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2015年 12月 27日
感想_クリード チャンプを継ぐ男
b0130850_12245100.jpg熱かった! 『クリード チャンプを継ぐ男』12月23日公開。私生児として生まれ、施設を転々としていたアドニス。彼は伝説のチャンピオン、アポロ・クリードが遺した子供だった。メアリー・アンの保護を受けて立派に成長したアドニスだったが、自分の中に眠るファイターの血を抑えきれず、ボクシングを志す。そして彼が向かったのはフィラデルフィア。父の生涯のライバルであり友であったロッキーに、コーチを頼むために。
2015年12月23日全国ロードショー!映画『クリード チャンプを継ぐ男』

SW祭りに続いてのロッキー祭り、評判いいという話だったのでかなり楽しみだったけど、期待に応えてくれたなー! お話は別に難しいことはない。アポロの息子がロッキーにコーチを頼んでのし上がる、っていうんだから過去のロッキーシリーズに通じるシンプルさ。でも、その一つ一つをしっかり描くとこうなるというお手本だったな。

まずはアドニスの背景。アポロも存在を知らなかったという設定で、施設での暴れん坊っぷりにDNAを感じさせることで後の躍進の説得力を持たせる。子役の目つきすごかったね、あれぞ虎の目。YouTubeでアポロとロッキーの戦いを夜な夜な見ては繰り返すシャドーボクシング。これでもうレガシーの申し子ってことは十分伝わる。そしてロッキーと出会い、ミッキーのジムへ行き、二人の旅が始まる。今までのシリーズは練習がかなりあっさりだったけど、今回は本格的。ロッキーシリーズお馴染みに鶏追っかけっこに、筋トレ、ランニングでファンを満足させつつ、ちゃんとミット打ちとかスパーリングもやるので進化にも納得できるというね。

合間にはヒロインのビアンカとのラブも挟み込んで、「エイドリア〜ン」とは叫ばなかったけど、ロッキーにエイドリアンが必要だったことへのリスペクトも忘れない。さらにフィリー名物のウィリー軍団を引き連れてのロッキー激励は、2で街のみんなと一緒にランニングしたあのシーンをちょっと思い出させたよね。と、節々にちゃんと過去作品への敬意が払われているんだよね。これ見よがしではなく、ちゃんとドラマの中で生きてるのがいいわ。

で、ラストのファイト。またも相手役はプロのボクサーで、なおかつ見せ方が格段に上手い。一番最初のアドニスのメキシコでの試合もそうだったし、ラストバトルにしてもそう、アングルもうまければボクシングとしても不自然さがなく、素晴らしいわ。ダウンからの走馬灯を経ての覚醒とか震えたわ。漫画的だけど、あれめちゃくちゃ格好良かった。そして最後の猛攻からのエンディングまで、いやー泣けた。「お前が次のチャンプだ。クリードの名を誇りに思え」から始まって、とどめは、父に向けての一言。「愛している。恨んだことなんてない。クリードの名を誇りに思う」。はい、泣きました。

ロッキーとアポロが刻んだ伝説を、アドニスが正しく継承した素晴らしいファイトでした。父から子へ、という流れを下敷きに、ロッキーという名作を過去に引き継ぐという偉業だったと思います。お馴染みロッキーのテーマはいつ出るのかと思ったらそこでくるかーーーー!って感じの見事なお仕立て。ファンにはたまらない1作だったと思います。40年近く続くシリーズ。これもまたSW同様に素晴らしい文化だなと思いました。
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by april_cinema | 2015-12-27 00:00 | All-Star
2015年 12月 20日
感想_ロッキー・ザ・ファイナル
b0130850_2062282.jpgまさかの胸熱! 『ロッキー・ザ・ファイナル』iTunesレンタル鑑賞。エイドリアンに先立たれ、ロッキーは地元フィラデルフィアで小さなイタリアンレストランを経営して暮らしていた。息子ロバートも自立し、不自由はないもののエイドリアンとの幸せな日々にどこかとらわれていたロッキー。そんな時にふと目にしたテレビで、現在のチャンピオンと、往年のロッキーのどちらが強いかをコンピューターでシミュレーションするという企画が。その内容に、自らの中にくすぶる情熱を感じ取ったロッキーは、再びリングに戻ることを決意する。
映画「ロッキー・ザ・ファイナル」公式サイト

