートは順調に成長し、六子の下にはケンジという後輩が。茶川家にはもうすぐ新しい家族が増える。あいかわらずの夕日町。おや、なにやら六子は毎朝おめかしをして、菊地という医師に会いに行っているようだ。だけど、菊地にはよくない噂が。そして茶川は新人作家の登場により、またまたまたスランプに陥って…。
ALWAYS 三丁目の夕日'64

前2作といい意味でなんら変わらない、だけど飽きさせない鉄板の作りだわー。はいはい、って気もありつつ、なんだかんだ楽しんでしまった。オープニングは第一作へのセルフオマージュっぽく、長回しの飛行機追っかけだけど、そこから見える東京の景色が高度成長期を感じさせて、勢いあるんだよな~。タイトルバックは東京タワー飛び出しまくりで、3Dを最大限活かしていたのはこのオープニングのみ(後は別に3Dじゃなくてもいいだろ)。序盤はそんなこんなで、キャラの顔見せでおさらいをしながら、前作の5年後という時間の流れの紹介。茶川家が増築されてたりね、一平は生意気にギター抱えてたりね。

で毎度おなじみ群像的なドラマ+新キャラ登場的展開、今回の軸その1は六子の恋。お相手はなんと森山未來ときましたか! 昭和の髪型×みゆき族ルックで最初誰かと思ったわ! これがまたベタな展開なんだけど、ついグッときてしまうのですよね~。六ちゃんの後輩には目下の最注目男子・染谷君てツボをおさえたキャスティングでニクイぜ。大した出番なくてもニクメナイぜ。鈴木オート激昂シーンも第一作へのセルフオマージュだったね。わかっていても笑っちゃったよ、堤さん! で、軸その2は、茶川と淳之介。てか、だいたい泣かせのエピソードは毎度茶川で押してくるな~。こちらは編集者として大森南朋がニューキャラ。らしさがあり、昭和風味も出版社風情もハマってましたな。そして須賀くんはさらに大きくなっていたっす。

2時間20分越えの長尺で、最初はちょっと長いかなーと思っていたはずなのに、結局最後には引き込まれて時間を忘れてたパターン。幸せの形は人それぞれ。やりたいことを見つけて夢を追うこと。家族の温かさ。毎度同じテーマながら、現代が置いていきがちな価値観にグッと来てしまいますよね。前2作同様にヒットするんじゃないかな〜。


# by april_cinema | 2012-01-21 00:00 | All-Star | Trackback | Comments(0)
2012年 01月 21日
感想_アニマル・キングダム
ラストが鮮烈〜。『アニマル・キングダム』1月21日公開。母が死に独り残されたジョシュアは、祖母の家へとやってくる。そこにいる男たちは犯罪に手を染め、警察に追われていた。やがてジョシュアはガールフレンドとともにその渦に巻き込まれてしまう。叔父たちのために嘘をつくのか。それとも…。
映画『アニマル・キングダム』公式サイト

オーストラリアからやってきた犯罪ドラマ。緊張感はあったけど、ちょっと説明不足だったような気がする。見終わってからサイトのストーリーを観るとあれそうだったの?みたいなところも。ばあちゃん家の面々が一体何をやっているのかって全然わからなかったもの。ドラッグディーラー以外の犯罪歴ってよくわからなかったぜ? 確かに報復で警官撃ち殺してたけど、その前段階の前提はもうちっと説明してほしかったっす。まあ、あんなに軽々と銃を持ち出すってことでワルいのは伝わるけど。でもそのわりにあたふたもしていたような。

それを差し引けば、不穏な空気に終始支配され、派手な"コト"を起こしていないのになにかヤバイんじゃないの?って思わせる空気の作り方は巧かったなー。ただゲームして、目を光らせて、吠えたりしているだけなのに、ジリジリするような焦らしテクったら。やたらと息子を偏愛するばあちゃんの後半にきてグイグイ来る感じもコワ〜。あいつがいちばん悪いわね。ねじれた過保護。歪んだ母性。

主人公も状況をつかめないまま巻き込まれて、でもずっと距離を置いてなんとかやり過ごしてきての最後のアレだもんね。強烈な一撃だったわ。そしてこの家族の業の深さとでもいうのか、負のスパイラルの終わらなさが何ともいえない後味に。派手さはないけど技巧で見せ切る技ありの1本。でも好きじゃないっす。うーむ。


# by april_cinema | 2012-01-21 00:00 | Starter | Trackback | Comments(0)
2012年 01月 21日
感想_グッド・ドクター 禁断のカルテ
なんか雑〜。『グッド・ドクター 禁断のカルテ』1月21日公開。研修医マーティンは、よき医者たろうと懸命に働くが、思い通りにならないことも多い。ベテラン看護師にはどういうわけかいちゃもんをつけられるし。しかし担当した美少女ダイアンが無事に回復し、彼女から絶対的信頼を受けることで彼は自信を取り戻す。が、彼女が退院してしまうことで彼の心には穴が空きまた物足りなさが芽生え…。
映画『グッド・ドクター 禁断のカルテ』公式サイト

