2010年 04月 24日
王道スポコン女子版。『武士道シックスティーン』4月24日公開。全中チャンピオンの磯山香織が、東松学園に入学し、剣道部に入部。その理由は、1年前に自分を負かした相手と戦うため。その相手とは、実力は並、勝ち負けにまるでこだわらない西荻早苗だった。勝つためだけに剣道をする磯山と、楽しければそれでいいという西荻。意外にもふたりは親密になるが、インターハイ予選が始まり、それぞれに壁にぶつかろうとしていた。 映画『武士道シックスティーン』公式サイト 青春ガールズの剣道エンタテインメント。今までにもかなりの数が存在するタイプのスポ根物語を、女子×剣道というところにもってきたって感じ。天才型で勝つことがすべてのエース。隠れた才能があるけどそれにまったく固執しないのんびりや。ね、絶対に今までに見たことある設定だよね。まあ普遍てことですわな。この2人がお互いを意識し刺激を与えることで、それぞれに壁にぶちあたる。勝つための剣道に未来はあるのか。勝ち負けを避け続けていていいのか。これは競技問わず、というか人生では必ずぶち当たりそうな問題で、そこが青春物語としての揺るぎないテーマ。 磯山は、幼少の頃から父に勝つことを義務づけられて来たことで、なんの疑問も差し挟まずに進んできたところを、真逆にいる西荻の存在で初めて自分の心に疑問を持つ。私はなんのために剣道をやっているのか。剣道で勝ち続けた先になにがあるのか。負けてしまったら私に勝ちはないのか。剣道以外にも楽しみはいくらでもあるんじゃないのか。だとしたらこれまで多くのものを遠ざけて来た時間はなんだったのか。勝つためにやらなくても勝ってしまった西荻に自分の存在価値を問い直す。でも、おかげで再確認する。磯山は、勝つためだと思い込んでいたけれど、ごく純粋に剣道が好きだったという紛うことなき自分の気持ちに。 西荻も、勝負を避けることで、悔しさや達成感すらもない日々に、勝つことへの意志を疑わない磯山に自分の価値観を揺らされる。勝ちたいと思い始めると負けるのが怖くなる。負けてしまうとなにかを失ってしまうのではないか。これは見えない未来に対峙した時の心持ち。でも、西荻も気付く。それでも剣道が好きなんだってことに。でも父とのエピソードが中途半端なのがもったいないかなー。 どちらも好きに勝るものはないという落としどころは爽快。話が真っ直ぐ過ぎたり、キャラクターに新しさがないゆえに、拍手を贈るまでには至らないけれど、普通に気持ちのよい作品。原作はもっといろんなキャラが出てくるらしいので、ちょっと読んでみたいなー。璃子ちゃんがこんなに野太い感じのお芝居できるのは新鮮な発見。しかし、ずいぶん丸々してきちゃったけど大丈夫だろうか…。これもお年頃ゆえの普遍?
by april_cinema
| 2010-04-24 00:00
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