前作から16年が経って、一気に21世紀のスタンダードに仕上がっての6作目。とても面白かった! 展開自体は今までとそんなに変わらないけど、映像がアップデートされ、ボクシングの説得力も増していて、おかげで最後はかなり興奮しましたよ。普通に考えたら50代のロッキーが現役チャンプと渡り合えるわけないんだけど、チャンプの油断とアクシデントと、ロッキーの不屈スタイルが相まってなんかさもありなんと思えたもんな。こんなの初めて! でも、それもこれもシリーズ5作を積み上げてきたから納得できるってもの。これがロッキーなんだ、って。

スタローンの見た目がなんか落ち着いたのも良かったね。だいぶ老け込んで(撮影当時60歳?)肉付きも良くなってて、でも頑強さは健在で。懸垂にバーベルに、そしておなじみの走り込みに、生卵5個一気飲み&お肉にパンチトレが復活! もちろんフィニッシュはフィラデルフィア現代美術館でガッツポーズ。ワンパターンなんだけど、これだけ様式美を重ねられるとそれだけで笑顔になってしまいます。これも6作やってきたからだね。続けるって大事。

このシリーズ、スポーツものの割にロッキーの語りが結構多かったなって改めて思うけど、ロッキーからロバートへの困難から逃げるなというメッセージや、マリーがロッキーを勇気付ける言葉とか、ポーリーが初めていいやつに見えたりとか、過去では生きていけないというテーマとか、そういうのも良かったです。

それにしてもエンドロールの、一般人たちのロッキーごっこ100連発はめちゃくちゃ楽しかったなー。俺もフィラデルフィアに行くことがあったら絶対やるわあれ。というかあれをやりにフィラデルフィアに行きたいし。世界的メジャー作品のチカラを感じました。ということで『クリード』待機完了。超楽しみ!
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by april_cinema | 2015-12-20 00:00 | All-Star
2015年 12月 19日
感想_ロッキー5
b0130850_2033077.jpgこれはいかんね。『ロッキー5』iTunesレンタル鑑賞。ロシアから戻ったロッキーを待っていたのは、会計士の不正による破産だった。無一文になった一家とポーリーは、フィラデルフィアに戻り再起をかけるが、ロッキーはドラゴ戦のダメージによる脳の損傷が見つかり引退を余儀なくされる。そこに現れたのは、若手ボクサーのトミー・ガン。彼の懇願を受け、ロッキーはトミーのトレーナーを引き受け、二人は連戦連勝を重ねるが…。

マンネリ感が半端じゃなかったな。いきなり破産とかなんか無茶苦茶だし、トミー・ガンを最初は受け入れる気なかったのになんで突然気が変わったんだろう。気が変わったどころか家族同然扱いに昇格してたし。まあ…そういうこともあるのかな。だけどこのトミーがロクでもない奴でね。目先の損得に目がくらんでロッキーを裏切るどころか、逆恨みして飼い犬の手を思い切り噛んできやがるもんだから全く最低すぎるだろうよ。ここまでの最低男、映画くらいでしか出てこないよ。悪徳プロモーターもあまりにステレオタイプだったしなー(実在のモデルがいるらしい)。トミーはなんか強えなぁと思ったら、現役ボクサーどころかのちのヘビー級チャンプでもあるトミー・モリソンだって(そしてHIV感染で2013年に亡くなっていた)。

展開はいつもと同じ感じで、前半いろいろあって、中盤からトレーニングして、最後はファイトでフィニッシュ。今回はトミーとロッキーの場外乱闘てことで、投げ技ありの総合格闘技と化してました。もうこうなると何が何やら。息子とも分かりやすく喧嘩して仲直りして、何だかなーって感じですね。そうそう、その息子役はスタローンの実子なんですと。へー。

