2009年 08月 29日
もっと女性的な人に撮ってほしかった。『女の子ものがたり』8月29日公開。スランプ気味の漫画家、菜都美。やってきた新人担当編集者が、ぐうたらな菜都美につぶやく。「先生って、友達いないでしょ」「……いるよ、私にも」。今は別々の人生を送っているけど、一緒に笑い、泣き、ケンカして、幸せってなんなのかを考えたあたしたち。夢があってもなくても、女の子の生きる道は「好き」の先に続いているから。 2009年公開映画「女の子ものがたり」公式サイト 『いけぼく』にすっかり泣かされただけに、よりガーリーで青春な予感がする今作には期待度マックスの原作未読。でも、ノレんかったなー。いまいちだったなー。西原さんらしい、叙情的で真理をついたいい言葉が散見されるんだけど、それがオレのお胸を貫くような感覚はなっしんぐ。で、思ってしまったのは、やっぱりこれは女性が脚本を起こして、女性が監督すべきだったんじゃないかなーってこと。別に必ずしも女子じゃなきゃいけないとは思わないんだけど、思春期×女子ってものすごく繊細なところだから、それを丁寧に掬い上げる作業が絶対的に必要。残念だけど今作にはそれが欠けてたように思う。極端だけど例えばソフィア・コッポラだったら…みたいなね。 深っちゃんはそんなに出番は多くなくて、メインになるのは大後寿々花ちゃん。さすがに上手〜なんだけど、いまいちその演技がシークエンスと同化してない。から届かない。響かない。それって演出の問題じゃないのかなー。セリフとしては成立しているんだけど、なんか宙ぶらりんの言葉だけ、って感じがして、本当に心の底から出て来た言葉として伝わらないんだわ。ざっくり言って、リアルじゃない。原作とどのくらい変えているのかわからないけど、生きた女の子たちをちゃんと描けていなかったと思う。それは、オレが男だから気づけていないとかそういうことじゃあないと思うんね。 なんだろ、菜都美という一人の女性の歩いて来た時間を描いているわけで、小学生〜中高生〜現在、というのが1本の道としてつながんなきゃいけない。のに、それがバラバラに見えた。黄色中心の衣装や、草を抜き取る仕草とか、妙にわかりやすい共通項を持たせてはいたけど、菜都美の心の軸ってのは最後まで見えなかったよ。小学生のアレが、中高生のコレになって、ソレが今のここにつながっている、そんな糸が見たかったんだけどね。そしてそれを紡ぎ切ったときに初めて、「しあわせ」を問う道ってのができあがったんじゃないかなぁ。 そして、松山のせっかくのロケーションもあんま活かせてる感じしなかったな。きっともっといい切り取り方がたくさんあったんじゃないかなーなんて思っちゃう。西原先生描きおろしの素敵な壁画ももっともっともっと有効に使えただろうに〜、と歯痒さが前に出ましたわ。 でも聞くところでは、上京組や、女性にはけっこう響いているという話もあるんで、その辺はみなさんの目でジャッジしてちょーよ。原作読んでみよっかなー。
by april_cinema
| 2009-08-29 00:00
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