2009年 03月 07日
芸の世界は厳しいどすな。『花の生涯—梅蘭芳』3月7日公開。激動の時代の中国。京劇の天才女形であった梅蘭芳。京劇の世界を革新的に進化させ、アメリカや日本など海外公演も成功させた彼の人生ははたしてどんなものだったのか。舞台で愛を演じた彼の実生活をとりまいた数々の愛と運命が、今、紐解かれる。 映画「花の生涯—梅蘭芳」 京劇になじみがなければ、もちろん梅蘭芳にも聞き覚えがないわけで、ははぁこういう人がいたんだぁ、ってのが率直な感想。しかしやはり人ひとりの一生を描くってのは難しいもんだよね。今作でもオープニングの少年期から始まって、青年期、中年期、そして晩年といくつかの時代に切りながら話が進むんだけど、どうしてもブツ切り&底浅な印象は拭えませんでしたわ。矢継ぎ早のエピソードは飽きさせない反面、深みって面ではやっぱ弱くなっちゃうよね。そう思うと、やっぱり『ベンジャミン』はスゲかった。なんて思ったり。 舞台の裏側がメインにつき、華やかな京劇の世界よりも、梅の私生活のシーンが多くて、見た目にもけっこう地味め。お顔も地味。チャン・ツィーと結ばれるあたりのくだりはそれなりに見栄えもいいけど、それもわずかな間。なんと安藤政信くんまで出て来て、いろいろな捉え方はできるんだろーけど、それが心に残るような類いかと言われるとそうでもないのよね。 確かに芸事の世界、伝統や家柄っていうのもあれば、ファンや批評の目にさらされる日々であり、さらにこの時代は戦争なんていうお国の事情も絡んで来て、ただごとじゃない人生だったというのはわかったよ。がしかし、梅個人の感情というのがあんましフォーカスされてなくって、周囲ばっかり騒がしすぎた気がする。だから、梅が実際どう感じ、どう悩み、どう決断を出していたのか。肝心要のそこが伝わりませんでした。となると一般人のオレらには指をくわえてみるしかないのかな、と。 異国文化&長尺だけに、ちょっとハードル高め。退屈だったわけではないけど、やりようではもっと面白くなった気がしますなー。
by april_cinema
| 2009-03-07 00:00
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