シリーズ最低成績で酷評されたというのも納得でした。
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by april_cinema | 2015-12-19 00:00 | Reserve
2015年 12月 17日
感想_ロッキー4/炎の友情
b0130850_200288.jpg友情あんま出てこねぇ。『ロッキー4/炎の友情』iTunesレンタル鑑賞。チャンピオンに返り咲き満ち足りた暮らしを送っていたロッキー。そこに飛び込んできたのは、ソ連の最強ボクサー、ドラゴがアメリカにやってきて、ロッキーとの対戦を希望しているという知らせ。それに反応したのはアポロ。引退から5年、彼の中にくすぶっていた闘志に火がついたのだった。かくしてエキシビジョンマッチが組まれることになったが、力の差は歴然。アポロは滅多打ちにされ、それでもタオルを投げるなと言い残し、最期までファイターであることを選ぶのだった。悲しみに暮れたロッキーはドラゴとの対戦を了承。ソ連へと乗り込んでいくことに。

こういうもんだともうわかっているのに、それでも驚くほどにストーリーがなかったわ。ドラゴ登場、アポロ死亡、ロッキー練習、試合に勝つ、以上。ここまでそぎ落とすのすごいし、90分という短い尺とはいえよく間をもたせたわな。いや、間がもっていたとは言い難いか。ドラゴvsアポロはやったらと派手に演出され、ジェームス・ブラウンが登場して前座で歌うという大サービス。それはいいけど、長すぎるっつーの。おまけにアポロはすっかりおちゃらけた無謀なおじさんになってしまい、格好悪すぎる散り方でファンとしては残念だったな。「ファイターとしての本能は変えられない」っていうセリフは格好良かったのだけれど。なんかアポロロスだな〜。

そしてロッキーの練習は再び1、2作目に逆戻りしてほぼ体力作りのみ。それをロシアのど田舎の雪深い中でやっただけ。なぜかドラゴの管理された科学的トレーニングと対比させて、雪原ランニング、薪割り筋トレ、ソリ引きダッシュ、などなど過剰なまでのアナログ仕様。こういうところも本当にマンガだわー。どちらかというとこのアナログさは、シリーズ最初の方でやるべきものなのに、まさかの4作目でこれね。で、いざ本戦の方は、あそこまで打たれながらもなぜかロッキーは持ちこたえ、一発の反撃で逆転勝ちしてしまういつもながら不可解な勝ち方。ロッキーの強さってなんなんだー! 体力馬鹿ってこと? まあスタローンの体はさらに強化されてたので一応説得力あるということになるのかもしんないけど。

締めは、「誰もが変わることができる」というメッセージにして、冷戦時代集結への目配せも盛り込んでました(公開は1985年)。そしてエイドリアンの名を呼ぶ代わりに息子へのアイラブユーでフィニッシュ。『クリード』はこの辺りの様式美をどうしてくるんだろうね。てか、オープニングはまたも前作のラストシーンからでした。5もそうなんでしょうね。

ちなみに、この作品はラジー賞5冠に輝いているそう。あと、スタローンとドラゴの嫁が仲良くなって結婚して次の年離婚したというトリビアをウィキで知りました。
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by april_cinema | 2015-12-17 00:00 | 6th-man
2015年 12月 12日
感想_ロッキー3
b0130850_19551359.jpgまるきり漫画だね! 『ロッキー3』iTunesレンタル鑑賞。2度目のアポロとの激戦を制して新チャンプとなったロッキーは、その後も10度の防衛に成功し、全米中のスターに。メディアにも出まくりついにはフィラデルフィア美術館前に自身のブロンズ像までたった。その場でロッキーは引退を宣言すると、観衆の中から出てきた男がロッキーを侮辱し挑発。男はクラバー・ヤング。デビュー以来連戦連勝でランク1位まで上り詰めた凶暴な男。ロッキーはその挑戦を受けるが、獰猛なクラバーに会えなく屈してしまう。

またも冒頭は前作のラストシーンという構成を踏襲し、全体的な展開も大体一緒で実に分かりやすいわ。でもこれまでよりもビジュアルが強化されていて、2より楽しかったな。突っ込みどころはものすごくあるというのは今まで通り。

