2009年 08月 08日
勝手すぎるぜ、マザー! 『クリーン』8月8日公開。ミュージシャンの夫をドラッグで亡くしたエミリー。自身も薬物中毒だったが、そこから抜け出し仕事を見つけ再生しようとあがく。それは、夫の両親に長らく預けていた息子ジェイを引き取るため。息子を育てられるだけの生活の基盤を作るべくエミリーはもがく。 オリヴィエ・アサイヤス監督作品 映画『クリーン』公式サイト 製作は2004年。カンヌでマギー・チャンが主演女優賞を撮った話題作がようやく日本公開。いろいろ障害があったのでしょう。てのはおいといて。母子の物語に、母親の再生をひっかけたわけですが、おそろしくテンポが速い。ので、最後まで退屈する暇なんてない反面、いまいち感情移入するタイミングもなし。エミリーのおぼろげな設定はわかるけれど、彼女がこれまでどんな人生を送ってきたのか。ってのが伝わるかっつーとそうでもないのよ。ベースがわからないので再生への想いとか障壁ってのが見えてこないんだわね。 そもそも、なぜ、どんな思いでジェイを預けていたのか。せめてそこんとこの経緯というか、臭わす描写がないとただの自己中マザーの成れの果て。そりゃグランマが嫌悪感示すのももっともだろう、ってとこですよ。なので、再生にも再会にも心が動かされなかったのです。結局のところエミリーはちっとも更正しないわけで、本当にジェイのことを大切だと思っているのかどうかすら、わっちには見えてこなかったな。シスコに渡っても、結局同じことを繰り返すんじゃないだろうか。シンガーとしての仕事も上手くいくとはとても思えなかったけれど。 ただ、義父アルブレヒトは本当にできた人でしたわ。あの包容力と、冷静さ、だてに歳を取ってないよ! この映画唯一最大の良心。孫を愛し、妻を愛しながらも、義理の娘を尊重し見守る姿にはすばらしい徳を感じたよ。あんな大人になりたい! きっと、亡き息子を愛していたからこそ、その妻を信じることにしようと思ったんだね。そして、母親であるエミリーにも、自分が抱いてきた親心というものを教えたかったのかもね。 なにやら余計なエピソードが多過ぎて肝心要が弱くなっちゃったのが残念。はたしてエミリーはクリーンな体と心を取り戻せたのか。でもあえてそこまで描かなかったってことか。人はそうそう簡単に更正なんてできないけれど、それでも母の心はなくさないってこと? うーん、だとしても子の心親知らず過ぎ!
by april_cinema
| 2009-08-08 00:00
| 6th-man
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