オーランド・ブルームがアホなヤングドクターに扮した医療サスペンス。オーリー、作品選び間違えてるな〜、という感想が出てしまうわ。どこに行きたいのよオーリー! でも役者志す以上は、いつまでも坊ちゃんキャラじゃ嫌なんでしょうね、と斜め上からコメントしたくもなる駄作。

上昇志向を持った青年医師が、善き医者とは?を悩んで悶々していくのかと思ったら全然違ったよ。若さゆえ功を焦り、勝手にストレス抱えた落ちこぼれ君が、勘違いをいろいろしまくった挙げ句、犯罪行為に走ってしまうという共感できないわ、目も当てられないわのお話。しかしねぇ、そのやり方が短絡的過ぎる上、それが完全犯罪として成り立ってしまうというところが意味不明。だってー、薬をパクるわ、カルテ書き換えるわ、点滴を入れ替えるわ、のやりたい放題。いくら夜だからって病院内誰にも見つからずにそれができるとは到底思えないし、さらには使った注射器を紙にくるんでそのままポイ捨てだもんね。てか、医者になれるくらいの知能持っててその杜撰さはないだろうがー!

そんなのすぐ露見するだろうよと思いきや、死人まで出てるってのになぜかスルーされて、マーティンは肯定されるというね。まったくよくわからない世界だぜ。そんなことになっちゃうマーティンの背景を、実家の期待とか、友人へのコンプレックスとか、いろんなオプション使って描いてるけど、特に説得力と呼べるほどのもんはなし。

てことで三流サスペンスでした。残念。


# by april_cinema | 2012-01-21 00:00 | 6th-man | Trackback | Comments(0)
2012年 01月 14日
感想_ロボジー
けっこうベタだけどね。『ロボジー』1月14日公開。家電メーカーの木村電機社員の3人は社長の無理な要求で、作ったこともないロボット「ニュー潮風」を開発中。しかしロボット博覧会直前にトラブルで壊れてしまう。1回限りの窮余の策としてロボットの中に人間を入れてお茶を濁すことを思いつき、バイトのオーディションを実施。条件にあったのは、孫にも相手にされない寂しい老人・鈴木だった。とにかく博覧会だけをやり過ごすはずだったが、鈴木の勝手な暴走によって「ニュー潮風」は大人気ロボットとなってしまう。
映画『ロボジー』公式サイト

矢口監督最新作はロボット×じじい! 超漫画っぽい設定で、まるきりファンタジーではあるけど、その中でちゃんとワールド作り上げちゃうのはさすが。いつも通りのきっちりリサーチでロボット開発の企業や大学の研究室をたずねてエピソードを拾いながらオリジナル脚本を仕上げたそう。実際に大学生たちが登場するし、まんまとそのあたりが反映されてます。で、人が入っているからこその予測不能な動きとか、人が入っているなんて思わない人たちの勘違いとか、秘密を知られちゃいけない社員たちの奮闘とかで、いろんな笑いをちりばめながらお話全体を動かしていく技術は熟練ですな。安心して見てられます。

鈴木を演じたのは五十嵐信次郎。って誰それ?と思ったらミッキー・カーチスだったよ。心機一転憧れの日本芸名に変えたそうです。まあこの言うこと聞かないじいちゃんが、ほんとリアルで笑わせてくれるのよね。そしてヒロインのロボヲタガールに吉高由里子なんだけど、もうキャリアベスト級のかわいさ。ニュー潮風に本気で恋して、猛進しまくって、そしてあのぶち切れシーンが超絶品!(なんかホクロ増えてた?) 吉高のいいとこ全部出し切ってたな〜。で、木村電機の3人組もまたグッド。濱田ガックンは、小市民の雰囲気がやっぱり最高だし、それと組んだWエンジンの川合と舞台俳優長井さんがいい案配の凸凹コントラスト。お見事です。過去の矢口作品に出てる竹中直人に田辺誠一もカメオってますよ。

とはいえ、おもしろかったんだけど、テーマ的にはちょっとシニカルだったような気がするんだよな。老人の孤独はロボットという虚像になることでしか解消できず、孫とのコミュニケーションも着ぐるみごしというのはあまりに寂しい。けど、それが現実なの? 迫っている超高齢化社会を予感させて切なくなるわ。だから結局、この映画に夢があるのかないのかわからなくなってしまったんだよね。『ハッピーフライト』も今作も楽しいけれど、やっぱり矢口監督には若者たちを生き生きと描いてもらうほうが好き。次回作は青春劇をぜひよろしくお願いします!