そもそも、2ではCMのちょっとしたセリフもまともに言えないダメ男だったはずなのに、今度は随分スマートにスターになってたし、すっかりセレブ入り。で、ミッキーは弱い相手とばっかりマッチメイクしてたって10回もそれやったら世間が黙っちゃいないだろうに、ロッキー気づいてないとかありえないっしょ。で、突如アポロがトレーナーにつくっていうのも随分都合がいい話だけどまあそれはいいか。

てかミッキーとロッキーの関係性が解せなすぎるわ。そもそも最初あんなに愛想尽かしてたのに、タイトルマッチになった瞬間手のひらを返したミッキー何なのって感じだし、トレーニングもミッキーが何してたのか全然見えないし、「ボディをねらえ」って指示もどこから来てるのかわからないし。挙句、弱い相手とマッチメイクして嘘ついてたって最悪だろうが。さらにアポロがトレーナーになったことで、ロッキーが基礎ゼロでこれまたミッキーは何もしてなかった疑惑再燃。この辺はスピンオフでもして、エピソードゼロつくってあげないと報われないよねー。

しかしアポロのいい奴っぷりよ! 1ではかなり傲慢なチャンピオンだったけど、2でムキになったのに負けて可愛くなり、そして3では超絶クールな紳士になって帰ってきたね。このキャラたまらないわ。アポロ萌えの人結構いそう。そもそも、アポロ相当強そうだけど、なんでロッキーに負けたんだっていうね。「虎の目をしろ!」ってアナログな指示もいいわ〜。今作のトレーニングは今までの走って筋トレしておしまい!から格段にステップアップして、ビーチをダッシュして、水泳して(最初は顔を水につけずに平泳ぎだったのが最後にはバタフライw)、フットワークにスパーリングとそれっぽくなってました。ロッキーとアポロが浜辺をダッシュ後に水辺でタンクトップ姿でじゃれあってるホモっぽいシーン、最高だったな。

でも、スタローンの肉体改造には驚いたね。ランボーの役作りだったそうだけど、前2作とは見違える体つき。アポロの体もすごいし、きわめつけはクラバーの顔と体の怖さね。あれはすごいわー。あとハルク・ホーガン出てたね。笑 あんなに強くて怖かったヤングなのに、簡単に負けちゃったのは残念。

漫画と同じで、大して面白くねーって思いながら結局最後まで見ちゃってそれなりに楽しんでる、っていうタイプの作品です。ロッキーもう34歳てことだけど続編はどういう展開になるんだ!?
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by april_cinema | 2015-12-12 00:00 | Starter
2015年 12月 09日
感想_ロッキー2
b0130850_1951069.jpgこれまたワンパターン! 『ロッキー2』iTunesレンタル鑑賞。チャンピオンと互角の戦いを演じ、一躍時の人となったロッキー。CM出演などの仕事も舞い込むが、不器用な彼は全然上手くこなせない。その頃、アポロは世間からの「お前が負けていた」という声を黙らせるために、ロッキーとの再戦を仕組む。隠して二人は再びリングで相まみえることに。

まさか冒頭が前作のクライマックスをもう一回流すとはね。そして、前作同様のストーリーライン。前半1時間はロッキー周りのどうでもいい話がだらだらと続き、後半でようやくボクシングする話になって、前作と同じトレーニングモードに入り、ラスト30分でようやくゲーム。そして試合展開もほぼ一緒の序盤はチャンプにやられまくって、でも粘って、そのうち形勢逆転で最後、またもワンパンチで沈めて今度は勝利という。

ただ、2回目だからなのか映像的な盛り上がりはこっちの方があったかな。トレーニングは前作同様に走って筋トレしてジムで練習してって感じ(スパーリングとか全然しないよね。試合を盛り上げるため?)。今回のランニングはフィラデルフィア中の子供達が集まってきて、フィニッシュはまたも美術館前というセルフオマージュ。そして試合シーンは前作よりも時間かけてて、迫力で多少上回ってましたね。とはいえ、アポロがあんだけラッシュを浴びせてるのに、なぜロッキーは倒れないのか不思議。絶対前作より練習量少なかったと思うんですけど。

