2011年 01月 15日
唸る僕。『愛する人』1月15日公開。老いた母親を介護しながら暮らすカレン。職場ではパコという惹かれる男性と出会いながらも、うまくコミュニケートできない。それは、彼女が14歳のときに産んだ子を養子に出さざるを得なかったことへのわだかまりがあったから。エリザベスは弁護士としてキャリアを築いている。しかし誰とも親密にはならず、一定の距離以上に人を寄せ付けない。なぜなら彼女は産まれた瞬間母親に捨てられているから。 映画「愛する人」公式サイト わけあって離れざるを得なかった母と娘の物語。「産む」ってことは途方もなく大きなことで、それ自体が奇跡なんだよなぁと男ながらに想像してみるわけです。ただ未婚男子的に、それが実際のものとしてどういうことなのか、まだ全然つかめないけど。捨てなくてはならないほうの気持ちも、捨てられてしまったほうの気持ちも、僕にはもちろんわかるはずもなく。素直に感情移入するのはやはり難しかったようです。 テーマがシリアスなわりには、ストーリーは意外と簡単。カレンとエリザベスが母娘であることは明らかだし、それぞれに起こるできごとや、すれ違っていく感じもわりとよくある体。キャラクターもステレオタイプの範疇なんじゃないかな。相容れない母と娘をつなぐ役割は、子供ができない体のルーシー。そのルーシーとの絡みもあまりにできすぎてるので、「え〜」って感じにもなっちゃうのがもったいない。できればこれとは違うアプローチで、母と娘の独自性ってのに迫れたんじゃないかとも思ったり。ただ、ルーシーには別の養子縁組のエピソードを追加しているので、単体としての意義はあったな。やはり母親というものは、子供を手放せないはずなんだ、と。 あまり母と娘という線に固執しない方がいいのかもしんないな。過去と向き合うことで開かれる未来の話とも受け取れるしね。ただなー、やっぱカレンは後悔してから行動に移すまでがあまりにも遅いような気がする。もちろんきっかけはあったけど、あれほどに悔やんでいたのなら違う選択肢もあったような気がするし。まあそのときはエリザベスがこっちを向いてなかっただろうけどね。 にしても、ナオミ・ワッツのこの不思議な陰と色気はなんでしょうかね。美人なのに漂う独特の憂いと、この作品選びの仕方ったらもう、たまりません。この人の作品は今後も欠かさず観て行こうと改めて決意だわ。
by april_cinema
| 2011-01-15 00:00
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