# by april_cinema | 2012-01-14 00:00 | Starter | Trackback | Comments(0)
2012年 01月 14日
感想_月光ノ仮面
ラストぶっとんだわ。『月光ノ仮面』1月14日公開。戦後日本、戦死したと思われていた男が戻ってきた。男は、戦前に将来を嘱望され真打ち間近だった落語家・森乃家うさぎ。しかし男は一切の記憶を失っていた。森乃家一門は、なんとかうさぎの記憶を呼び戻そうと小さな小屋の高座にあげるが、うさぎはおかしな行動をとるばかり。そこにまた別の男が帰って来る。彼こそが、本当の森乃家うさぎだった。ここは、ずっと満月の町。板尾創路監督第二作!
2012年1月14日全国ロードショー 映画『月光ノ仮面』公式サイト

淡々と、というよりは、飄々と進んで行く物語で、『脱獄王』に続いて主人公は喋らない男。演じるのは板尾さん自ら。戦後の混沌とした世界で、なぜか月が欠けない磁場の狂ったような場所で起きる不可思議なできごとたち。そもそも、似ても似つかない板尾さんと浅野忠信を間違える元許嫁があるか!というツッコミなのですが、それは月の魔力に狂わされているからという解釈らしい。そういうものか。ファンタジーなのか、ミステリーなのか。

なんだかワケはわからないのに不思議と退屈はしなくて、シュールなエピソードが続くからなのかな。奇行に走る高座があったかと思えば、揚屋の女と穴を掘るシーンもあれば、月夜の晩に現れるのはドクター中松だもんな。タイムスリッパーってそれどゆこと!? かと思いきや戦場の悲惨なシーンも挿入されることでシリアスに引き戻されたりして、いったいこの世界はなんなんだ!と。ひっくるめるとダークファンタジー。ブラックユーモアのほうにくくられそうなところ。

とか思っていたところに、信じられない衝撃のクライマックス。びっくりしてオレは相当目を見開いたに違いない。あまりに強烈インパクトで、これ、人によっては気分を悪くしたりもするんじゃないだろうか。さらに畳み掛けるラストはまた解釈を揺さぶってきますねぇ。

見終わって考えたのは、岡本太郎はやっぱり死んでいるんじゃないだろうかってこと。そんな岡本が死の間際に見た夢が、こういうシーンだったんじゃなかろうかな。穴を掘るのは未来への渇望か、それとも早く楽になりたかったのか。ラストのアレも戦場のそれとリンクするしなー。岡本太郎って名前もなんかいわくありげ〜。とか、とにかく相当シュールな投げっぱなし。解釈自由であり解釈不能。オチてるのかオチてないのかそれすら不明。人にはなんとも薦めづらいところもあるけど、好きな人はけっこうハマるんじゃなかろうか。そんな怪作ですわ。


# by april_cinema | 2012-01-14 00:00 | Starter | Trackback | Comments(0)
2012年 01月 07日
感想_パーフェクト・センス
希望と言っていいのか? 『パーフェクト・センス』1月7日公開。それは突然やってきた。急に孤独を感じ涙を流した後、嗅覚を失う。感染症の疑いは低いが、イギリスだけではなくフランス、ベルギー、イタリアなど各地で発症者の報告が。次のステージは突然の飢え、そして味覚の喪失。原因も対処法もわからない世界で出会った、感染症学者のスーザンと、レストランシェフのマイケル。ふたりは少しずつ崩壊していく世界の中で惹かれ合うが、ほどなくしてふたりも発症してしまう。
「パーフェクト・センス」オフィシャルサイト │ 2012年1月7日(土)新宿武蔵野館ほか全国ロードショー

『コンテイジョン』の記憶も鮮明な中でのパンデミックもの。ただしこちらはパンデミックそのものは舞台装置でしかないけれど、原因不明で広まる恐怖という意味では同種のインパクト。しかも内容が恐ろしいのよ。五感が少しずつ損なわれていくというね。嗅覚なしでもまだ生活は守られる。しかし味覚が失われたらどうなる? そして聴覚もなくなってしまうのか? まさかその先も…。という恐ろしさ。徐々に徐々に何も分らないまま進行し、なす術なくあっさりと追いつめられる人類。でもそういう社会的、全体的な枠組みが焦点ではない。

その中で人々、個人はどんな風に行動するのか。婚約者を亡くして以来、決まった恋人を作らなかったマイケル。ろくでもない男ばかりつかまされてきたスーザン。それぞれに孤独を持っていたふたりが奇妙なシチュエーションの中で出会い、特殊な状況ゆえに惹かれ合うラブストーリー。ラブ要素は限定的ではあるけど、描き方がうまいから自然。ユアン・マクレガーとエヴァ・グリーンの演技のよさも大いにあると言えるだろうな。ユアンはこういう良い男but孤独、影あり、という繊細な感じがよく似合う。

