2009年 03月 07日
演技派たちの口喧嘩じゃん。『ダウト あるカトリック学校で』3月7日公開。先進的な考えを持ち、人々に広く親しまれるフリン神父。そのカトリック学校の新任シスター・ジェイムスは、学内唯一の黒人生徒と、フリン神父がなにか不適切な関係を持っているのではという疑念を持つ。その疑いを厳格なシスター・アロイシスに話すと、彼女はその疑念からフリン神父を追いつめ、疑惑を深めてゆく。その先に見えてくる真実とは。 ダウト〜あるカトリック学校で〜|doubt ヒット舞台を原作として、舞台の演出を手がける人が監督してるそうで、なるほどキャストたちがぶつかりあう様はいかにもソレっぽい作り。というか舞台から離れきれてないつったほうがよさそ。フィリップ・シーモア・ホフマンvsメリル・ストリープっつーマッチアップは火花散りまくりの大熱戦。その迫力はさすがの貫禄ですわ。なんですが、観ててうるさ過ぎるって。あんまりにも思い込み激し過ぎるもんだから、ただの口喧嘩レベルだよ、これ。 というのも、テーマは疑念。疑念がシスターの信頼を揺るがし、確たる証拠のないままに糾弾へと駆り立てる。観客には真実は最後まで明かされず、すべてはさてあなたは何を信じる?と委ねられるタイプ。最近だと『それボク』『ゆれる』とタイプとしては同じですかね。あれなんだけど、そこに至るまでがあまりに性急すぎるのがひっかかったわ。時代や、教会という閉鎖空間がそうさせてるのかもしれないけれど、観客にまでその疑念を確信めかせるほどにチカラはなかったように思う。だから、アロイシスはものすごくヒステリックに見えたし、ジェイムスも新人シスターとはいえ頼りなさ過ぎるよー。フリン神父のカリスマ性もそこまで感じられなくなっちゃったし(でもまあ、アロイシスがあれだから、フリンの肩を持ちたくなる)。助演女優賞ノミネートのヴィオラ・デイビスは、確かにすんごいアクセントだったけどね。しかしそういう話の振り方もどうなんざんしょ。えええ、こんなとこでそんな設定あり〜!?って感じでした。 そんな調子で話自体は淡々と進んで、合間合間に大口論。差し込まれるフリン神父の説法こそメタファーなんだろうなぁとは思うけど、いまひとつ効果的には思えませんでした。キャストたちの濃ゆい芝居は楽しめるけれど、映画としてはもう少し楽しみきれなかったってのが素直なところね。
by april_cinema
| 2009-03-07 00:00
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