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2010年 11月 20日
感想_レオニー
感想_レオニー_b0130850_22363277.jpg天才の運命ってすごいな。『レオニー』11月20日公開。20世紀初頭、レオニー・ギルモアは編集者募集の新聞広告に職を求める。その仕事とは、日本から来た詩人ヨネ・ノグチの作品の翻訳。共同作業に没頭する時間はふたりを近づけ、子供を授ける。しかしヨネはそれを拒絶し、帰国してしまう。生まれて来たのは、後のイサム・ノグチ。日本人の血を引く子を連れ、日本へと渡ったレオニーだが様々な困難が待ち受けていた。
2010年11月20日(土)公開 映画『レオニー』公式サイト

不世出の芸術家イサム・ノグチ出生の秘話でありつつ、彼を生んだ母親の生涯の物語。日本人の子を授かり、父親にあたる男に裏切られ、それでも我が子のため日本にわたり生活して行く姿は、女性の、母親の強さを感じずにはいらんないね。しかも時代を考えるとこれは相当なチャレンジ。シングルマザーも日本人とのハーフも、相当白い目で見られたに違いない。それでもレオニーにはそれを成せるだけの資質があったんだろうけれど、やっぱそこは母の愛の強さってことなんだろうなー。と同時に、それはイサム・ノグチがイサム・ノグチになるべくして引き寄せた宿命とさえ思える。それこそが天才の所以なんじゃないかと。

物語はかなり淡々と描かれて行く。そこには監督の押しつけや解釈というのを極力介在させないようにしているように思う。安易に善悪を分けたり、正解・不正解のような結論も出そうとはしない。ただレオニーという人がいて、その人が歩んだ道があった、ただそれだけですとでも言うように。いちばんはその美しさ、気高さをそのまま焼き付けたかったのかな。教訓をもらうとか、参考にするとか、そういう次元じゃないっぽい。

この映画にハッピーエンドもなにもないんだけど、やっぱりイサムの存在そのものがとてつもなく大きいので、どう転んだとしてもレオニーの人生にそれ以上ない意味性をもたらしているから、見終わって腑に落ちる感じで幕を閉じるんだよね。結果が出てる試合を見直しているような部分はあるかも。あらためてイサム・ノグチの生涯というものにも触れてみたくなる、天才の母の物語でした。

by april_cinema | 2010-11-20 00:00 | Starter


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