それにしても、この世界は希望があると思っていいんだろうか。映画はSFではあるけれど、人類にこの先どんな危機があるかはわからない。この映画と同じにはならないでも、こういう予期せぬ事態にならないとは言い切れない。五感か、なにか別の物を失ったときに、残された感覚を研ぎすませて生きていけるのか。世界は終わると絶望するのか、それとも人生は続くと希望をつなぐのか。後者を映画は示唆しておきながらも、しかし容赦なくシャットダウンされるラスト。うーん、難しいな。

新感覚というべきか。解釈の難しさは残るけど、観客を惹き付ける映画だったな。


# by april_cinema | 2012-01-07 00:00 | Starter | Trackback | Comments(0)
2012年 01月 07日
感想_哀しき獣
またも弩級バイオレンス。『哀しき獣』1月7日公開。中国国境に暮らすグナムは、韓国へと出稼ぎにいった妻の帰りを待っていた。しかし妻のビザ取得のために負った借金の片に、韓国での殺人を請け負う。期間は2週間。ターゲット自宅の下見をしつつも妻の行方を探すグナム。いよいよタイムリミット前日、決行のため深夜に現場に向かうと別の不審者たちがターゲットを殺害していた。後に引くことも出来ずその犯人を殺したグナムは逃亡し、警察とブローカーとに追われながらも国へ帰るルートと妻の行方を探す。
映画『哀しき獣』公式サイト

『チェイサー』もとんでもなく強烈な映画だったよね。でもね、これもね、その上を行くんじゃないかというさらなる問題作。とにかく苛烈なバイオレンスなんだけど…、惹き付けられてしまった。やっばい雰囲気ムンムンのオープニングから始まって無駄がないけどしっかり描き込まれた映像世界にどっぷり。140分の長尺を感じさせない緊張感、展開、構成力はホンモノだわな。カーチェイスのスケールもずいぶんデカイな、と思ったらハリウッドが出資しててリメイクもすでに決定しているそうだ。だからかー! すげーぞー!

主演のハ・ジョンウがよすぎるんだよな! 『チェイサー』同様、優しそうというか害のなさそうな顔してるのに、不遇の男になりきり、しがないタクシー運転手からあれよあれよというまに殺人者へとなりきっている。決して悪ではないのに、運命に翻弄されただただ必死に現状を打破しようとする姿が強烈すぎるぜ。狂気ではないけどなにかが狂っている感じ、すごいな。日本だと大森南朋的なムードだけど、もっと上手い気がする。

とにかく中盤以降はバイオレンスにつぐバイオレンスでちょっと直視がしんどくなってくるのは『チェイサー』と一緒。にしてもラストのあれはなんだよー! まさか戻ってきたとでもいうのか? それはグナンへのあまりにも過酷過ぎる仕打ちじゃないっすか!? なんにしてもとんでもない映画だ。夜見ると眠れなくなるぜ!


# by april_cinema | 2012-01-07 00:00 | Starter | Trackback | Comments(0)
2012年 01月 07日
感想_ストリートダンス/TOP OF UK
ア・ガ・ル〜! 『ストリートダンス/TOP OF UK』1月7日公開。ダンスでUKチャンピオンを目指すカーリー。しかし彼氏でリーダーのジェイがチームを去り、リーダーになったカーリーはチームをまとめるのに悪戦苦闘。稽古場を探しているときに出会ったのが、バレエ学院の先生。学校の稽古場をただで借りるための条件は、学院のバレリーナ5人をチームに入れることだった。ストリートダンスとバレエ。相容れないそれぞれのメンバーが、ひとつのチームでファイナルを目指し…。
映画「ストリートダンス/TOP OF UK」オフィシャルサイト

8割方踊りまくりでテンションあがったわ〜! ストリート×バレエでチームを組んで、最初はぶつかりつつも徐々に理解し合って最終的にはお互いのいいとこ取りコラボで見たこともないパフォーマンスしちゃう、というザ・マンガというべき展開。しかも"徐々に理解し合う"ところには特別なエピソードとかほとんどなく、ただただひたすら踊り倒し。祭りみたいなところ行っちゃ踊り、クラブ行っちゃ踊りしてるうちに、なんとなく縮まっている距離。いいぞこのとにかく踊りだけ見せ切るっていう手法!