続編が、1作目を超える難しさをそのまま感じさせる2でした。
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by april_cinema | 2015-12-09 00:00 | 6th-man
2015年 12月 05日
感想_ロッキー
b0130850_19483274.jpg時代の差を感じるぜ。『ロッキー』iTunesレンタル鑑賞。フィラデルフィアのはぐれボクサー、ロッキー。ジムからも見放され、わずかなファイトマネーではやってけず、マフィアの集金係をしながら生計を立てる。唯一の気晴らしは、友人の妹で、ペットショップで働く内気なエイドリアンと話す事。そんなある日、ヘビー級チャンピオンのアポロ・クリードは、予定されていた対戦相手が怪我をしたため、代わりの対戦相手にロッキーを指名。ロッキーは突如世界戦を戦う事になり…。

今月公開の『クリード』を観るために、SW祭りに続いてロッキー祭りを敢行。いやーこれがロッキーかー。なんつーか、ものすごく単純なストーリーで、ディテールはほとんどなく、トントン拍子の展開にかなり驚いたわ。これに世界が熱狂して、アカデミー賞の作品賞までとったとはね。

なんつっても、ごろつきボクサーに過ぎなかったロッキーが、生卵5つ飲んで、ランニングして、腕立てしたら、なんか知らないけどチャンピオンに勝ってしまうという展開に全然感情移入できず。しかも試合の中盤はまるきり省かれてしまうという描き方にもお口あんぐり。そんなはしょり方ありかよ。あれだけ打たれまくって立ってられるって正気? そして最後には突如ワンパンチでチャンプを沈めちゃってたけど。。冒頭に試合で三流ボクサー相手にやっとこ勝った人ですよね…。

でも、こういうシンプルなハッピーエンドが求められた時代だったのかなと。ウィキを見ると、この映画が、それまで続いていたアメリカンニューシネマの流れを終わらせる契機になったとか。ベトナム戦争を背景にダークなムードが漂っていた世の中に、このあまりにも単純なサクセスストーリーがはまったんだろうね。時の移り変わりというか、そういうの感じるわ。そしてこういうエンタメ作が増えていった反動でまた、今は実話とかそういう重みのあるものも求められるようになったし、時代の振り子ってこういうことなんだろうなーと勝手に映画史をわかったような気になってみたり。

エイドリアーンのラストは、「ああこれかー!」って思えました。おなじみのテーマソングもやっと本物を見れましたわ。
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by april_cinema | 2015-12-05 00:00 | Starter
2015年 03月 21日
感想_陽だまりハウスでマラソンを
b0130850_11161446.gifかなり惜しい! 『陽だまりハウスでマラソンを』3月21日公開。メルボリン五輪男子マラソンの金メダリスト、パウル・アヴァホフ。すっかり年老いた彼は、ガンを患う妻とともに介護施設に入居するが、高齢者へのリスペクトが感じられない施設の居心地の悪さに耐えかね、マラソンを再開させることを決意。しかもベルリンマラソンに出場するとまで宣言する。周囲は呆れるが、彼の闘志は陰鬱だった施設に影響を与え始め…。
陽だまりハウスでマラソンを公式サイト

マラソンが題材になる作品がちょいちょい出てくるけど、ランナーとして観ずにはいられませんな。お話としては、まあまあよくある感じね。老人が一念発起し、トラブルに見舞われながらも最後まで諦めない、と。この作品はそこに老人介護施設の問題を織り交ぜながら、マラソンをフックにして人生を最後まで諦めないというメッセージをあたたかく届けてくれる。あと、密かにメルボルンオリンピックは敗戦処理に沈むドイツの希望だったという時代背景に、歴史問題もさりげなく織り込んでいる。そしてハイライトは夫婦愛。どれだけ歳を重ねても寄り添い合う相手がいる素晴らしさも描いています。

