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2010年 06月 05日
感想_孤高のメス
感想_孤高のメス_b0130850_941428.jpgわお、直球あったか勝負! 『孤高のメス』6月5日公開。1989年、田舎の市民病院にひとりの医師がやってきた。彼の名は、当麻鉄彦。十分な設備もなく、難しい患者は大学病院へ搬送するという体質だった院で、当麻はただひたすら患者のためにその卓越した腕を振るう。彼の仕事ぶりは同僚医師や看護婦に変化をもたらし、市民病院は、確実にいい方向へと動き出していた。
映画「孤高のメス」公式サイト

ものすごく実直な作りで驚いたぜ。タイトルの印象からして、もっと社会性の強いシリアスで難題な話なのかと思っていたけれど、意外にもハートウォーミングなストレートヒューマンドラマ。といっても、お涙頂戴とかその手の安っぽい路線でもない。医師、看護士、病院の「人命救助」という唯一絶対とも言えるテーマに向けて、何ができるのか、何をすべきなのか、それをまっすぐ見つめた作品なんです。そこには派手なドラマやアクションではなく、ひとつひとつの仕事に誠実に向き合い、その様を丁寧に描くという、それこそ外科手術のような精神が詰まってました。

冒頭のオペシーンは血が多く出て来てうひゃーこれ厳しいかも、と思ったのだけど、当麻のするオペが正確無比なおかげか、けっこうしっかりモツを映しながらもグロさは比較的薄まって見えるから不思議。粒子粗めの昭和意識の映像と、堤さんの演技は相性抜群。さすがの存在感で、懐が深くまじめで率直でプライベートでは間が抜けてる愛すべき当麻を、完全に親しみあるキャラクターに仕上げてました。

実直だけに語るべきことは多くないけれど、丁寧な仕事が光る1本。仕事をする人間にとって大切なものはなんなのか。職業の数だけ答えはあると思うけれど、誠実さっていうのはどんなことをするにあたっても欠くことのできないものだなぁと痛感するのでした。

by april_cinema | 2010-06-05 00:00 | Starter


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