トップダンサーが多数登場ってことでとにかくダンスがキレまくり〜。主演のニコラ・バーリーちゃんもカワイイ顔して踊りまくり。いやほんとみんな格好いいんだわ。オレに足りないのはダンス。踊れないけど見てて体が動き出すような感じで楽しいんだよねー。てかバレエもストリートもこなせちゃうダンサーたちのセンスに釘付け。うらやましや〜。ファッションもいい感じです。B系の女子って独特の色っぽさあるよね。

てことで、これ以上は特に言葉は不要。で、バレエダンサーたちは試験どうなったんだとか、バレエダンサーばっかり苦労してたよねとかはスルーすべし。見てノって楽しめばオールOK。実に楽しい映画だったわ。


# by april_cinema | 2012-01-07 00:00 | All-Star | Trackback | Comments(0)
2011年 12月 31日
2011 Most Valuable Cinema 10
ちょっと出遅れたけど今年ももちろんやりますとも、これやらないと年越せないかんね! 1年間の映画大総括の始まり始まり〜!!
【鑑賞数:194本(昨対+3)うち外国映画152作品(昨対+23)、日本映画42作品(昨対△20)】
もっと減ったと思ったけどほぼ昨年と同数。しかし邦画がこんなに減ったとは実感なかったなー。来年こそ年間200本復帰を目指すぞ!

#10_X-MEN:ファースト・ジェネレーション
いやーこれシリーズ最高のシーズン0。エンターテインメント性は抜群にありながらX-MENのテーマ、マイノリティであることと正義が果たして誰のためにあるものなのかを同時に問いかける、娯楽道徳共存の"グッドバランスリーダー"映画。バットマンシリーズに劣らぬ完成度です。そして来年への期待が大増幅したのが『キャプテン・アメリカ』ね。『ジ・アベンジャーズ』がどうなるのか、ダークナイト最新作は? スパイダーマンは!? と来年のアメコミ映画がマジで楽しみすぎ。

#9_マイ・バック・ページ
ほとんどの人間には何者にもなれずに終わっていく。何かになりたいとも思わない今の時代、果たして最後の涙をどう読むのか。ノンフィクションの力を持った、"ヒーローなんて、もういないんだ"映画。

#8_ブルーバレンタイン
今年最大の哀しき恋を描いた"the most ブルーラブストーリー"。あんなに幸せに結ばれたはずのカップルが、どうしてこんなふうに壊れてしまうのか。答えは誰にもわからないし、誰もが、知っている。ライアン・ゴズリング神話は終わらない。真逆のハッピー恋愛映画『ラブ・アゲイン』ではスーパーイケメンを見せてくれたし、2012年も『ドライブ』だ『スーパーチューズデー』だと話題作ラッシュ!

#7_モールス
オリジナルより遥かに良かったこのリメイク作品。その原動力はそう、誰もが愛したあの少女。こんなにも美しく儚く成長してスクリーンに帰ってくるなんて! クロエ・グレース・モレッツ、すでに"夢見るヒットガールじゃいられない!"。または、"ワールドクラスの芦田愛菜"!

#6_永遠の僕たち
でもそんなクロエの独走に待ったをかけたのはミア・ワシコウスカ。少年少女の恋と、死と、夢っていう絶対青春ファクターを美しく、温かくまとめあげ、そして誰もがミアに恋をしたはず。"ヒロインランキングオールベスト入りおめでとう"賞を捧げます。

#5_サラの鍵
過去ってなに? 歴史ってなに? ルーツってなに? アイデンティティってなに? そんなことを多重方面から投げかけて来る緻密なプロットに完全KO。"自分探しする前にこれを観な!"シネマ、堂々の今年度ナンバーワン。

#4_ラビット・ホール
どれだけたっても癒えない、消えない傷がある。それでも前に進まなくては行けないし、あんなにも大きな岩のようだった痛みが、やがて小さなポケットの小石に変わる日がくることを信じなくてはいけない。"珠玉の名台詞集に新たな1ページ"を追加したくなった、再生の物語。

#3_奇跡
奇跡なんて到底信じられないほどに多くのものが崩れ落ちた今年。でもそれゆえに、足下に落ちていた小さな100円玉のような取るに足らない奇跡をもう一度信じさせてくれたのがこの映画。この特別な年に、最高の"ライフイズミラクル"をありがとう。

#2_ミスター・ノーバディ
いつだって人は考えるんだ。あのとき右ではなく左の道を行っていたらまるで違う今よりも素晴らしい人生があったんじゃないかって。でも、そうではないんだ。今の道には、選び取らなかったほうの道と、常に同じだけの意味があるということ。"迷える子羊を導く神様映画"ランキング、文句無しで1位です。

#1_ファンタスティックMr.FOX
全編ニタニタ、その実、意外と硬派。お遊び? ノンノン、どこまでも本気マジ真剣コマ撮りアニメーション! 誰もが自分らしくあれるように。そんなメッセージに社会や家族といったテーマを織り込んで、可愛くユーモラスにそしてハートウォームに仕立て上げるウェス・アンダーソンの天才シャレオツっぷりったら! 今年のthe very best of "世界に笑顔と優しさを"映画だと思い、今年の第一位に推させていただきますよ!

