2009年 04月 04日
緻密さに欠けるよー。『ザ・バンク 堕ちた巨像』4月4日公開。欧州最大の国際銀行IBBCのある疑惑を負うインターポール、サリンジャー。NY検事局のエラとともに謎を追いかけるが、行く先々でカギを握る人物が消され、彼らの捜査も妨害される。国際的メガバンクの裏の顔の前には、正義はもはや意味をなさないのか。ミュンヘン、リヨン、ミラノ、NY、イスタンブールと世界各国を回るスケールで描かれたワールドワイドサスペンス。 ザ・バンク 堕ちた巨像 - オフィシャルサイト クライブ・オーウェン×ナオミ・ワッツという組み合わせに期待をそそられたものの、うーん、もうひとつ。広げた風呂敷が大きいゆえか、細かいところがどうも納得いかなくて、おかげで最後まで惹き込まれることはなし。黒幕はわかっているタイプのサスペンスだから、局面の迫力とか、人間模様のかねあい、そして悪をどう追いつめていくかがポイントになるんだけど、なんかあれよあれよで都合良く転がっちゃって、緩急はないしハッとさせられたり、考えさせられたりっていう、間がないのよ。ふーん、って感じで流れてくの。 それほどの巨悪が雇う孤高で最強のヒットマンが、あんなに足がつきやすいのはまずくないか? 実際なんともお粗末な形で見つかっちゃうし(義足であんなに機敏に動けるもの?)。というか、健常者で同等の腕をもった人はいそうなもんだけど。おまけにいざ足がついたときの証拠隠滅はやけに杜撰。とか考えると、いちいちの仕掛けに説得力なし。完全犯罪っぽさは最初のつかみだけで、あとは次々とやることなすこと大雑把。なに、政治力があればもみ消せるからそれでいいとでも? だったら隠滅する必要すらないもんね。 そっから先の展開も実にゆるゆる。事件を動かすキーマンはあっさりとサリンジャーにつき、エラはまた簡単に手を引き、結局サリンジャーはなにもできず。そんなんで肩がつくなら最初からどうにでもなったんじゃないの?とすら思えてしまいます。ラストのオチもなんだそりゃ?って肩すかしで、最後までカタルシスはなし。 映画の中のキーワードが、大ボスの裏話を隣で聞いていた子供のひと言「内側に深く出口を探す」ってやつなんだから、そのお粗末さが見て取れるよう。マヌケすぎますよ、スカルセンさん! 切り込んだモチーフはおもしろいのに、社会情勢を背景にしてはいるもののディテールがゆるいためリアリティなし。アクションもセットは派手だけど、迫力は大してなし。退屈こそしないものの、手に汗握ったりゾクゾクするー!ってなのは一切しませんでした。サブタイトルも酷いしね。
by april_cinema
| 2009-04-04 00:00
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