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2009年 10月 02日
感想_アダプテーション
感想_アダプテーション_b0130850_072848.jpgな、な、なんて回りくどいんだ…! 『アダプテーション』DVD鑑賞。『マルコヴィッチの穴』で成功した天才脚本家チャーリー・カウフマンは苦悩していた。スーザン・オーリアンの、蘭を採集する男を追いかけたベストセラーの映画化にあたっての脚色がうまくいかないから。そもそも自分はデブでハゲで無能な男。一方で双子のドナルドの脚本は高く評価される。チャーリーは不埒な妄想まで見るようになり、ついに脚本の中に自分を登場させることを思いつく。
アダプテーション

ちょっとちょっとなんですかこれは! なんだかボソボソとあっち行ったりこっち行ったり、話の筋があるのかないのかよくわかないまま90分くらいが過ぎて、えーなんか期待はずれーとか思ったら最後にきてようやく話が見えましたわ。そしたら急に全体に散りばめられてた意味とかが気になって思わず最初から見直しちゃったよ。「adaptation」=適応、脚色。この2つの意味をまんま使って、まずは原作本を映画用に脚色するというベースの話を下敷きにして、蘭=植物の進化すなわち適応というのを原作者の生き方を通してひっこぬき、そしてチャーリーの自我を通して人の変化と進化を落とし込むという。まあとにかくメタファーと自意識とジョークと伏線とがごちゃごちゃになってるから、かなりIQを要求されるぜ。

1本の映画の中でやたらいろんなアプローチがあるけど言いたいのは多分「自分のやりたいことをやる」ってことで、それこそが適応であり進化にほかならないってことでしょう。スーザンが追いかけた熱意、ラロシュの実行力、ドナルドの純粋性、そしてチャーリーの自意識。いろいろと巡り巡って結局なるようにしかならないわけですが、だったら周囲の声や環境ってのは言い訳にすぎず、自ら変化を望みそして受け入れて行くことで人は進化する、ってか。

しかしいろいろとつまり過ぎてて整理できん! カテゴライズ不能。脚色作業とその結果としてのこの映画はイコールでもわるけだし、3年前の原作者の取材模様と平行しているし、双子のドナルドって実在しなくて実はチャーリーの自意識または別人格なんじゃないの?って感じだし、劇中で出てくるマッキーのいう「ラストが重要」とか「変化させろ」とかそのまま反映されてるし、なんだか本当に迷宮入りした気分。この入り組みまくった構造をテキスト化し、演じ、監督したスタッフ・キャストに脱帽です。ニコラス・ケイジのこんな姿初めて見たよ!(絶品) 終わってみればチャーリー・カウフマンは奇才としか言いようがないっす。

前作とか、チャーリー・カウフマンが誰かとか、予備知識をたっぷり入れておかないとまるで楽しめなそうなニッチな作品。最初は面食らいましたが、最終的には、ははぁと唸らされましたってところ。正直アダプトしきれません。マイッタねこりゃ!

感想_マルコヴィッチの穴

by april_cinema | 2009-10-02 00:00 | Starter


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