なんというか大作系をけっこう見逃してるのでこれが本当のベストかどうかはわからないけど、オレが観た中ではこれなんだよね。やっぱり見終わって希望を得られる映画、それを観てなにか自分に得るものがある作品が好きなんです、結局(去年も同じこと言ってるけど)。毎年のことながら10本に絞るのは本当に大変ですわ。でも楽しく1年振り返らせてもらってまっせ。さあ新年も続々と注目作がやってくるし、賞レースはすでにスタート中。楽しい映画ライフを遅らせていただきます! 今年も1年間ありがとうございました。

2010年→2010 Most Valuable Cinema 10
2009年→2009 Most Valuable Cinema 10
2008年→2008 Most Valuable Cinema 10
2007年→2007 Most Valuable Cinema 10
2006年→2006 TOP10 CINEMA


# by april_cinema | 2011-12-31 00:00 | Standings | Trackback | Comments(0)
2011年 12月 23日
感想_宇宙人ポール
SF内輪ウケでは? 『宇宙人ポール』12月23日公開。アメリカのコミケにイギリスからやってきたグレアムとクライブ。彼らは長年憧れていたアメリカのUFOスポット巡りへと旅立つが、その道中でなぞの生物に遭遇。彼は自分が宇宙人で、アメリカ政府の長らくの影の協力者だったこと、しかしいよいよ身に危険が迫り逃げ出してきたことを明かす。とうてい受け入れ難い話ながらも同行することになった3人は、追っ手から逃れながらある場所を目指し…。
「宇宙人ポール」オフィシャルサイト

なかなか楽しい宇宙人とのロードムービーコメディ。道で拾った宇宙人がひねくれたキャラで、こういう異界のものとの交流ってのは今までにもあったと思うけど、それに対するのがヲタ、ってのもあった気がするけど中年ヲタってのがなんかチカラ入ってなくていいよね。純真な少年でもないし、マジメ中年でもない微妙に今っぽい着地で。そいつらがいろんなところで細かくクスリとさせてくれる。

でも、これは映画、とりわけSFフリークじゃないとわからないシーンも多いみたい。『未知との遭遇』ほか名作へのオマージュとか、ラストの場面は"行けばわかるよ"的なノリだったけどSF赤点なオレにはわかりませんでした、ごめんなさいって感じで、多分この映画の実力の半分くらいしか楽しめてないと思います。こういうとき自分にがっかりするけどまあ仕方ないね。スピルバーグ本人がカメオで出て、E.T.のアイデアもらうくだりは楽しめたけどさ。

最後まで明るい調子で笑わせてくれて、でもなんか「冒険すること」と「自分に正直になること」というなんとも定番なメッセージももらえてメデタシメデタシ。イロモノっぽい見え方だけど、実はけっこうまっとうな映画でした。SF力も試されちゃうけどね。


# by april_cinema | 2011-12-23 00:00 | Starter | Trackback | Comments(0)
2011年 12月 23日
感想_運命の子 Sacrifice
運命の皮肉ですか。『運命の子 Sacrifice』12月23日公開。中国春秋時代、晋の国。屠岸賈は謀反を起こし、趙氏一族を皆殺しにする。しかしただ一人、生まれたばかりの赤子を逃してしまったため、国中の赤子を皆殺しにするお触れを出した。趙氏の子をかくまっていた程嬰だったが、同じく生まれたばかりの実の子が趙氏の子と間違えられて殺され、趙氏の子を育てることになる。程嬰は、この子を復讐のために育てることを決意する。
映画「運命の子 Sacrifice」公式サイト

中国・晋の時代の歴史小説もので、実話ではないみたいだけど中国じゃ有名な故事みたい。権力争いに翻弄され、運命によって生かされた子と、殺された子。その掛け違えたボタンが果たしてどう決着するのか…という復讐ベースの物語。そもそもがわりと長い話なのか、時間的に15年の幅があるからか、わりと淡々と進んでいった印象だな。

淡々としている割には微妙にわかりづらいんだよね。序盤の登場人物の相関もすぐにストンと入ってこなかったし、赤子取り違えのくだりは重要なキーポイントでありながら、これも一度できちんと理解できなかったのですが、それは僕が空気読めてないだけでしょうか。なんとなく前後の文脈でこういうことなのかな、と想像で補ってたらもう半分終わってた。いやでもかなりわかりづらかったよ、この流れは。あらすじを読み直しても、えーとうん事実関係はわかったけどさ、、、って感じだし。

で、復讐もまた回りくどいこと。子供は思った通りには育たないし、復讐にも時間がかかるし、でもその15年間は映画の中では端折られちゃってなんだか老けメイクだけが気になる忙しさ。15歳の少年にその状況を理解させるのはさすがに難しいと思うんだけど、割と素直に言うこと聞いたのはちょっと意外な気も。しかしクライマックスの差し違えはずいぶんヘンテコなアクションだったな。

