2010年 10月 09日
感想_冬の小鳥
b0130850_8184852.jpg少女は、しなやかに、生まれ変わる。『冬の小鳥』10月9日公開。大好きな父親に連れられてやってきたそこは、キリスト系の養護施設。9歳のジニは、捨てられたのだった。父親が戻って来ると信じるジニは、周囲になじまず、食事も取らないが、どれだけ待っても父は戻ってこなかった。
映画|冬の小鳥|オフィシャルサイト

静かで暗い映画。淡々とシビアな物語がつづられます。まだ右も左もわからない少女が、過酷な現実に投げ込まれたことに気づき、受け入れ、そして最後に旅立って行く。冬から春へ、傷ついた小鳥は飛び立つ。劇中に出て来た本当の小鳥は死んでしまう。しかし、ジニは死なない。傷は消えないだろう。でも、飛び立った。それもしなやかに、美しく。そこに人間の、とりわけ少女の、強さが見える。

時代は1975年代で、監督の実体験がベースなんだそう。決して多くは語らず、あくまで少女たちの自然な演技に物語は委ねられているけど、それがハマってる。子供たちの純粋さは、決して状況を悲観しない。彼女たちは自分たちが少々変わった状況にいることをどれだけ認識しているのだろうか。彼女たちは、その特殊な立ち位置から、少しずつ社会のことや世界のことを知り始める。大人に好かれるための術があること。大切な人と別れなくてはならない時が来ること。外国には違う言葉を話す人がいること。恋のすべてが叶うわけではないこと。そして命はやがて尽きること。

それらを、頭では理解できなくても、目で見ることで体得していく姿がたくましい。友との別れは歌うことで別の意味を獲得し、自らを地中に埋めることで死とはなんなのかを感じ取る。大人にはできないその姿は神々しくもあるほどで、映画としての深みをたたえている。

ツウ好みなれど、秀作。主演の女の子の目が忘れられません。
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by april_cinema | 2010-10-09 00:00 | Starter


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