2010年 05月 14日
複雑なテーマだ。『グリーン・ゾーン』5月14日公開。イラク・バグダードで大量破壊兵器の発掘任務を背負うミラー。危険を冒して情報の場所へ向かうも空振りばかり。任務の最中にイラク人から要人の密会情報を入手し、その中のひとりを拘束するも、国の特殊部隊から横やりが入る。そもそもの情報源や解せないプロジェクトに疑問を抱いたミラーは、CIAの人物とともに独自に捜査を開始する。そこで浮かび上がったイラク戦争の真実とは。 『グリーン・ゾーン』5月14日(fri)TOHOシネマズ スカラ座他ロードショー マット・デイモン×ポール・グリーングラスっつー『ボーン』シリーズのコンビが再結成して作った社会派戦争もの。ノンフィクションの原作から作られてるらしいけど、この映画のどこまでがフィクションで、どこからがノンフィクションなのかその境目ははっきりしない。でも戦場のリアリティはきっちり追求されてますし、サスペンスアクションとしての緊張感もボーンシリーズ同様。どこでなにが起きてるのかちっとも視認できないあの感じがよみがえります。敵も味方もわかんないカオス感は戦争舞台にぴったり。 しかしテーマがでかいぜ、この作品は。たとえば『ハート・ロッカー』は爆弾処理班の危険な精神状態というピンにフォーカスしてるし、『告発のとき』なんかも兵士のPTSDがテーマだったり、わりと描きたいものがシャープ。それに対してこの作品は扱っているものが大きいんだよねー。アメリカ政府のとある意図によりねじれたイラク戦争の真実であり、イラクの民主化に必要なものはなんだったのか、イラク内での分裂などなど、手に負えな過ぎるのよね。手に負えなかろうがなんだろうがこれが現実なんだろうけど、さすがに手に余るんだよなー。なんと申し上げるべきかわからんぜ。 実際に兵役についていた人をサポートキャストにしたり、徹底したリアリティはきっとすごいんでしょう(そもそもリアルな戦場を知らないからその再現性はよくわからんです)。テンポがよく、話に破綻もなく、よく練られた佳作。しかし本当の本当のところがわからないだけに(劇中同様、この終わりに関しても裏は取れていない)、観賞後は唸らざるを得ないですね。
by april_cinema
| 2010-05-14 00:00
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