教訓は、親の愛がいかに尊いかってことか。母は死してなお子供を生かし、またある母は子供かわいさゆえに我が子を失い、我が子を失った父は他人の子を愛すると同時に復讐の道具とし、殺したはずの子をはからずも愛した育ての父が真実を知ったときに去来したものは果たしてなんだったか。なにげに最後のがいちばん映画のテーマ足り得そうなもんだけども。

全般、やや大味にも感じました。なんだか誰も幸せになれない話だったな。


# by april_cinema | 2011-12-23 00:00 | Starter | Trackback | Comments(0)
2011年 12月 23日
感想_永遠の僕たち
ミアにベタ惚れ。『永遠の僕たち』12月23日公開。両親の死のショックから立ち直れないイーノックは、自分に関係のない葬式を巡り歩く。心を開くのは彼にだけ見える日本兵の姿をした男ヒロシのみ。そんなとき、ある葬式でアナベルという少女に出会う。明るく笑う彼女としだいに距離を縮めるが、アナベルは余命3ヶ月という身だった。
永遠の僕たち - オフィシャルサイト

普遍の青春ラブストーリー決定版! もう幾度となく繰り返されてきたテーマだけどこんなにも魅力的に仕立てるのは、やはりガス・ヴァン・サントによるところが大きいのか。死にからめとられる少年と、死を受け入れるしかない少女。ふたりの間には、神風特攻隊という運命のもとに死んだヒロシ。主な登場人物はこれだけなのに、こんなにも心くすぐっちゃうんだもんな。とにかく温かくて、甘やかで、美しい。

ふたりが近づいてく時間が本当に愛おしくて愛おし過ぎて。デニス・ホッパーの息子ヘンリーは、なんでこんなに寝癖ボーイが似合うんだ! 青臭くてまったく大人になんてなれなくて、人の愛し方だってわからないけれどそれゆえに真っ直ぐでシャープ。まだ失われていないナニカが残っているのがよくわかって、だからとてもピュアで美しいの。斜に構えた態度が満点の思春期ですとも。男ってやつはいつもこうなんだよ、ホント。ガキすぎて素敵! で、対するミア・ワシコウスカ! ミアって、いわゆる美形とは違うと思うんだけどむっちゃくちゃ可愛かったの! 初っ端の登場は丸坊主なのかと思ったらベリーショートで超お似合い。しかも衣装全部が全部半端じゃなくオシャレで最高すぎます。フィクション大好きガールのトップ10入り間違い無しだわ。イーノックより遥かに大人で現実的で、死というリアルを知ってしまったがゆえに夢見る姿に胸を痛ませずにはいられないし、好きにならずにいられないわ!

哀しい物語ではある。のだけど、死という運命が常にぼくらの周辺をさまよっていながらも、それでも人生に希望はある。輝く瞬間がある。ということを教えてくれる。その運命からは誰一人逃れられないのだけど、死を共有しているからこそ私たちの生は輝かせることができるんだろうな。1年の終わりにこの映画に出会えてよかったよ。素敵な物語をありがとう。なにげないシーンのすべてに、温かい涙を流せる作品です。


# by april_cinema | 2011-12-23 00:00 | All-Star | Trackback(1) | Comments(0)
2011年 12月 17日
感想_サラの鍵
さて何を受け取るべきか。『サラの鍵』12月17日公開。ジャーナリストのジュリアは、第二次大戦下に行われたパリでのユダヤ人一斉検挙について調べ始める。その過去の歴史的事実は、思いも寄らぬ形で自分の暮らしともつながっていた。一斉検挙にあったユダヤ人一家の娘であるサラの行方を探すうちに、ジュリアは自身の中の新しい感情とも出会っていく。
映画『サラの鍵』公式サイト 2011年12月17日 銀座テアトルシネマ、新宿武蔵野館他 全国順次ロードショー

シリアスで重層的な物語だったな! ナチス統治下のパリが舞台ときいてたけど、そこは導入口で、ストーリーの軸足は現代にあったわ。過去の悲劇をフックにして、ジュリアが真実を求めて行き着く先はどこだったのか。一般的なホロコーストものでも、ミステリーでもなく、歴史とはなんなのか。そして個人のアイデンティティとはなんなのか。そしてそれらを包括的にとらえて自身の生き方を考えざるを得ない作品とでも言うべきか。

