2010年 03月 13日
ネタはおもろだけど。『フィリップ、きみを愛してる!』3月13日公開。孤児で元警察官・スティーヴンは、「自分に嘘はつかない!」と一念発起。ゲイであることを妻子にカミングアウトし、フロリダでゲイライフを謳歌するものの金が足りなくなり、保険金詐欺、カード詐欺を繰り返して御用。しかし刑務所で、美男子フィリップ・モリスと運命の出会い→即一目惚れ。刑務所の中でもいかんなくその高IQを発揮し、脱獄はおろか、弁護士になりすましてフィリップの刑期すら縮め、かくして始まったスティーヴンとフィリップの蜜月ライフ! だけど…!? 映画「フィリップ、きみを愛してる!」オフィシャルサイト 実在の驚異の詐欺師の物語がベースで、ただただ愛するフィリップとの理想の暮らしのために、詐欺をし続けたという嘘のような本当の話、をラブストーリー仕立てで。この人のしたことや、この人自身の物語は確かに面白い。ウソでしょー! マジかよー! ってネタだらけ。なのだけど、それをエンターテインメントとしてどう楽しんでいいのやら。製作の焦点も絞り切れてないような気がするなぁ。特殊なラブストーリーとして受け止めることはもちろんできるけれど、だとしたらスティーヴンの感情の動きの描写があまりにも弱くて、成立していない。派手な事件の裏にどんな想いがあったのか、そこがないとラブストーリーにはならんでしょう。 かといってサスペンスでもなければ、コメディにも振り切っていなくて、なんともリアクションしづらい感じで終わっちまいました。『インフォーマント!』にもまったく同じこと思ったけど、事実は小説より奇なりの世界をただ切り取るんだったらそれは、テレビのバラエティでやればいいんじゃないかと思うよ。じゃあ、観客にそのストーリーのどこを見せたいのか。感情移入させたいのか、その方向性を絞ると、同じモチーフでも全然別の作品にできたんじゃないかな。もったいないぜ、せっかくのスペシャルな素材が。 ジム・キャリーは相変わらずな感じで、ハマってるといえばハマってるけどそれが逆に意外性を減らしている気も。コメディを期待しちゃうところもあるのに、それには応えてないし。ユアンは、『トレインスポッティング』並のセクシャリティを感じさせて、気弱なゲイ青年にものすごく見えてよかったけどね。せっかくの題材だけど料理法を間違えたような、そんな後味でった。
by april_cinema
| 2010-03-13 00:00
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