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2010年 06月 12日
感想_ケンタとジュンとカヨちゃんの国
感想_ケンタとジュンとカヨちゃんの国_b0130850_6121723.jpg暗黒の青春。。『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』6月12日公開。親がいなく、同じ施設で育ったケンタとジュン。ふたりは建物の壁を壊す工事現場で働いていた。ある日、カヨという女をナンパしたふたり。ブスな彼女は男と寝ることでしか自分の存在意義を見出せなかった。どこへも行けず何者でもない3人は、ある夜、そんな人生を壊す旅に出る。目的地は、ケンタの兄がいる北海道の刑務所。
ケンタとジュンとカヨちゃんの国 | 6月12日(土)、新宿ピカデリー、渋谷ユーロスペース、池袋テアトルダイヤ他にて全国ロードショー

ダークバージョンの青春パッケージ。痛くて鈍いこの感じ、得意じゃないけど力のある映画だなぁ。。現場で毎日壁を壊しながら、壊せば壊すほどに見えない壁に阻まれる自分たちを実感し、閉塞感に苛まれて仕方がないという主人公ふたりがまず鮮烈。わかりやすい構図ながらインパクト抜群だよ。施設育ちとか、兄の犯罪歴とか、極端なスタートではあるけど、説得力を損なってないのが演出の勝利だろうなー。

やり場のない鬱積した想いは、歪んだパワーになって噴出する。カヨというパートナーが加わることでさらにそれは増幅する。彼女はケンタとジュンとは全然違うコンプレックスを抱えてもがく。ふたりは自分たちよりも下に思える存在を見つけ安心しつつ、しかしどこかで共感するものがあるから彼女を連れていくことを拒まないんだろうな。常識で言えばどこか欠落した3人だけど、その欠落感てのは今の社会に蔓延しているものなのかもしれない。

キャストも絶妙。翔太、高良君、そして安藤サクラ。勢いのある3人が自然体で、若者の痛みを体現してる。周辺のキャラたちも実力派揃い。この作品が支持されてる証拠だろうなぁ。ラストのエンディングテーマまで徹底してひとつの世界観を作り上げててすごいです。救いはまったくないと思えるラストで、さらに落ち込んじゃうけれども。

できれば見たくない現実が込められた2時間。ボクらはいったいどこへ向かえばいいんだろう。何を壊せばよかったんだろう。3人の国の住人はけっこう多いんじゃないか。そんなことを思います。

by april_cinema | 2010-06-12 00:00 | Starter


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