ジュリアは個人的な興味で歴史の扉を開いていく。パリで暮らす人間として、埋もれていたフランスの国家的罪悪に胸を痛め、そして自身が住むことになるアパートの秘密を偶然に知り、徐々に自分ごととして調査を始める。でも途中からそれは真実を知る旅から、自分の人生を決断する旅へと変容していく。サラの足跡をたどるうちに、時代は移り変わり、サラの足取りはヨーロッパからアメリカへと渡り、さらにジュリアはイタリアにまで足を運ぶ。もはや歴史は過去であり、真実を明らかにしたところで現実の何かが変わるわけではない。それは夫の言う通りで、「それが誰かを少しでも幸せにしたのか?」である。この問いに対する答えはNonだろう。

でも。ウィリアムは知らなかった自分のルーツに驚愕し、過去を知らなかった自分の人生を偽物だとまで言い切る。果たしてそうなのだろうか。もし自分が自分の知らないルーツを持っていたら、それは偽りの人生になってしまうのだろうか。決してそんなことはないはずだけど、もちろん決定的に違う道があったことも事実だろう。それは選ぶとか選ばないとかそういう次元ではなくって、パラレルワールド的なものなんだろうけれども。

だけど、歴史というのは不思議なもので、闇に埋もれていた小さな悲劇が、ジュリアの暮らしを変え、そしてウィリアムの未来も変え、さらに新しく生まれる命に思わぬ形でそれは受け継がれていく。人生は不思議だ。そして哀しいけれど、美しい。そんな風に思ってしまう瞬間である。そして、人と土地の関係性。NYに生まれ、そして戻ってきたにもかかわらずパリへ戻るだろうというジュリアとゾーイ。ウィリアムにとってのフィレンツェ。デサック一族が暮らしたあの家。土地と人生のつながりというのも不思議なもんだな。そしてそれは世界中にちらばるユダヤ人にとっても同じことなのかもしれないな。

どこ切っても意味が読み取れてしまう、まるで一筋縄ではいかない多層的な物語。だけど後味は全然悪くなんてないんだ。負の歴史と、それが生んだサラの苦しみは、ミシェルやその他大勢の命を奪い、サラを人生の淵まで追い込んだけれど、それでもそこからまた新しい扉が開かれていく。そこに生きる希望を感じたのでした。人生は、それでも美しい。そう思わせる映画です。


# by april_cinema | 2011-12-17 00:00 | MVP | Trackback | Comments(0)
2011年 12月 17日
感想_灼熱の魂
壮絶過ぎて…言葉が……。『灼熱の魂』12月17日公開。母の遺言を聞いた双子のジャンヌとシモン。その内容は父と兄にそれぞれ手紙を渡すようにというもの。しかし父ははるか昔に死んだと聞き、兄の存在にいたってはまったくの初耳だったふたり。困惑しながらも母の過去をたどり、カナダから祖国の中東へと向かう。ふたりが知ったのは、母の過酷な人生と、そして衝撃の運命。
映画『灼熱の魂』公式サイト

…………。

言葉を失くさずにはいられない苛烈過ぎるインパクト。まさかそんな展開が待っているとは夢にも思わなかった。レディオヘッドが流れるオープニングから禍々しさが漂い、でもかなり心をとらえる映像。物語にぐいぐいと引っ張られてのめり込んだ先の着地点がそんな結末だなんて。。あまりにも残酷な運命だ。オレには耐えられんぞ。これは決して中東の戦争とか、歴史に対するメッセージではなく、あくまでひとりの女の壮絶な運命こそが主役。

物語を大きく動かす宗教に起因する紛争はショッキングな映像も伴う。それは現代の世界情勢を示唆するというよりは、争いの無慈悲さや、憎しみや怒りの連鎖そのものを憂いているように思う。その中で母が生き続けた理由はただひとつ。生き別れた息子であり双子の兄ともう一度会うため。その純粋で決して折れない強さがまた皮肉な運命を導いたと思うと、気持ちの落ち着かせどころがないんだよな。ハッピーエンドなんてどこにもないし、デッドエンドでもない。「死で物語は終わらない」という台詞が深く深く突き刺さる。

そして、「共にあるように」というメッセージもまたこれ以上の質量はないだろうほどに痛烈。すべての元凶は離ればなれになってしまったことこそにあると、母は思ったのだろう。悔いがあったのだろう。何があっても決して離れるべきではなかった。手放すべきではなかった。そこにどんなルールや障害があったとしても。真実を知らされた双子のこれからには、あまりにも重い枷がついてしまったけれど、母の残した言葉が最後の最後に救ってくれるんじゃないかというかすかな期待を抱きたくなる。というかそうでもないと、どうにも遣る瀬なさ過ぎて。いったいこの子たちはどうなっていくんだろう。続編を期待してしまいたくなる。いや、この子たちに救いがあると言ってほしい。そう思うほどに打ちのめされる内容だったわ。

なんにしてもあらゆる面で半端じゃない熱量を持った作品。強い覚悟で臨まないと打ち砕かれてしまいそうだ。


# by april_cinema | 2011-12-17 00:00 | All-Star | Trackback | Comments(0)


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