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2009年 07月 03日
感想_運命じゃない人
感想_運命じゃない人_b0130850_2248197.jpg評判どおり巧みな本! 『運命じゃない人』DVD鑑賞。お人好しな宮田は、半年前に出て行った彼女のあゆみを忘れられずにいた。友人の神田はそんな宮田に運命の出会いなんてないと宣言。レストランにいた女性を強引に食事に誘う。その女は婚約破棄をして家を飛び出して来ていた。神田はその場を去り、宮田は宿のない女をとりあえず自宅に泊める。そこに、あゆみが現れて…。
映画「運命じゃない人」公式サイト

『アフタースクール』を観る前からずっと観たかった内田けんじ監督のデビュー作。秀逸という評判を聞いていたけれど、なるほど少ないシチュエーションの中の時間軸を巧みに操ったシナリオは、すんごいよく練られてておみごと! デビュー作にしてこれだけのものが描けるってのは才能だよね。伊坂幸太郎的ロジカルな確信犯といえば伝わりやすいかな。伏線をそれと気付かせずに張り巡らせ、あっ!と思わせつつ、そこもか!ここもか!と2重3重4重5重に唸らせる回収っぷり。こういうのに慣れてなかったら、もうイチコロ大ファンになっちゃうんじゃないかしら。

でも、映画としては『アフタースクール』のが断然好きね。あっちも同じように(てかさらにさりげない?)伏線張りまくりのどんでん返し系だけど、"大人の放課後"っていうテーマがしっかり立ってたからね。それに比べると、今作は道理こそ隙なく完璧に通っているけれど、観た後に残る余韻というのはやや弱い(ハイレベルな比較だと思うけど)。してやられたなーで終わってしまって、それ以上のカタルシスがなかったんだよね。タイトルはうまいこと言っているけれど、この含みのある言葉なら、あと一歩ずどーんと掘り下げることができたんじゃないかと思う。ってデビュー作にそれは望み過ぎなわけで、実際次の作品でそこを見事にアジャストしてきているんだから、素晴らしいホップと言った方がいいんでしょう。

キャストたちは、ビッグネームじゃないけれどすんごくピッタリでよかったなー。どこか芝居じみた演出も、すごく効果的。つまるところ内田監督は、こういう腐れ縁と男同士の友情って好きなんだろーなー。次回作がものすごく楽しみになったわ。時間をかけて、たとえ寡作でもこの2作に続くハイクオリティなものをぜひぜひお願いいたします! 『アフタースクール』見直したくなったデス!!

by april_cinema | 2009-07-03 00:00 | Starter


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