2010年 07月 17日
既視感はあるけれども。『借りぐらしのアリエッティ』7月17日公開。心臓を患う12歳の翔は、手術前の療養に母の実家へ。祖母とお手伝いさんが暮らすその家の床の下には、小人が住んでいた。床の上から食料や水、電気などを借りながら暮らす14歳のアリエッティとその両親。今夜、アリエッティは初めての「かり」に出る。人間に見られてはならない。そういい聞かされていたが、アリエッティは翔と出くわしてしまう。 借りぐらしのアリエッティ 今年のジブリは、最年少監督・米田さんの作品(企画・脚本はハヤオ様)。小人の暮らしと、少年との交流が描かれる本作は、ストーリー自体にはわりとどこかで見た感じはある。『トイ・ストーリー』なのか、『一寸法師』なのか、なんにしてもすごく斬新なものでは多分ない。アリエッティの家が、クリップやボタンやペンの蓋といった小さなものたちで飾られている様も、小道具を駆使して人間界を躍動するのも、動物たちに追われて逃げるのも、なんとなく知っている感じがする。かわいいんだけどね。だからオモシロイ?って聞かれるとフツーって応えてしまいそう。 でも、その既視感は、言い換えれば原風景なのでしょう。小人の家族は、強く温かい父・そそっかしい母・好奇心旺盛な娘が互いを思いやり、協力しあいながら暮らしている。それは古き良き家族の姿そのもの。また、この世のすべては、大いなる自然界からの「借り物」であるという考え方もまさにいちばんベーシックな価値観ていえるものね。すごく今っぽい。何十年も温めてきた企画を今年出す理由もよくわかる気がする。だから、話に目新しさがないとしても、いつもほど壮大な世界じゃなくても、重厚なテーマ性に感じないとしても(身近といってよさそう)、ジブリらしい世界観で筋は通されていると思う。なんだかんだ、ラストでアリエッティが翔の指をとるシーンはぐっときちゃいました。そう、アリエッティのオンとオフの切り替えが萌えるんです。クリップ髪留めもいいね〜。 豊かな緑の描写やらは鉄板ジブリ色。『ポニョ』みたいなぶっ飛び感こそないけど、『ゲド』みたいな難解さもないし、老若男女楽しめるのではないかと思います。そして、やっぱ映画を観たら「借りぐらしのアリエッティ展」に行かなきゃダメでしょう! これ絶対!!
by april_cinema
| 2010-07-17 00:00
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