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2009年 08月 15日
感想_キャデラック・レコード 音楽でアメリカを変えた人々の物語
感想_キャデラック・レコード 音楽でアメリカを変えた人々の物語_b0130850_2343085.jpg傑作鳴り損ね。惜しい! 『キャデラック・レコード 音楽でアメリカを変えた人々の物語』8月15日公開。南部からギター1本でシカゴへとやってきた天才ギタリストのマディは白人のクラブオーナー、レンと出会う。レンはチェス・レコードを立ち上げマディをデビューさせ、黒人音楽であったブルースを全米で大ヒットさせる。リトル・ウォルター、チャック・ベリー、ハウリン・ウルフなど次々とスターを生み出し、彼らには成功の証としてキャデラックが与えられた。それはブルースが人種の壁を越えて受け入れられた証明でもあった。そしてミューズ、エタと出会うが、チェス・レコードには微妙な不協和音が…。
キャデラック・レコード 音楽でアメリカを変えた人々の物語

前半1時間はかなり面白かった〜。マディとレンのサクセスは観ていてのめり込めるほど気持ちよかったし、ジェフリー・ライトのブルースが格好いいのなんのって! しかも売れるほどにキャデラックをぼんぼん乗り換えまくっていって、まさしくアメリカンドリームだわ〜なんて惚れ惚れ。ウォルターの危なっかしさなんかもドラマティックだったし、観客が快感とともにのめりこむ要素満点なのです。もっちろん音楽に体も心も弾んじゃったこたー言うまでもないっすな。

でも中盤チェス・レコードの落ち目がきてからの展開がもうひとつ。全体的に説明っぽさが強くなってきて、ドラマが弱くなっちゃったんだよね。ビヨンセなんてこんなにビジュアル全面に出してるわりに出番はほんのちょっとじゃんかよ。なんだー日本向けの顔見せか、騙されたー。てわけで、これ、かなーり男目線のお話だったので、淑女のみなさんはご了承あれ。まあそれはいいにしても。

副題にあるとおり、黒人音楽だったブルースが、白人世界にも受け入れられてく姿を描くもんだと思ったけど、そこが致命的に弱い。なんとなくヒットチャートを駆け上がって、人種の壁を越えた様子も描かれてはいるけれど、観客を巻き込むほどのダイナミズムがないの。説明こそあっても、ドラマとしてそこが描き切れてないんだよね。だから、教科書的にチェスレコードの面々が音楽史を変えました、って教えられただけな気がして、島国のアラサー男子=わっちには実感として残らないのです。彼ら、殿堂入りするほどの人物だったのに、なんか地方のプチ成功者に見えちゃったもんね。しかも没落するわけだから、むしろ若気の至りにすら見えちゃう。

とまあ、もったいないなーってところはあったけど、シビれるブルースを味わえると思えばおつりはくるか。チラシに釣られてビヨンセの大活躍や、『ドリームガールズ』は期待しないほうがいいかも。

by april_cinema | 2009-08-15 00:00 | Starter


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