ホームのキャラが、頑固ジジイあり、皮肉屋マダムあり、うっかりおばあちゃんあり、わけあり応援者あり、とステレオタイプだけど味があっていい感じ。対比される若者スタッフたちは、田舎町で、死と隣り合わせでくすぶっている感じが今っぽいとも言えるのかな。ミュラーさんがアメリのポスターとか貼っちゃって、飛び出したい願望をわかりやすくアピールしてるのは笑ってしまったわ。

さて、ベタな展開ではあるものの、やっぱり愚直に走り続ける姿には心動かされるもので、徐々に再生していくアヴァホフを応援せざるをえない! 日本にも、諦めたらそこで試合終了ですよ、という名言がありますが、まさしくそれと同じ。テレビ出演で人生はマラソンであると答えるアヴァホフ、それも散々言い尽くされていることではあるけどやっぱり泡立つものがあります。これはもう普遍の価値観なのだ。

だがしかし! クライマックスのベルリンマラソンがいかんぜよ。伝説のランナーで、テレビに出て時の人である英雄が、この歳でフルマラソン完走です。これはもう、ものすごいインパクトなはずなのに、その高揚感を出せてないのはランナーとしてはかなり物足りなかったわ。あの姿を見たら絶対に声を枯らして応援するはずだけど、沿道のスタッフもずいぶん冷めた目線。スタジアムに帰ってきたら絶対スタンディングオベーションなはずなのに、普通に座って拍手だけ。これじゃいかんよ。アヴァホフの内側を見せたかったのかもしれないけど、これはもったいなかったな。最後に盛り下がってしまいましたわ。

後から知ったところ、これ2012年の実際のベルリンマラソンで撮影したそうで、その制約があっちゃしょうがないか。沿道のスタッフもスタンドの観客も、俳優が演技で走ってるとなると、特に興奮もしないもんな。てか実際に42km走ってないってことだもんね。あと、一般の人がカメラに映って手を振ったりされても困るとか、そういうこともあったみたい。エキストラも自由に使えないだろうしね。大人の事情はよくわかるけど、それでも残念は残念。ちなみに主演のハラーフォルデンさんは大御所俳優で、この撮影のためにマラソンを始めたんだってさ。そしてドイツの映画祭で史上最高齢の主演男優賞に輝いたとか。まさに映画を地でいく感じですね。ぜひフルマラソン完走の体験を味わってほしい!(味わってなければ)

ちなみに、パウル・アヴァホフって実在するのかしら?と思ったらしませんでした。メルボルン五輪の男子マラソン金メダリストは、フランスのアラン・ミムンさんでした。なーんだって言っちゃいけないけど。ランナーゆえに厳しい目で見てしまった部分もあるけど、全体は爽やかな感動エンターテインメント。元気をくれる1本です。よし、走りにいくかー!
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by april_cinema | 2015-03-21 00:00 | Starter
2015年 01月 30日
感想_ミルカ
b0130850_919526.gifここにもまた知らなかった歴史。『ミルカ』1月31日公開。ローマ五輪のインド代表として400m走に出場したミルカ。金メダルが期待され、決勝はトップでラストの直線を迎えるが、突然ミルカは後ろを振り返ってしまい4位に転落。国中が失望する中で帰国する。後日、ミルカは国の代表としてパキスタンとの親善試合への出場を要請されるがこれを頑なに拒む。彼はなぜあのとき振り返ったのか。パキスタン行きを断る理由は。すべては彼の幼い頃のできごとにあった。
ミルカ

インドの去年のナンバーワン映画。ここんとこ良作がたくさん日本にもきてるのでこれはと期待大。しかも陸上選手の物語だしね。中をあけてみると、インドとパキスタンの紛争の歴史を背景にしたひとりの男の大河ドラマでした。幼少時の苦難を乗り越え、ミルカは大人になり、陸上選手として見出され這い上がっていく。陸上選手になっていくまでが前半戦。軍に入るための訓練で脚力を認められ、陸上部にリクルートされ、そこからぐんぐん力をつけていく前半。元エースの嫌がらせがひどいけど、心が折れないミルカ。体がどんどん屈強になってくのがすごい。役者さんがんばったなー!

