2009年 02月 21日
感想_7つの贈り物
b0130850_1124662.jpgなんて決断をするんだ…! 『7つの贈り物』2月21日公開。国税庁に務めるベン・トーマスはある計画のために候補者をピックアップ。その身辺を探り、あるものを与えるに相応しいかどうかを見極めていた。盲目のコンサートピアノプレイヤー。経済的に苦しみ、なおかつ心臓病を抱える男。いったい彼の目的はなんなのか。それは過去のある事件がきっかけだった。
7つの贈り物 - オフィシャルサイト

全編を覆うダウナーなムード。意味深なオープニングから始まる物語。ベン・トーマスの目的が伏せられたままドラマは進んで行く。わりと序盤に大きなヒントが与えられて、およその輪郭は浮かび上がりつつ、では果たしてどんな結末に辿り着くのか。興味を損なうことなくストーリーは進み、そしてショックで心停止してしまうかと思った戦慄のクライマックス。わかっていても涙を禁じ得ないのは、ウィル・スミスのタフな演技に魅せられたからに違いないよねー。

近年のアクションヒーローのイメージとは真逆とも言えるウィルの演技。絶望と後悔と葛藤を抱えながら目的のために突き進むその瞳に光はなくて、あるのはただただ苦悩ばかり。自分がやろうとしていることは何のためなのか。果たして許されることなのか。意味があることなのか。ベン・トーマスの自問はそのまま観客に投げかけられる。白黒キッパリできる問いでないだけにかなり重たいけれど、ハイライトでの究極の選択と、意志を貫く強靭さにただただ圧倒されたわ。そして。

人生とはなんてミステリーなんだろう。このいくつもの奇縁と、誰かから知らぬ間に与えられる贈り物たちによって、私たちの命は形作られ、人生はいかようにも彩られていくということ。ベンの行動は決して万人から肯定されるようなもんじゃないし、倫理観や道徳観からしてもかなりの問題を孕んでいる。でも、ラストで、エズラとエミリーが向かい合う姿には、いろんな意味でベンのハートが溢れててやっぱり涙。深く、その深さに見合った余韻だわ。

難点を言えば、ヒントを出すのが早過ぎるから先の予想がついちゃうし、そうなると中盤がもたついて見える。音楽も個人的にはぴたりと来てるとは思わないから、きっともっと上手なプロットの組み方はあったんじゃないかって気もするんだけど、でもこういう物語をオリジナルで作り世に出したってのはすばらしいこと。ウィル主演でもアメリカでナンバーワンにならなかったんだって。彼もそれは織り込み済みで、それでもこの企画は埋もれさるべきではない、きちんと発信すべきだと考え、自ら参加を買って出たんだそう。自分の名前があれば、ヒットこそしなくてもある程度の規模で世に出るということを見越して。

そんなエピソードも含めて、決して娯楽やお涙に傾倒しないストイックな作品。『幸せのちから』とはまた違った種類の感動をくれて、本作の方が好きだな。
[PR]

by april_cinema | 2009-02-21 00:00 | All-Star


<< 感想_罪とか罰とか      感想_チェンジリング >>