2010年 11月 06日
泣かせるよなぁ! 『100歳の少年と12通の手紙』11月6日公開。10歳のオスカーは、白血病に冒され明日をも知れない身。絶望から来る両親の怯えを察知したオスカーは心を閉ざす。が、突然病院に現れた口の悪いピザ屋のローズとはなぜか意気投合。ローズは医師の頼みで、毎日オスカーに会いにくることに。そして、オスカーにこう説く。1日ごとに10歳分の人生を占ってみましょうと。 映画『100歳の少年と12通の手紙』公式サイト 素敵な映画でした。難病の少年というお涙頂戴的な設定だけど、そうではなく、命の尊さをポジティブに教えてくれる良品。人生の価値は長さで決まるわけではないという普遍的お題をこんなふうに表現してくれるってとても嬉しいよ。ぜひ多くの人に見て欲しいです。 オスカーは、ローズとの約束を想像力も豊かに果たして行く。1日ごとに、10歳、20歳、30歳と人生を駆け抜ける自分を想像し、みるみるオスカーは成長していく。病院の中という小さな世界で起こるその変化を、プロレスのリングというこれまた小さな舞台を用意し、しかしその上で繰り広げられるのは想像というなの魔法のようなファンタジー。ロープに四方を囲まれた場所でも、病院のベッドの中でも、その想像はどこまでも時空を超えて広げていくことができる。そういう勇気を持たせてくれるんだよね。あ、この感じは、『潜水服は蝶の夢を見る』を思い出すなぁ!(そういえばあっちもフランス映画) さらにこの想像を、チープでキッチュな美術で表現しているのがニクイ。子供の想像だから、リアルではないし、どことなくユーモラスで、それが映画全体をとても優しくしてくれている。院内のカラーも寒々しいブルーから、活発なイエロー、やわらかなピンクなど、ちょっと北欧ちっくにくすませながら包んでくれて、子供の目線を大事にしている感じ。音楽もあわせて素敵な世界観で彩ってます。なにせ監督は小さな良品『地上5センチの恋心』を撮った方ですから。あのプチファンタジー感が今作でも活きてるのよ。 オスカーの境遇は悲しむべきものだけれど、最後に残るのは命の尊さと、人生の意味。ローズの口から出る最後の言葉は、死別という哀しみが、時に残された人の希望となって心の中に生き続けるということを明確に示してくれました。この印象が、映画に対する印象となって、観客の心にも深く根付くんじゃないかと思います。
by april_cinema
| 2010-11-06 00:00
| All-Star
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