2009年 11月 14日
千年の距離とはいかほどか。『千年の祈り』11月14日公開。妻を亡くしてからも北京で暮らしていたシーは、アメリカに渡った娘イーランを訪ねる。イーランは同胞の男と離婚をしたばかり。シーは娘の幸せを願い、会話を持とうとするがイーランはそれを無下に拒否する。満たされない生活を送るイーラン。いつしか離れてしまった父娘の心。そこにはある秘密があった。 映画「千年の祈り」—オフィシャルサイト 意外な形の家族の物語。静かで淡々とした映画だけれど、シーを演じるヘンリー・オーがかなりいい味出すもんだからしっかり見とれてしまったぜ。娘に冷たくあしらわれながらも、ただただ願うのは娘の幸せのみという親心。縮まらない心の距離を埋めるためにあれこれ手を尽くしつつ、ままならない片言の英語でさまざまな人たちと交流を図っていく姿に自然と応援したくなるのね。 でもこの交流、ただのほんわかではなくなかなかに深い。イラン系のご夫人は孫の誕生を喜ぶが、ここも実は息子とのコミュニケーションがうまくいっていないことが終盤で明かされる。骨董屋の店員と、庭先のプールでギャルと、モルモン教徒と、交わす会話にはシーの生きていた時間と、しかし遠く離れた娘との距離が複雑かつデリケートに描かれ、直接的ではないけれど世代間のギャップが浮き彫りになる。 "枕を共にするには千年もの祈りが必要"、というタイトルにも関連する台詞がある。家族との絆は千年も前からの縁であり、他人が家族になるには相応の想いが必要、というニュアンスらしい。家族とは、たとえ一時の物理的距離やすれ違いなどで途切れたりしない絆。逆に言えばそれだけのつながりを結ぶこともまた難しいもの。 父娘のささいなすれ違いはようやく修復されるように見える。イーランの幸せは決して近くはないかもしれない。けれど、いつか素敵な日がやってくるのではないか。そんなことを祈りたくなる温かみあるラストでした。地味で推し方が難しくてしょうがないけれど、埋もれさせたくない良い作品です。
by april_cinema
| 2009-11-14 00:00
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