2008年 09月 13日
期待したほどじゃないけど。『おくりびと』9月13日公開。所属楽団の解散により実家に帰った大悟。チェリストを諦め見つけた求人には「旅のお手伝い」との文言が。会った瞬間に採用されたその職は納棺師。亡くなった人を棺にお納めする仕事だった。戸惑いながらも様々な旅立ちに触れる大悟。しかし妻はその仕事に嫌悪感を示すのだった。 9/13ロードショー『おくりびと』 大悟が出会うのは、数々の死。死は人生最後のドラマ。その人の生きた日々が、遺された人の手によっていろいろな形でフィナーレを迎える。画面に映されるのは悼ましさや儚さよりも、そこに確かにあった生。大悟の家庭環境とあわせて重層的に、生きていることや家族のつながりというものを伝えてくれる。 はたしていざその瞬間を迎えるとき、誰にどんなふうに見送ってもらえるのか。そばに、家族は、友人は、いてくれるだろうか。別れを惜しんでくれるだろうか。そこにあるのは凝縮されたその人の生きた時間であり、その人がなにと繋がってきたかを示す場所。自分はどんな旅立ちを迎えることになるのか想像するのはちょっと恐いけど、旅立つ前の人生を大切にしたくなりますわ。最初、音楽が大仰すぎるかと思ったけど、チェロと重ねた後半の広がり方はよかったな。 山﨑努さんと、笹野高史さんがすっごく良くて、すっごく良くて。その存在感は脇においておくのがもったいないほど。特に笹野さんはクライマックスの重要シーンを担っていて、完全にこの作品を持ってっちゃってたよ。この2人に比べるともっくんと広末がちょっと物足りなく見えちゃったりもしたけれど、それはキャリアの差すかね。 わざとらしい説明はなるべくなくし、あくまで大悟と同じ目線で受け手に感じさせる作りは好感持てる。その分、強い感動とかはなくてじわりじわりと自分回顧。笑えて泣ける、という触れ込みほど笑えも泣けもしないけど、命の連携を正直に描いたいい作品でした。
by april_cinema
| 2008-09-13 00:00
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