2010年 08月 21日
これはリアルなんだろうか。『カラフル』8月21日公開。あの世へと向かう列の途中で声をかけられたボクは、どういうわけか現世に戻される。現世で新しく入らされたのは、自ら命を絶った小林真という中学生の体。真は、学校でいじめられ、父を軽蔑し、兄に見下され、母の不倫を知り、そして密かに憧れていた後輩の援助交際がきっかけで、自殺したのだった。再び現世に戻った誠としての生活は苦しかった。その中で、ボク自身が前世で犯した罪を思い出そうとする…。 映画『カラフル』公式サイト とても今っぽい題材で、そして感じ入るところは確かにあるストーリー。『河童のクゥ』の原監督らしい、リアルだけど優しい話法に心ゆさぶられます。でもね、こういうのって本当にリアルなのかな。現代の中学生の事情がわからないオレであり、特に学校生活に苦労もしなかった人間にはわからないんだよ。これって本当にリアルな世界なの? 小説を2冊ほど読んだ印象だけだけど、森絵都の世界観って少しだけ違和感を覚えるのだよなー。原作知らないからどこまで忠実なのかわからないけれど、なんとなく森イズムを感じるの。シビアなようですごく甘さがあり、うまくいってないふうを装いながらも簡単に主人公が成長してしまうのが目に見えているので、一歩引いてしまうんだろな。救いがあることはありがたいんだけど。 今時の家庭や学校っていえばこんな感じなんでしょうか。家族もクラスメイトもちょっとあまりにも描かれやすいステレオタイプに見えました。誰もが一見すると誠実さに欠け、あっさりと主人公を突き放し排除する。そのわりに、2時間の中であっさりと改心し、優しい言葉や態度を示す。主人公が口にする「カラフル」についてのくだりも、あんなに不貞腐れてたのが急に達観してしちゃって、説得力に欠けたきらいも強い。なにより早乙女君が、突然変異的にいい人すぎるぜ。早乙女君がいい人であることが悪いのではなく、タイミングよく早乙女君が登場しすぎるんだよね。ひろかやしょうこのキャラクターにももう少しヒネリがあってもよかったのかもしれません。 でも、玉電のくだりはとても好き。二子に土地勘あるから、リアル描写にもぐっときたし、歩いたことのある道がまさかかつて線路だったところだなんて知らなかった〜。真以上に感動しちゃいました。ラストのオチはなんとなく予想がついてましたが、ま、これはいいか。あと、最近の役者さんが声優するトレンドにこれも乗ってますが、どうも先に知ってしまうと顔が浮かびすぎて嫌ですな。後から聞かせれる分にはいいけれど。 ちょっと暗いけど、とりあえずいい話なプチファンタジー。期待高かったので、それよりはだいぶ落ちますがまあ良作の範疇だとは思います。ターゲットが大人なのか子供なのかわかんねーけど。
by april_cinema
| 2010-08-21 00:00
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