2011年 01月 15日
じんわりじわじわ。『ヤコブへの手紙』1月15日公開。恩赦により模範囚として出所したレイラは身よりも行き先もない。あてがわれるまま、ヤコブという牧師の家で住み込みの仕事をすることに。その仕事は、盲目の牧師あてに届くさまざまな手紙を読み、そしてその返事を代筆すること。しかしレイラはヤコブに心を開かず、郵便配達人を疎み、手紙も捨ててしまう。やがて手紙は届かなくなるとヤコブは生きる意味を見失い、そしてレイラは単身牧師の家を後にする。 「ヤコブへの手紙」オフィシャルサイト フィンランドから届いた1本の映画という手紙。静かで小さな、だけど温かい物語です。登場人物はヤコブ、レイラ、そして手紙を届ける郵便配達人の3人。台詞も最小限の中で、だけど退屈という感じはなくちゃんとストーリーは進んでく。不機嫌そうなレイラ、あきらかに善人のヤコブ、そして郵便配達人。 淡々とした牧師の生活の周辺が描かれ、やがて物語は動きを見せ、徐々に重みがまして訪れるクライマックス。レイラはついに自身の過去を語る。ヤコブへの手紙という形を通して。そこにつづられる過去自体はわりと予想のつく範囲ではあるけれど、ふたりが心を通わせるシーンはやっぱり美しく、胸を打つ。なにがいいかって、レイラがヤコブの温かさによって救われる体を取ってはいるものの、実はヤコブもまたレイラによって救われているから。神に仕える身もそうでない人も、等しく誰かの支えによって生きているんだよなぁ。まあ、レイラの過去はここまで意図的に伏せられていたからちょっと脚本的には弱いといえば弱いけど。 さて、オフィシャルサイトを見ると「郵便配達人」に注目せよとあるじゃないか! ムムム、まるでスルーしてました。そもそも、レイラが来る前はヤコブへの手紙は誰が読み誰が返事を書いていたんでしょうか(その描写あったっけ?)。郵便配達人は、来てもいない手紙をずーっと使い回していたんじゃないかという気もする。そして配達人が手紙を読み書くフリをしていた? それはヤコブのためでもあったけど、実はそれにかこつけて牧師の家からカネを盗んでもいたのか?(もしくはカネを受け取っていた) だから、突如あらわれたレイラを嫌悪したのか? そして手紙は届かなくなったのかな。 善かれ悪しかれ、人は独りでは生きて行けない。今更ながらそれを教えてくれる映画でした。北欧の田舎の風景も優しいです。こんな場所を旅したいな。
by april_cinema
| 2011-01-15 00:00
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