2008年 11月 15日
それは、とても難解な問題。『BOY A』11月15日公開。ソーシャルワーカーと向き合い、新たな人生をスタートさせようとしている少年。新しい名前はジャックに決めた。新しい生活、職場、友人、そして恋。彼は、重罪を犯した過去からの脱出を試みていた。ある日、仕事中に事故に会った少女を救ったジャック。生まれ変われたのかもしれない、そう思った矢先、彼の過去が明るみに出てしまう。 BOY A 重過ぎる問題だよね。つまり、人は変わることができるのか。罪は消せるのか。そして人は人をどうすれば赦すことができるのか。犯罪者は、死ぬまでその十字架を背負っていくのはもちろんだとしても、では、その過去を周囲は果たしてどう受け止めるべきなのか。個人としてどうなのか、そして社会としてはどうなのか。なんとも難しすぎるわ。 映画でも明確な回答は示さない。ともすればジャックに同情的な気分になってしまうけれど、果たして自分の職場にジャックがいたら。目の前に現れたその人がフィリップだったら。戸惑いは隠せないんだろうな、と思う。いや、逆に目の前にいればきちんと向き合える可能性があるか。むしろ、どこかにいる重犯罪者というレッテルだけで切り捨てる方が危険なのかも。人間は人間の何を見てジャッジするのだろう。1度の過ちが、最後の1度だったのか、それとも2度目があるのか。それは神のみぞ知るの世界。信じることしかないというのはわかっていても、恐怖感や先入観を持つなというのもまた無理な話。 そして、物事をさらに複雑にしているのは、少年たちの背景。2人とも不幸な生い立ちを背負っていた。もちろん、だから罪を犯していいはずもないし、何をもって償い、更正したとするのか、これもまた繊細で、答えのない問題。さらに、今作では別のまるで無関係とも思える人物の作為まで絡んできてしまう。 映像は、登場人物のアップを中心に、淡い色調で包まれる。それは白い救いなのか、グレーの闇なのか。ただただ考えさせられる、質量のある映画でした。
by april_cinema
| 2008-11-15 00:00
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