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2010年 10月 23日
感想_約束の葡萄畑-あるワイン醸造家の物語
感想_約束の葡萄畑-あるワイン醸造家の物語_b0130850_918458.jpgカテゴライズしづらし。『約束の葡萄畑-あるワイン醸造家の物語』10月23日公開。19世紀初頭のブルゴーニュ。農夫のソブランはワイン作りを志すが地主には相手にされない。やさぐれていたそこに現れたのは天使のザス。彼のアドバイスをもとにソブランは、妻を迎え、葡萄畑を作り、ワインの醸造を始める。やがてそのワインは広く認められるが…。
約束の葡萄畑-あるワイン醸造家の物語

これはなんと評していいのかわからないけど、ワイン作りを人生になぞらえた、ちょいファンタジックな不思議物語。ざっくり言えば、そりゃ人生いい時も悪い時もあるけど弛まず腐らず真面目に暮らせよ、人間たちな!って感じの神の啓示。てか天使のアドバイス。なんせ酒かっくらってたらいきなり天使登場だもんな! それも昔ギリシャのイカロスはって感じの、ニカワ製みたいな羽つけたやつ。うーん、普通面食らうよ。でもソブランはあんまり面食らってなかったよ。

不思議はさらに続き、アドバイスを与えるだけじゃ飽き足らず、膝に抱えて抱擁してみたり、そうかと思えば堕天ついでにすっかり人間となじんでみたり。ほんと、コーチって感じのアドバイスばかりで、強烈な能力を発揮するわけでもないのよね。なにかのメタファーなのか? そういう幸運もあるよってことか??

でも天使というプチファンタジーは抜きにすれば、トータルで観ると人生の教訓が詰まっているのね。一度は成功した葡萄畑も、害虫被害で壊滅的状況に陥り、でもゼロから再スタートしてがんばればまた報われる塞翁が馬展開。それこそワインのように、いいワインができる年もあれば、イマイチな年もあるってね。幸と不幸は表裏一体ですよね、人生ってば。プラス、ワイン作りにはすべての感情が反映される。苦しいときには苦しい味。喜ばしいときには喜ばしい味。苦い経験も蓄積されて徐々に人間も醸成されていく。人生もそういうものでしょ?と。

淡々と描かれる割にはけっこう話はどんどん進むので退屈することもなくフィニッシュ。ほんと不可思議だけど、味わい深さはある1本でした。

by april_cinema | 2010-10-23 00:00 | Starter


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