2010年 06月 26日
感想_ザ・ロード
b0130850_19183390.jpg極限で生まれる名言集。『ザ・ロード』6月26日公開。すべてが崩壊した世界。生きるために人が人を喰らいもする、絶望だけが取り巻く世界を、父と息子は南へと歩き続ける。そこになにが待っているのかはわからない。ただ、火を運び、善き者であるために。
映画「ザ・ロード」公式サイト | 6月26日(土)、TOHOシネマズ シャンテ他全国順次ロードショー

いやーすごい映画だったな! 背景はほとんど語られないけれど、とにかくこの世界はなにもかもが荒廃しきっている。土地は荒れ果て、文明と呼べそうなものはほぼ消滅。人類も動植物もかなりの数が死に絶えているらしい。食料すらほとんどない世界を、親子は旅している。その目的も定かではない。運んでいる「火」とはなんなのか。なぜ「南」なのか。説明はなされない。ただただその世界が絶望的であるということしかわからない。

そんな設定だけなのに、過酷な状況の中で営まれる親子の会話や表情にしだいしだいにのめり込む。父のモノローグと、世界が壊れてしまう前のフラッシュバックが胸を撃つ。削ぎ落とされた状況下でむき出しになる人間の本能、そしてその対極で小さなか弱い光として描かれる人間の理性。テーマは違うけど、あらゆる余分や虚飾を取っ払って本質を観客につかませる感じは『イントゥ・ザ・ワイルド』を少し彷彿とさせる。おそらく相当カラダを絞ってきたと思われるヴィゴ・モーテンセンと子役のコディ・スミット=マクフィー君があっぱれです。

どれだけ追い込まれても、善き人であれ。理性を保ち続けよ。それができるのが人間。それを無くしてしまったら獣でしかない。この極限でそれができるのかどうかは何とも言えないけど、でもこの映画はその可能性を強く強く示唆してくれた。重苦しい灰色の世界で、確かに火は守られ、受け継がれる。その微かで大いなる希望は、今の時代にすげー必要なものかも。思い返せば返すほど、感慨が蘇るな。こりゃ名作といっていいかも!
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by april_cinema | 2010-06-26 00:00 | All-Star


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