2010年 06月 19日
感想_彼とわたしの漂流日記
b0130850_102676.jpgなんと評していいのやら。『彼とわたしの漂流日記』6月19日公開。借金と失恋を苦に漢江に身を投げた男。目を覚ますとそこは…無人の島だった。漢江の中の。泳げない彼は脱出することもできず助けもこない。川べりに「HELP」と記しても誰も来ない中、すべてにあきらめのついた彼は無人島でのサバイバル生活を始める。打ち捨てられたあひるボートの家で寝、謎のキノコを食べ…。ソウルのすぐ横で繰り広げられる誰も知らないその様子をたったひとり見ていたのは、3年引きこもりを続けるある女だった。大都会の中で孤独に漂流するふたりの、誰も知らない小さな奇跡。川辺の文字は「HELLO」に変わっていた。
映画『彼とわたしの漂流日記』オフィシャルサイト

イタリアの映画祭で観客賞も受賞したというこの作品、監督は『ヨコヅナ マドンナ』を手がけた俊英。アドベンチャー? ロマンス? コメディ? 前作同様カテゴライズもできないし、かなりユニークだったわ。冒頭30分は嫌悪感の嵐。ひとりコメディが全然笑えず、韓国の笑いってなんでこんなに肌に合わないんだろう、どうしてくれよう、なんて思いきや、引きこもり女が現れてプチファンタジックな様相を呈したりもして少し興味がわいてくる。荒唐無稽にも思えるシチュエーションだけど、それ自体に拒絶反応を持つことはなく、この微妙にズレた感じのする喜劇がだんだん味わいとなって染み込んで来て、最後には思わずふたりの味方にもなってしまったり。うん、これはある種のファンタジーとして捉えることにします。

誰も知らない戦いを繰り広げる二人は、都市生活のサバイバルの象徴なんでしょう。こんなに人もビルもあるけれど、誰もその心を知らない。すぐ隣にいるのに、何を考えて何をしているかわからない。ネット上ではあたりまえの顔の見えない感じ。現実世界にも浸食している都会ゆえの孤独。を、そうとは感じさせずユーモラスに描き、それに絶望していてもいなくても、最後にはやはり手触りを求める人間。設定こそユニークだけど、人間のオーソドックスな本質的な部分を描いているから、素直に感情移入できるのかもね。

笑いの質はまるで肌に合わないし、まるで荒唐無稽な話なのに、最後には美談のように思わせる監督の能力はすごいと思う。けど、なんとも評価しづらいこのギリギリな感じ、ぜひご体感あれ。
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by april_cinema | 2010-06-19 00:00 | Starter


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