2010年 09月 11日
トルストイ読まなきゃな…。『終着駅 トルストイ最後の旅』9月11日公開。1910年、トルストイは作品の著作権を放棄しようとする。私有財産を否定する彼の行動に、妻のソフィヤは大反発。深くお互いを愛し、寄り添ってきた二人が人生の晩年にたもとをわかつ。それを観るのは、トルストイに心酔する若き秘書のワレンチン。彼は肉欲を否定しながらも、マーシャという美しい女と初めて現実的な愛に目覚めていた。そして、ついにトルストイは家出をし、とある駅で病に伏してしまう。 終着駅-トルストイ最後の旅- - オフィシャルサイト ロシアが生んだ文豪・トルストイの最期を描いた物語。そこに出てくるのは世界三大悪妻に数えられるソフィヤと、若造のワレンチン。そしてトルストイ主義を貫く友人のチェルトコフ。基本的にはこれ、ワレンチンの視点を通して語られてますね。理想化していたトルストイが、意外にもさばけていたことに驚きつつも、ソフィヤは世間で言われるような悪妻ではなく、あくまで家族を守るための行動だったのだろうとか。そして、夫婦が長く寄り添えば、そりゃーいいことばかりじゃないってことを教えてくれます。 妻という職業のありかたを考えるなー。ソフィヤは、トルストイの原稿を何度も何度も清書し、それはもう妻という役割を越えた存在で、彼女がいなければもしかしたらトルストイの作品が今の形ではなかったのかもしれない。だとしたら彼女の主張は見当違いではないし、それゆえの衝突というのも致し方ない部分なのかも。夫婦であろうとなかろうと、主義の違いってのはあるものだろうし。だから、悪妻と呼ばれるような感じは全然なかったな。ヘレン・ミレンの気品のおかげかもしれないけど。 とはいえ最後にはやはり長年連れ添った夫婦の愛情がすべてを勝る。見終わったあともいい映画を観たなって感じが残るんだけど、ただハートを鷲づかまれるような衝撃はない。それは淡々としてるからだけでもなくって、感客が感情移入するポイントがもうひとつ足りないからだと思う。テーマ的には共感する人がいっぱいいるだろうに、それをカタルシスとして提供するには及ばなかったからか。というか単に自分が未婚だからってのが大きいのかも? でもま、トルストイとソフィヤの感じはすごくよかったと思う。図らずも同じタイミングでワレンチンにかける「god bless you」なんかもまさにだよね。クリストファー・プラマーとヘレン・ミレンが巧いっていうのも大きいねー。あとマカヴォイ君もね! ワレンチン視点はもっと強くてももしかしたら面白かったかも。 ま、まずはトルストイを読めって話ですよね。一冊も読んだことなくてすみません。まずは『戦争と平和』から入ろうかと思います。どうでもいいけど原題『the last station』を直訳しただけなのに、『終着駅』となると急に哀愁が漂いまくるよね。
by april_cinema
| 2010-09-11 00:00
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