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2009年 05月 22日
感想_消されたヘッドライン
感想_消されたヘッドライン_b0130850_012531.jpg前半は秀逸なのに。『消されたヘッドライン』5月22日公開。「ワシントングローブ」のベテラン新聞記者カルは、友人である国会議員コリンズの秘書の死亡事故にはじまった、彼らのスキャンダルを調査。すると、秘書が死んだ前日のある銃殺事件との関連性が浮かび上がる。軍事産業と戦っていたコリンズを狙う影をあぶり出しながら、カルはウェブ担当のデラとともに取材を続ける。友人やその妻を守りながらも、自身のジャーナリズムとも戦い、そして直面した真実は…。
『消されたヘッドライン』2009年5月22日(金)TOHOシネマズ スカラ座他全国ロードショー

オープニングからのつかみは超〜秀逸。いきなりガツンで注目をかっさらったら、そのままペースを落とさずにキャラ説明兼ねつつストーリー展開。このバランス感覚、無駄のないオープニングに傑作の予感が漂います。これはどうなるんだ!? すんごい深い展開と、撃ち抜かれるようなオチが待ってるに違いない!って。だってラッセル・クロウの汚い長髪が、役にぴったりなんだもの。レイチェル・マクアダムズの顔、好きなんだもん。いやー見せ方巧いよ。ケヴィン・マクドナルド監督、やっぱやりますよ。

っていうと、尻すぼみなのかって感じだけど、中盤以降も決してトーンダウンしていくわけではないし、オチも一筋縄ではいかなくて最後の最後まで興味を引っ張る。コリンズとその妻、そしてカルの人間模様。コリンズの過去とアメリカ社会。カルのブンヤ魂を邪魔する経営とジャーナリズムの乖離。さらには紙とウェブの対比なんて側面も。ただ、ちょっとまどろっこしかったなー。関係がかなり入り組んで複雑になってきて、結局誰と誰がつながって、えーとこいつはどういう意図でこの動き? とややconfused(理解力不足か…)。だから、邦題にあるような新聞社内の軋轢というかメディアの立ち居地についての構図は、ちょっと蛇足気味に感じました。てか邦題から、中身が伝わりづらいんですが。さらに戦争の傷跡や罪悪にまで話が及んでますから。

連ドラが原作にあるからなのかな? そんなかなり幅広いエッセンスをまとめたら、それだけで若干キャパオーバーな感じで、本来この作品が伝えるべき本質的要素、たとえば軍事と権力の癒着構造や、メディアと経営の自己矛盾、そしてそこにあるいくつもの人間模様というところが落としきれなかったようには思います。サスペンスとしての緊張感はあるんだけど、そのあたりがオチきらなかったから、カタルシスは弱まっちゃったね。

面白い作品だけに、あともうひといきを期待してしまう感じ。でもこれは見る人によってかなり感想に幅が出そうなので、ぜひともご自身の目でチェキってヘッドライン立てちゃってくれー!

by april_cinema | 2009-05-22 00:00 | Starter


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