2010年 08月 07日
感想_ペルシャ猫を誰も知らない
b0130850_0304162.jpgおもしろがってばかりもいられない。『ペルシャ猫を誰も知らない』8月7日公開。ポップミュージックの規制が厳しいイランでは、自由に演奏することもままならない。好きなように自分たちの音楽をしたいがため、国外へと出ようとするアシュカンとネガルは最後にコンサートを開こうと計画。一緒にきてくれるバンドメンバーを探しながら、偽造パスポートとビザを発注。彼らが出会ったのは、やはり同じ音楽への情熱を持った人間たちだった。
映画『ペルシャ猫を誰も知らない』公式サイト

すごい面白かった〜!んだけど、これ簡単に面白いとか言ってていいのかな…。でも面白かったの。テヘラン内をゆくロードムービーみたいな形式で、行く先々の隠れミュージシャンを訪ね、さまざまな演奏者たちを次々と映し出して行く。スタジオに入るもの、地下にこもるもの、屋上に小屋を作るもの、牛舎の中で演奏するもの、とにかくいろんな人たちが規制に負けずに音楽への情熱を燃やしている。事情はそれぞれ。練習時間も限られている。逮捕の危険性もある。でも、やっぱり音楽をやりたい、っていう自然でストレートな欲求に感情移入。

そして彼らが出す音がまたイイ! インディーズ・ロック、ポップス、ワールドミュージック、メタルにラップ、テクノと、ジャンルはさまざま。ジャンルは違えど、賭けてる想いは一緒。そしてこれだけ不自由してもなんだかんだ自国への愛情ってのもしっかりと感じられる。そんなのをあぶり出しながらも、アシュカンとネガルが無事にライブをぶって国外へと行けるのか、というサスペンスフルなストーリーラインもあるからスリリングなわけ。

日本では考えられないことがたくさんあって、この映画、イランでは公開できないかもしれないとかなんとか。ちなみに演者たちはみな実在のミュージシャンなんだそうだ。加えて、映画も同様な状況で、監督の自由に映画を撮れないもどかしさを重ねてゲリラ撮影しまくっているとかで、この話、限りなく実話に近いっていう。そう思うと、流れる音楽の歌詞の意味にも目を向けざるを得ない。そこに、彼らの心の叫びが詰まっているから。

ラストちょっと哀し過ぎるけれど、それこそがほとんど実話であるってことを端的に表してたと思う。安易なエンターテインメントには落としていないだけに、楽しかっただけではすまされないけれど、少なくとも彼らの想いは確かに国境を越えてここまで届いているとは思う。
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by april_cinema | 2010-08-07 00:00 | All-Star


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