そして後半、パキスタンに行かない理由が語られる。幼少にあったのは、インドとパキスタンのイギリスからの独立にまつわる混乱。シク教とであったミルカ一族は、イスラム教国となるパキスタンからインドへの移住を余儀なくされる。しかしその混乱で紛争略奪が勃発したのだった。彼が振り返ってしまったのはこの時のトラウマによるもの。時代のはざまでの過酷な運命が、彼に再び襲いかかったのだった。国を代表する人間として、オリンピックという世界が注目する舞台で。彼は二度、殺されたとも言えるのかもしれない。

僕はそのあたりの背景が全然わかってなかったので、この悲劇についてもいまいちよくわからなかったけど、あとでHPを見てその重さがわかったわ。このあたりの印パ独立の経緯は予習しておいたほうがより深く物語に入っていけると思う。今もその小競り合いが続いているのかと思うと、どうしてこの映画がインドで大ヒットしたのかわかる気がする。やっぱりどちらの国の人もこんな争いは望んでいないはずだから。

そのあたりがわかってなかったので、映画ですごく感動したとかはなかったのだけど、知らない歴史をまたひとつ教えてもらえました。第二のミルカが出ないことを、ただ願うばかりです。
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by april_cinema | 2015-01-30 00:00 | Starter
2015年 01月 24日
感想_KANO ~1931海の向こうの甲子園~
b0130850_9201451.gif熱くならざるを得ない! 『KANO ~1931海の向こうの甲子園~』1月24日公開。1931年、甲子園に台湾代表として出場した嘉義農業高校、通称嘉農(かのう)。日本人、台湾人(漢民族)、台湾原住民が一体となった彼らは一大旋風を巻き起こし、決勝戦まで進む。そこには、四国から海を越えたひとりの監督の存在があった。台湾で2014年ナンバーワンヒットを記録した実話ベース作品!
KANO ~1931海の向こうの甲子園~

くー、ベタ中のベタなのにまんまと興奮し、うっすら涙まで浮かんでしまったよ! 野球の基本も知らないど素人集団が、一歩ずつ成長し、すったもんだはあるけれど最後にはひとつになって。ってもう、ほんとヒネリのないスポ根だと思うんだけど、とにかく若者たちの無垢でひたむきな汗と涙にすっかりほだされてしまったわ。スポーツってほんと素晴らしいよね。

いやでも、ベタなだけではないね。まず、甲子園に台湾代表が出てたってことだけでもまず驚き。日本統治時代は普通にひとつの県の扱いだったとは。沖縄みたいなもんか。そう思えば快進撃もおかしなことじゃないね。そして、台湾人と原住民と日本人の混成チームってのがまたいい。それぞれにルーツは違うけどひとつのチームになり同じ目的に向かっていく様子は実に気持ち良い。こういうボーダーを超える話は好きだ。菊池寛が出てきて、最初すごいやなやつなのに、あっさり手のひらを返してファンになってるのも頷けるよ。うんうん。エースの彼を演じたツァオ君は超イケメンだしね。台湾のダルビッシュ!

惜しいのは、永瀬さんが演じた近藤監督へのアプローチが弱かったことか。寡黙であんまり語らず、厳しさと優しさを併せ持っていたのはわかるけど、あまりにもあっさり描写でもったいなかったような。選手との関係性や監督自身の人生とかもう少し掘り下げたら感動も倍になった気がするけどね。監督の存在感が思いの外うすかったわ。

去年は台湾に足を運んでその魅力を存分に浴びた後だから余計にこの台湾の熱気と温かさとに反応しちゃったよね。映画にある通り、台湾原住民はすごく身体能力高いみたいで、実際にスポーツ選手も多く排出しているそう(役者とか、ミュージシャンとかも)。僕も台東でアミ族の方にあったけど、確かに体も大きくて力強そうだった。ポリネシア系の南方のルーツがあるんじゃないかと思われる。ちなみに、日ハムの陽岱鋼がまさにアミ族出身! KANOの後継者!!

いやー台湾映画アツイね。爽やかに涙して、台湾にまた行きたくなる1本です! 感動をありがとう。
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by april_cinema | 2015-01-24 00:00 | All-Star