2011年 02月 05日
こんな歴史もあるんだな。『再会の食卓』2月5日公開。上海で暮らすユィアーのもとに、台湾からイェンションという男がやってくる。彼はユィアーのかつての夫だったが、内戦のため台湾から戻れず離ればなれになっていた。しかしユィアーにはすでに家族がいて孫もいる。それでも執り行われたイェンションをもてなす食卓で、ユィアー、ユィアーの夫、そして子供たちの想いが交錯する。 「再会の食卓」オフィシャルサイト :2010年度ベルリン国際映画祭銀熊賞受賞作 中国と台湾の歴史って全然知らないな。この映画は、その分断の歴史を下敷きにしていて、台湾の老兵が数十年ぶりに上海の妻を訪ねるという実際にあったエピソードから出発した企画なんだって。なのでそういう歴史的背景への理解ってのは必要だったかも。映画の中で、なんとなく説明はされるのでだいたいの構図はわかるけど。隣国だし近代だけど、こういうの全然知らないなぁ。映画をきっかけにしてこういう歴史に興味を持つ人もいるかもしれないな。 劇中たくさん映し出されるのは食卓。最初はイェンションを迎える食卓。ユィアー以外は彼が何者か知らない中で、微妙な空気の中で行われる食事。そしてユィアーの夫は初対面のために普段じゃ買えない蟹を買ってもてなしもする。こういう風習はなかなか興味深い。さらにユィアーの家族たちはイェンションの身勝手な要求にそれぞれの感情を爆発させる。食卓の上には、いつも団らんや平和があるわけではないけど、でもそのコミュニケーションを避けててはいけないんだろうな。中国においては食卓は重要な礼の場であるらしく(あの円卓がまさにね)、その空気感がじわりじわり伝わってきます。 老人たちが主役だし動きは非常に少ないけど、なんだか魅入ってしまう不思議な映画。高層ビルと普通の民家が共存する上海の景色は激動の20世紀というものを感じさせるし、そこに翻弄されたふたりのドラマも少ない語りの中で十分に想像させる。普通の中にある、深いドラマ。離婚するために結婚しようとするユィアーとその夫の滑稽なシークエンスは、感情とは別の事情で振り回されがちな私たち現代人のおかしみを見せているかのよう。 ものすごく地味だけど、銀熊賞に輝いたというだけの味わいはある一作。ツウ好みです。
by april_cinema
| 2011-02-05 00:00
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